フィリピン近海の海底1000mで、「所有するヨットで戦艦・武蔵を見つけた」と発表したポール・アレン氏。
彼は、ビル・ゲイツと一緒にマイクロソフト社を創業した大富豪ですが、今も夢を追い続けているおもしろい人物ので、ぜひ、紹介したいと思います。
そもそも、「ヨットで、海底1000mに沈んでいる戦艦・武蔵を発見」って、不思議なニュースだと思いませんか?
ヨットが、どうやって海底1000mを探索し、映像を撮ったのでしょう。
英語のヨット(Yacht)は、個人所有の娯楽用船舶を意味します。ですから、ヨットと言っても、私たちのイメージする「帆に風を受けて進む小型船」とは限らないのです。
今回、武蔵を発見したポール・アレン氏のヨット「オクトバス(Octopus)」の写真をご覧ください。
<写真:ポール・アレン氏のヨット「オクトパス」>
すごい船ですね。
この船の全長は126m、乗組員は60人です。
ヘリコプター2機、スピードボート7艇、8人乗りの潜水艇、無人潜水艦などを搭載できます。これなら、1000mの海底探査もできますね。
ちなみに、維持費は年間2000万ドル(約240億円)だということです。
このヨットを使って、ポール・アレン氏は8年がかりで「武蔵」を探したそうです。
夢があるというか、スケールが違いますね。
ここからは、「夢追い人」、ポール・アレン氏について、紹介します。
ポール・ガードナー・アレン(Paul Gardner Allen)氏は、1953(昭和28)年にアメリカ合衆国の西海岸、あのイチローがいた大リーグ「シアトル・マリナーズ」があるワシントン州シアトルで生まれました。
お父さんは、ワシントン大学図書館の司書でした。
アレン氏は、レイクサイド高校という名門私立高校に通い、そこで将来の共同創設者であるビル・ゲイツと出会います。
この時、アレン氏は14歳、ゲイツ氏は12歳でした。
高校卒業後、アレン氏はワシントン州立大学に進学しますが、2年後に中退してボストンでプログラマーとして勤務します。
1975(昭和50)年、ハーバード大学に在籍していたビル・ゲイツ氏を説得し、マイクロソフト社を設立し、「BASICインタプリタ」の販売を開始します。
マイクロソフト社が、その後、巨大企業となり、ビル・ゲイツ氏とともに大株主であるアレン氏は莫大な資産を手に入れます。
<写真;ポールアレン氏(左)とビル・ゲイツ氏>
1983(昭和58)年にホジキン病で余命数年と診断され、マイクロソフト社を退社し、数か月に渡る放射線治療と骨髄移植を行い病気を克服します。
1990(平成2)年にマイクロソフトに復帰しますが、2000(平成12)年には再びマイクロソフトを退社し取締役を退任します。
このあと、様々な事業や慈善活動を行い、夢を追う「愛すべき大富豪」になります。
まず、1986(昭和61)年に、慈善団体の「ポール・G・アレン一族財団」を創設し、毎年3,000万米ドル(36億円)を、太平洋岸北西地域の民間非営利組織に分配しています。
2003(平成15)年には、私財1億ドルを投じてアレン脳科学研究所を設立し、マウスや人の「遺伝子発現マップ」を作成し、世界中の研究者のために、遺伝子マップをインターネットで無料公開しています。
2004(平成16)年に 、世界で初めて「民間企業による有人宇宙飛行」に成功したスペースシップワン( Space Ship One) にも出資しています。
<写真:民間による民間有人飛行船 スペースシップワン>
また、SFファンとしても知られ、 SF博物館を2004年に郷土シアトルに設立しました。
地球外生命(宇宙人?)の発見を目的とした非営利団体「SETI協会」にも多額の寄付を行っており、アレンの名を冠した電波望遠鏡アレン・テレスコープ・アレイの建造も進められています。
また、スティーブン・スピルバーグらが設立した、大手アニメーション制作会社である「ドリームワークスアニメーション」にも出資したり、ロック博物館とも言える音楽博物館の「エクスペリエンス・ミュージック・プロジェクト」にも出資するなど、エンターティメント活動への貢献も大きいものがあります。
変わったところでは、ハナアブの一種である「ポールアレンハナアブ」には、双翅目学に対する貢献から、彼の名がつけられています。
最後に、ポールアレン氏は、スポーツ界にも大きな貢献をしています。
1988(昭和63)年に、NBA(アメリカ・プロバスケットリーグ)のポートランド・トレイルブレイザーズのオーナーになり、1997(平成9)年には、NFL(アメリカンフットボールプロリーグ)のシアトル・シーホークスのオーナーになりました。
さらに、アメリカ・メジャーリーグサッカーの「シアトル・サウンダーズFC」のオーナーにもなっています。
夢と情熱をもった大富豪ボール・アレン氏って本当にすごいですね。
彼のすごいのは、ビジネスと社会貢献を分けて、すべてに「営業」を持ち込まわけではないことだと思います。
最初に紹介した戦艦「武蔵」についてもポール・アレン氏は、
「(発見の)責任を果たすため、日本政府と協力して伝統を残すための丁寧な対応にあたる。」
と謙虚なコメントを残しています。
ポール・アレン氏のような資産家が、増えてほしいものです。
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