そんな中、1月29日、イスラム系のネット上に、イスラム国の人質になっている後藤健二さん (47才)らしい声で、次のようなメッセージが上がりました。
「私は、後藤健二だ。私の命と引き換えにサジダ・リシャウィ(ヨルダンで収監中のイラク人死刑囚)を29日の木曜日、モスル時間の日没までにトルコ国境に連れて来なければ、ヨルダン人パイロットのムアス・カサスベ氏は直ちに殺害されるだろう。」
この内容どおりだとすると、日本時間1月29日午後11時30分頃が、日没となります。
今回は、新しく出てきた、「夕陽の人質交換の舞台」となるかもしれない「トルコ」という国について、紹介しましょう。
トルコは、正式名称をトルコ共和国といいます。トルコはポルトガル語で、英語では「Turkey」で、七面鳥と同じ綴りですが、Tを大文字で書きます。
この国の最大の特徴は、アジアとヨーロッパの2つの大陸にまたがっているということです。
前身は有名なオスマン帝国で、1924年にトルコ共和国となっています。
隣国には、ブルガリア、ギリシャ、グルジア、アルメニア、イラン、イラク、シリアの各国があり、人口7,563万人で世界18位、面積783,562k㎡で世界37位です。
首都はアンカラ(323万人)で、最大の都市イスタンブールの人口は1,416万人と東京を超えます。このイスタンブールは、アジアとヨーロッパにまたがる都市で、ボスボラス海峡を挟んで、橋とトンネルで両大陸が結ばれています。
ちなみに、昔の絵本で「イヌが海峡を渡って大陸から大陸へ」という話を見た記憶があります。
<写真 イスタンブール>
トルコの公用語はトルコ語、宗教ではイスラム教スンニ派が信者が一番多いですが、キリスト教系の東方正教会の総主教は、イスタンブールに住んでおられます。
一人当たりのGDPは、18847ドルで、「金持ちクラブ」と呼ばれるOECDの加盟国です。サッカーも強く、2002年の日韓共同開催のワールドカップでは、日本と韓国の両開催国に勝ち、世界3位になりました。
1890(明治23)年に、和歌山沖で台風により沈没したトルコ船「エルトゥールル号」の乗組員 69名が、紀伊半島の住民に救助されたことが大きく報道されてから、トルコは親日的な国です。
1985(昭和60)年のイラン・イラク戦争で、イランに取り残された日本人200人以上が、トルコ航空機で脱出させてもらったエピソードは有名です。
最後に、本題の対イスラム国のスタンスの話をしますと、トルコはNATOの一員でありながら、シリアやイラク空爆には参加していません。トルコのスタンスは、シリアのアサド政権と敵対しており、ここと戦っている勢力には(イスラム国を含め)比較的寛容です。
シリア(イスラム国)との国境も、比較的自由に行き来ができ、後藤健二さんもトルコルートでイスラム国へ入国したと言われています。昨年は、イスラム国とトルコの捕虜交換にも成功しており、後藤さんの捕虜交換の舞台としては、ヨルダン国境より現実的です。
<写真:トルコ南部アクチャカルの国境検問所(シリア側はイスラム国の勢力圏)>
「夕陽の人質交換」が成功し、日本人人質の後藤健二さんが、トルコへ無事に脱出できることを祈ります。
がんばれ、ヨルダン王国、トルコ共和国。
<写真: トルコの世界遺産カッパドキアの夕陽>
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