映画の祭典、第87回アカデミー賞が、2015年2月22日(日本時間2月23日)に、 アメリカ・ロサンゼル市ハリウッドのドルビー・シアターで開催されます。
作品賞や監督賞、主演男優賞や主演女優賞、そして、日本映画「かぐや姫の物語」やディズニー映画「ベイ・マックス」などがノミネートされている長編アニメーション賞など、賞の行方が気になるところです。
それは、さておき、このブログでは、あまり知られていない「アカデミー賞のトリビア」を紹介しましょう。
<写真:アカデミー賞授賞式の会場・ドルビーシアターとレッドカーペット>
・トリビア1 「アカデミー賞の選考対象作品」
まずは、アカデミー賞の選考対象となる作品について紹介します。
「世界中のあらゆる映画が対象」と、ほとんどの方が思われるかも知れませんが、以外と限定的なのです。
原則として、前年1年間にノミネート条件を満たした映画作品ということになっていますが、その内容がおもしろいです。
ロサンセルス郡内の映画館で連続7日以上、有料で公開された40分以上の長さの作品で、劇場公開以前にテレビ放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開されている作品を除くとなっています。
米国外ですでに公開されている映画については、「映画が最初に公開されてから90日間、劇場公開以外の方法で公開されていない」「ロサンゼルスでの劇場公開の前に米国内で劇場公開以外の方法で公開されていない」の2条件を満たすことが要件とされているそうです。
もちろん、長編アニメ賞、外国語映画賞、ドキュメンタリー映画賞などは、独自のノミネート条件を設けています。
・トリビア2 「アカデミー賞の賞品は、受賞者より残念賞の方がすごい?」
次にアカデミー賞の受賞者の賞品・賞金について、紹介します。
ノーベル賞受賞者には、数千万円から1億円を超える賞金が贈られますが、アカデミー賞の受賞者には、受賞名が刻印された「オスカー像」が贈られるだけで、賞金や副賞は一切ありません。あくまでも名誉のみが与えられる賞ということになります。
もちろん、アカデミー賞効果で受賞作がヒットし、ロイヤリティ収入が増えたり、次回作での出演料も増えることにはなりそうです。結果的に受賞者の収入に、いい影響が出る場合は多いと思います。
おもしろいのは、ノミネートされただけで賞を逃した人物に贈られる「残念賞」です。
日本の「福袋」のようなものが贈られ、中身は、服飾品や旅行券、洗剤やシロップなど、その年によって違いますが、その総額は数万ドル(数百万円)相当にもなると言われています。
残念賞のほうが、本当はすごい?,かも。
<写真:アカデミー賞のオスカー像>
・トリビア3 「アカデミー賞の投票結果は会計事務所で厳重保管」
最終投票は、授賞式の一週間前に締め切られて集計されます。
結果は封印されて、大手会計事務所「プライス ウォーターハウス クーパーズ」の金庫に保管され、授賞式当日、会計事務所の職員2人が授賞式会場に直接持ち込みます。
生中継で、会場に入ってくる会計事務所の職員が映されることもあります。
賞の授与担当プレゼンターがステージで開封するまでは、外部へは一切知らされない仕組みになっています。
以前は、マスコミに事前通達していましたが、1939(昭和14)年の「風と共に去りぬ」の作品賞受賞が、一部新聞で前日にリークされたため、翌年から会計事務所の管理するシステムとなっています。
・ トリビア4 「受賞者のスピーチは45秒以内」
アカデミー賞受賞者のスピーチは45秒以内と制限されています。これは、第15回(1942年)の主演女優賞を受賞したグリア・ガースンが、自分の生い立ちなど、5分半もスピーチしたために決められました。
しかし、第73回(2000年)のジュリア・ロバーツは4分以上、第74回(2001年)のハル・ベリーは約5分のスピーチをしていて、あまり厳格な規制ではないようです。
・トリビア5 「日本人・日本作品のアカデミー賞受賞」
最後は、日本人と日本作品のアカデミー賞受賞の歴史を紹介します。
ここでは、ノミネートではなく、実際に受賞した人・作品だけを紹介します。
・1951年(第24回) 「羅生門」(黒沢明監督)が名誉賞を受賞
・1954年(第27回) 「羅生門」(衣笠貞之助監督)が名誉賞を受賞
「羅生門」で和田三造が衣装デザイン賞を受賞
・1955年(第28回) 「宮本武蔵」(稲垣浩監督)が名誉賞を受賞
・1957年(第30回) 「サヨナラ」でナンシー梅木が助演女優賞を受賞
・1972年(第45回) キャノンの向井次郎、広瀬隆昌が科学技術賞を受賞
・1975年(第48回) 黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」がソ連代表として外国語映画賞を受賞, キャノンの鈴川博が科学技術賞を受賞
・1981年(第54回) 富士フイルムが科学技術賞を受賞
・1985年(第58回) 「乱」でワダ・エミが衣装デザイン賞を受賞
・1987年(第60回) 坂本龍一が「ラストエンペラー」で作曲賞を受賞
・1989年(第62回) 黒澤明が名誉賞を受賞
・1991年(第64回) 石岡瑛子が「ドラキュラ」で衣装デザイン賞を受賞
・1998年(第71回) 伊比恵子が短編ドキュメンタリー映画賞を受賞
・2002年(第75回) 宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が長編アニメを受賞
・2004年(第78回) 宮城島貞夫がホードン・E・ソーヤ賞受賞
・2007年(第80回) 坂口亮が科学技術賞を受賞
・2008年(第81回) 「おくりびと」(滝田洋二郎監督)が外国語映画賞受賞
「つみきのいえ」(加藤久仁生監督)が短編アニメーション賞受賞
今年はこの年表に、「かぐや姫の物語」が入るといいですね。
<写真:DVD 「かぐや姫の物語」>
0 件のコメント:
コメントを投稿