2015年3月21日土曜日

人生、敗者復活戦! 甲子園の選手宣誓と監督の名言

 春の甲子園。選抜高校野球大会が今年も始まりました。
 感動と勇気を与えてくれるさわやかな高校生球児たちと、彼らを指導する名監督の言葉を、いくつか紹介します。
 
 開会式の選手宣誓で始まる「春の甲子園」ですが、今でも忘れられないのは、4年前、2011(平成23)年3月の東日本大震災直後に行われた第83回選抜大会での選手宣誓です。

 開催自体が危ぶまれたこの大会は、大震災が起きた、わずか12日後の3月23日に開幕しました。

 通常は、各チームのキャプテンが対戦チームを決める抽選をし、選手宣誓をするチームも決まります(1番のクジを引いたチーム)が、この年は東北のチームの出場ができるかどうかわからない中で、少しでも選手の招集を遅らせるため、異例の大会会長による抽選になりました。

 その抽選で選ばれ選手宣誓を行ったのは、岡山県の初出場校、創志学園の野山慎介主将でした。
 野山主将の選手宣誓の全文を紹介します。

「 私たちは16年前、阪神淡路大震災の年に生まれました。
今 東日本大震災で多くの貴い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。
被災地ではすべての方が一丸となり、仲間とともにがんばっておられます。


人は仲間に支えられることで、大きな困難を乗り越えることができると信じています。
私たちに今できること。それはこの大会を精いっぱい元気を出して戦うことです。

がんばろう 日本。
生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。」

 この野山主将の選手宣誓は、「阪神大震災」を乗り越えた経験を思い出させ、目の前で起こったばかりの「東日本大震災」に立ち向かう勇気を、日本中に与えてくれた、逑史に残る選手宣誓だったと思います。

<高校野球の聖地・甲子園>



 この翌年、2012(平成24)年3月には、前年の選手宣誓に応える形で、被災地である宮城県の石巻工業高校の阿部翔人キャプテンが、次のような選手宣誓をしました。

 東日本大震災から1年、(中略)人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。見せましょう、日本の底力、絆を。

 被災地の高校生が、日本の底力と絆を信じ、その先の大きな幸せを信じるメッセージを発信してくれたことは、大きな意味があることだと思います。

 今年、2015年3月に開幕した第87回センバツでは、福井県の敦賀気比高校の篠原涼主将が、短歌入りの選手宣誓をしました。

「グランドに チームメイトの 笑顔あり 夢を追いかけ 命輝く」


 甲子園では、数々の名監督が誕生し、厳しい練習と勝利の栄光に裏打ちされた名言を残しています。
 それらは、家庭での子育てや恋愛、私たち自身の生き方にも教訓となる名言だと思いますので、いくつかを紹介します。

・「苦しい思いを経験した人間だけが、逆境をチャンスに変える。」
 (和歌山県 智弁和歌山高校 高崎仁監督)

・「凡人は週間で一日を送る。天才はその一日が生涯である。毎日が本番。」
 (東京都 慶應義塾高校 上田誠監督)

・「行く言葉が美しければ、返る言葉も美しい。
人生のキャチボールのようなもの。
いい球を投げれば、いい球が返る。
優しさを投げれば、優しさが返る。
思いやりを投げれば、絶好球が返ってくる。」
(北海道 駒大苫小牧高校 香田誉士史監督)

・「心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。」
(石川県 星陵高校 山下智茂監督)

・「失敗したこと自体は不名誉なことではない。
失敗してダメになったら、それが不名誉なことだ。
わしの人生は負けから始まった。敗者復活戦じゃ。」
(徳島県立池田高校 蔦文也監督)


<写真:池田高校 蔦文也監督の直筆色紙>



 さすがに、甲子園を沸かした教育者であり名監督である皆さんの言葉は、勇気とやる気が出ますね。

 中でも、「毎日が本番」という上田監督の言葉や、「思いやりを投げれば絶好球が返ってくる。」というヤンキーズの田中将大選手(マー君)を育てた香田監督の言葉には重みがあります。
 自信はないけど、がんばろうという気持ちになります。

 最後の池田高校の蔦監督は、監督就任後20年以上も甲子園に行けなかった田舎の県立高校を、「11人で選抜準優勝」に導いたり、「夏春連覇」を甲子園で成し遂げた社会科の先生であり、名将です。

 人生敗者復活戦。
 春の甲子園を見て、元気をもらい、お互いに「逆境をチャンスに変えて」がんばりましょう。
 
 たかが野球。されど野球です。
「がんばれ日本、がんばれみんな。そして、がんばれ自分!」

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