2015年5月6日水曜日

箱根山で火山性地震が続く 噴火の歴史と黒タマゴへの願い?

 2015(平成27)年4月26日から箱根山で火山性地震が頻発し、5月4日と5日は100回を超えています。
 また、大涌谷の水蒸気の噴出も多くなり、 5月4日からは、観光名所の「大涌谷の遊歩道」が閉鎖されました。

 さらに、5月5日には複数回の有感地震が、静岡県と神奈川県を震源に起こっています。
 
 「富士山との関係は?」
 「大噴火の可能性は?」
 「黒タマゴが買えないから、寿命が延ばせない(笑)」

 いろんな意見が出ています。
 自然が相手ですので、予想はできません。
 でも、過去を知ることで、これからに備えることはできます。

 そこで、「箱根山」のこれまでの歴史を、振り返ってみることにしましょう。

 箱根山(はこねやま)は、神奈川県箱根町を中心に、神奈川県と静岡県にまたがる山々の総称で、「富士箱根伊豆国立公園」に指定されています。

 二重の外輪山で囲まれているカルデラ地形で、東西8km、南北12kmの大きさがあります。最高峰は神山(1438m)です。

 周辺には、箱根湯本をはじめとする多くの温泉や芦ノ湖、大湧谷などの観光地が目白押しで、江戸時代には東海道の「箱根関所」がおかれました。

 その後、新幹線や東名高速のルートからは外れましたが、旧東海道が国道1号線となり、ホテル、鉄道、バス、ロープーウェイ、遊覧船などが整備されるなど、首都圏に近い観光・リゾート地として、年間2000万人が訪れます。

<箱根山の地図>



 箱根山の火山活動は、約40万年前に始まり、噴火を繰り返しながら、約25万年前には「古箱根火山」と呼ばれる、標高3000m近い 富士山型の成層火山が形成されました。

 その後も噴火を繰り返し、約18万年前には、山の中心部が陥没してカルデラが生成され、丸岳、三国山などの「古期外輪山」ができました。

 約5万年前、カルデラ内の楯状火山が「破局的な大噴火」を起こし、再び陥没しました。この時、東部から南部に半月形に取り残されたのが、浅間山、鷹巣山などの「新期外輪山」です。

 この噴火では、西は富士川から東は横浜市郊外にまで、火砕流が達したと言われています。
 降り積もった火山灰は、東京で20cm、横浜40cm、平塚1m、小田原では4mに達したそうです。

 1万年前以降のマグマ噴火としては、8000年前(神山山頂)、5700年前(二子山溶岩ドーム)、3200年前(神山)があります。この3200年前がマグマ噴火としては、最後であると言われています。

 一方、約3000年前には、神山の北西斜面で山体崩壊を伴う「水蒸気爆発」が発生し、大涌谷が生まれ、この爆発によって引き起こされた土石流により仙石原湖の半分以上が埋没して仙石原となり、早川がせき止められて芦ノ湖が誕生したと言われています。

 この他、2000年前と、12世紀後半(平安末期)~13世紀(鎌倉時代)にかけて、水蒸気爆発がありました。後者は、3回あったことが記録に残っています。

 20世紀以降の記録に残る死者としては、1933(昭和8)年5月10日に、大涌谷の噴気孔から大音量とともに水蒸気が噴出し、1人が亡くなっています。

 また、火山活動とは無関係だと思われますが、1953(昭和28)年7月に早雲地獄で山崩れが発生し、10人が亡くなっています。

 まとめると、マグマ噴火は3200年前、大規模な水蒸気爆発は800年前を最後に起こっていないということになります。

<富士山と箱根山>



  しかし、箱根山は、もともとカルデラを伴う大きな火山であり、一度、大噴火を起こすと、富士山と同規模、あるいはそれ以上の大きな被害をもたらすと言われています。

 ちなみに、富士山と箱根山は、地下では同じ富士火山帯のマグマで繋がっている「兄弟火山」と言われており、どの程度、相互が影響しあうかは不明ですが、まったく関係ないとは言えません。

 この2つの火山が、9万年~2万年前に大噴火を繰り返し、関東平野の「関東ローム層」を作ったと言われています。


 東日本大震災が発生した直後、2011(平成23)年3月11日午後3時8分に、箱根山付近でも震度5弱の揺れを記録しました。
 その後、箱根山の活動も徐々に活発化しています。

 同じ富士火山帯に属する小笠原諸島では、西ノ島で海底火山が噴火して陸地になり、この近海では、今年5月3日に通常津波の起きないマグニチュード5.9の地震で津波が起き、「マグマの隆起」の可能性もあると言われています。
 不気味ですね。

 また、昨年、噴火して大きな被害を出した御嶽山(岐阜県・長野県)をはじめ、蔵王山(宮城県・山形県)、草津白根山(群馬県)、阿蘇山(熊本県)、桜島(鹿児島県)など、全国各地の火山で活動が活発になっています。

 さらに言えば、マグニチュード9以上の巨大地震が起こったあとには、必ず火山噴火が起こるとの学説もあります。(詳しくは、別の機会に紹介したいと思っています。)
 日本は、マグニチュード9.0の東日本大震災が起こったばかりです。


<大湧谷の黒タマゴ>



  1個食べると、寿命が7年延びるという伝説がある大湧谷の黒タマゴ、この伝説
は、箱根山で最後に水蒸気爆発が起こった鎌倉時代の「延命地蔵尊」の話に由来するそうです。

 私が、最後に「黒タマゴ」を食べたのは3年前です。
 また、食べられるようになればいいなあとは思いますが、でも、安全面・防災面を考えると、今回、箱根町が大湧谷付近の遊歩道を進入禁止にしたのは、勇気ある決断だと思います。

 地震・火山国を宿命づけられた日本は、地震や火山と上手につきあっていくしかないようです。


<最後に2首>
 
・ 箱根山 大湧谷の 水蒸気
           タマゴゆであげ 地面ゆらすな 

・ 富士山と 兄弟姉妹の 箱根山
           どっしり ゆったり 動くな名山

           
 

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