<写真:デンマーク・コペンハーゲン動物園のキリン マリウス>
事件(?)は、2014年2月に起きました。
デンマークの首都コペンハーゲンにある動物園で、キリンのマリウス君(2歳)が大好きなライ麦パンを食べている間に射殺され、子供たちを含む大勢の来場者の前で解体されました。
マリウス君は2歳の若くて元気なキリンで、病気でも高齢でもありませんでした。
では、なぜ殺処分され、その上、公開解体されたのでしょう。
その理由について、コペンハーゲン動物園のバンク・ホルストさんは、
「キリンは国際的な繁殖計画の一環として飼育している。この計画の目的は、安定した健全な群れの維持にある。同系交配を防ぐために実施した。」と説明しています。
去勢などの選択肢はなかったのかという質問に対しては、「去勢すれば、遺伝子的にもっと価値の高いキリンのためのスペースが取られてしまう。」と答えたそうです。
結局は、「邪魔で狭いからまびき」されたみたいです。
<写真:子供たちを含む大勢の人たちの前で解体されるキリン>
また、マリウス君の助命嘆願を求める2万5000人以上の署名や、イギリスの動物園からの「引き取りたい」との申し出も無視され、射殺を強行したそうです。
百歩譲って射殺を認めるとしても、なぜ、子供たちを含む多くの人に、解体を公開したのでしょう?
動物園のホルストさんはこう答えています。
「われわれには観客を啓発する役割もある。キリンがどんな姿で解体され肉になるのかを、見てもらう良い機会であった。」
キリンの殺処分・解体は、命の大切さを知ってもらう教育の場でもあると言うのでしょうか。
解体されたキリンの肉は,このあと、ライオンや北極グマなどの与えられたそうですので、弱肉強食の勉強にもなるということかも知れません。
<写真: 平地の多いデンマーク>
日本では、牛やブタ、ニワトリなどの殺処分や解体は、一般の人には公開しません。まして、子供たちには絶対に見せません。
でも事実としては、牛やブタ、羊、ニワトリなどは、人間に食べられるために殺され肉になります。
コペンハーゲン動物園は、家畜だけでなく、戦争やエボラ、テロなどで人間でさえ悲惨な殺戮の対象となっている現実から、目を背けてはいけないと言いたかったのかも知れません。
そう言えば、デンマーク出身のアンデルセンの童話には、「人魚姫」や「マッチ売りの少女」など、主人公が死んでしまう悲しい話が多く含まれています。もしかしたら、デンマークはリアリズムの国なのかも知れません。
それでも、コペンハーゲン動物園は、同じコペンハーゲンにあるチボリ公園と同じように、子供たちの憧れる「夢の国」であるはずです。その「夢の国」の動物たちの命は、できる限り守ってほしいものです。
<写真:デンマーク・コペンハーゲンにあるチボリ公園>
アンデルセン童話の「醜いアヒルの子」のように、ハッピィーエンドの未来が、日本にもデンマークにも来ることを祈りたいと思います。
一句: アンデルセン 涙と笑顔を 語る人
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