2015年2月17日、2つの地震が東北地方を襲いました。
東日本大震災の余震とみられている(気象庁)、この2つの地震を参考に、津波発生の有無をすばやく判断する目安をご紹介しましょう。
地震が発生すると、最初に、震度(揺れの強さ)・震源(地震の発生源)・マグニチュード(M=地震の規模)などが発表され、その後、津波の有無が発表されます。(津波がある場合には、大津波警報・津波警報・津波注意報などが発表されます。)
誰でも地震が発生すると、津波の有無が気になります。
少しでも早く避難の必要があるかどうかを判断するために、震度・震源・地震の規模などが発表された段階で、津波の有無の判断ができる目安はないのでしょうか。
<写真:東日本大震災発生時に津波を映し出すテレビ画面(2011年)>
実は、判断基準があります。
気象庁の予報官の話によると、「おおまかに言うと、津波が発生する恐れがある地震は、震源が海で、震源の深さが60kmより浅く、マグニチュード(地震の規模=M)が6.5以上の地震」だそうです。
つまり、津波の有無は、震源の位置・深さと、マグニチュードの3つの要素で決まり、揺れの強さを表す震度の大きさは関係ないのです。
本当かどうか、2月17日に東北地方を襲った2つの地震で確認してみましょう。
まず、午前8時06分頃に起きた地震は、震源が三陸沖(海)で、震源の深さ10km
で、マグニチュード(M)が6.9と、3つの基準を満たしています。
そこで、岩手県沿岸に「津波注意報」が発表され、実際に岩手県沿岸で10cm~20cmの津波観測されました。
ちなみに、最大震度は4で、青森県・岩手県・秋田県・宮城県で観測されました。
<2015年2月17日8時06分頃の地震 各地の震度>
次に、同じ2月17日の午後1時46分頃に起きた地震を見てみましょう。最大震度は5強(岩手県階上町)と午前の地震より強い揺れを記録しました。
震源は岩手県沖(海)で震源の深さは50km。マグニチュード(M)は、5,7です。
震源の位置と深さは、津波発生の基準を満たしていますが、マグニチュードは6.5以下なので、気象庁は「津波の恐れなし」と発表しました。
実際、津波は観測されませんでした。
<2015年2月17日13時46分頃の地震 各地の震度>
ちなみに、2011年3月11日の東日本大震災は、震源は三陸沖(海)で震源の深さは24km、マグニチュードは9.0と、津波の3要素をすべて満たしており、特にマブニチュードが日本の観測史上最大であったことで、大津波が発生し甚大な被害が発生しました。この地震の最大震度は7(宮城県)です。
一方、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災は、震源が野島断層(六甲から淡路島にかけての断層でほとんどが陸)で、震源の深さは16km、マグニチュードは7.3で、最大震度は7(兵庫県神戸市)です。この地震の揺れは、非常に大きかったのですが、震源がほとんど陸地だったため津波の発生はありませんでした。
ここまで見ても、震源の位置、深さ、マグニチュードが、津波発生の有無を決めるのは、ほぼ確実です。
ただし、個人個人が判断する場合、いくつかの注意点があります。
(1) 情報が確実に入るかどうかわからないので、津波の恐れがある沿岸部などで
地震を感じたら、まずは、少しでも高いところへ逃げるのが安全です。
(2) テレビ・ラジオや防災メールなどで情報が入っても、最初の段階の情報はあく
まで「推定」なので、鵜呑みにせず、念のため安全側の行動をとることが大切で
す。
ちなみに、東日本大震災の最初の発表のマグニチュードは7.6でしたが、最終
的にはM9.0になりました。
(3) 1960年のチリ津波(南米チリで発生した地震で、数十時間後、国内で大津波
を観測)のように、まったく揺れのない外国の地震でも津波が発生することがあり
ます。これを、遠地津波と呼んでいます。
(4) 「震度」は津波の発生には関係ないと説明しましたが、これはあくまで津波につ
いての話です。震度が大きくなれば揺れは強くなり、阪神淡路大震災のように津
波がなくても震度が大きくなれば、陸上での被害は大きくなります。
震度については、別の機会に説明したいと思っていますが、概ね「震度5強」
以上になると被害が大きくなると言われいます。
津波や地震について、普段からよく学び、きっちり備え、十分に訓練しておくこと
が大切だと思います。
一句: 大丈夫 そんな自信は 地震にはない
まず、午前8時
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