2015年3月29日日曜日

東京ファンタジー「渋谷ハチ公像」 再開発でどうなる?  

 東京・渋谷のシンボル的存在の「ハチ公像」。
 日本人には待ち合わせ場所の定番として、外国人には「日本観光の目玉」として愛されているこの像についてのお話です。

 最近のニュースでは、渋谷再開発で、東急百貨店東横店やスクランブル交差点が無くなるという話題が紹介されています。

 それでは、再開発地域のまん中にある「ハチ公像」の運命は、どうなるのでしょうか。

 心配になって、久しぶりに渋谷のハチ公に会いに行ってみました。
 ハチ公は、依然と同じで人混みの中に黙って座っていました。
 周りの桜の木では、花が咲き誇っていました。

 ただ、以前と違うのは、ハチ公像と記念写真を撮る人の多さです。
 みんなが、ハチ公に別れを惜しんでいるのかなと思ったのですが、よく見ているとそうではなく、観光スポットとして記念写真を撮っているようでした。

 次々に、入れ替わり立ち替わりで、ハチ公と記念写真を撮る人たちの多くは、外国人でした。

<ハチ公像と記念写真を撮る人たち>


 そう言えば「若者の街」と言われた渋谷にも、外国人の姿が目立ち、外国語が飛び交っていました。
 ハチ公像も渋谷も、国際化が進んでいるようでした。

 次に、ハチ公像の歴史を紹介します。
 
 ハチ公像のモデルとなった秋田犬の「忠犬ハチ」は、1923(大正12)年11月10日に秋田県二井田村(現:大館市)で生まれました。

 翌年、東京・渋谷に自宅のあった東京大学農学部の上野英三郎博士に、当時のお金で30円でもらわれ、汽車で20時間揺られて上京し、渋谷生活が始まりました。

 ハチは、ポインター犬のジョンとエス(S)の二頭と一緒に飼われ、ハチは上野博士になつき、毎日、玄関前まで見送り、時には渋谷駅まで出迎えました。

 ところが、1925(大正14)年5月、大好きだった上野博士が病死します。
 ハチは、上野博士の死を知らず、毎日のように渋谷駅へ出迎えにいったそうです。

 これが定番の話ですが、実は、ハチはいたずら好きで、畑を荒らしたり、人にじゃれついたりしたそうです。(それでも、人に噛みつくことはなかったと伝えられています。)

 ハチは、その後、9年間も博士を待ち続けて、渋谷駅に毎日のように現れました。
 そのことが評判になり、1934(昭和9)年4月21日、渋谷駅の改札口の近くに、「忠犬ハチ公像」が建てられました。
 この時の除幕式には、著名人ら300人とともに、ハチ公自身も出席しました。どんな気持ちで、ハチ公は出席したのでしょうね。

<ハチ公像と桜>



 像が出来た翌年、1935(昭和10)年3月8日、ハチ公は11歳(人間の歳では60歳ぐらい)で亡くなりました。死因は、フィラリアと癌だったそうです。
 ハチ公のお墓は、青山霊園にある上野博士の墓の隣に建てられました。

 ハチ公の銅像は、太平洋戦争末期の1944(昭和19)年に、金属供出のため壊されることが決まり、1945(昭和20)年8月14日、つまり終戦の前日に、溶かされて、東海道線を走る鉄道の部品の一部に、作り直されました。

 悲しい話だけど、駅で待ち続けたハチ公が、もし「犬鉄」だったとしたら、本望かも知れませんね。

 戦後、1948(昭和23)年8月に再建されました。
 再建直後には、あのヘレン・ケラーがハチ公像を触ったという記録があります。

 その後は、1日5万人とも言われる多くの人が「忠犬ハチ公像」の周りに集まり、渋谷のシンボル的存在となりました。
 私自身も、渋谷で友人と待ち合わせる時には、よく使わせてもらいました。

 さまざまな出会いや別れを見守ってきたハチ公は、今では「日本を代表する銅像」として、世界的にも有名になりました。

 それでは、渋谷再開発でハチ公像は、なくなるのでしょうか?

 ネットで検索して見つけた渋谷区役所の話では、「ハチ公像は、世界的に有名な渋谷の財産だと思っています。場所は移動することはあるかも知れませんが、なくなることはないと思います。」

 ちょと、ほっとしました。
「ハチ公は永遠に、東京・渋谷のシンボルであってほしい」と思います。

 最後に、心温まる話を一つ紹介します。

 2015(平成27)年3月8日。
 ハチ公が亡くなって80年目にあたるこの日、ハチ公が大好きだった上野英三郎博士に再会できました。

<ハチ公と上野英三郎博士の再会像>

 ハチ公と上野英三郎博士が再会するシーンのブロンズ像が出来たのは、上野博士が生前に勤務していた東京大学農学部のキャンパス(東京都文京区弥生)です。

 ハチ公と上野博士がしっかりと抱き合っているシーンは、銅像とはいえ、ジーンとしてきますね。
 まさに、東京ファンタジーかな。
「よかったね。ハチ公。」

 

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