2015年5月4日月曜日

5月5日の「こどもの日」 本当の主役は女子?

 5月5日は「こどもの日」ですね。

 「こどもの日」は国民の祝日の1つで、「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日」とうい趣旨で、1948(昭和23)年に定められました。

 えっ、「こどもの人格や幸福」はわかりますが、「母に感謝する日」がついているんですね。
 じゃあ、お父さんは、どこへ行ったのでしょう(かわいそう)?

 「こどもの日」は、ひらがな表記が正式です。これは、子供の「供」の漢字が、「大人の手下」という印象を与えるからという理由で、ひらがなになったそうです。

 「こどもの日」の祝日候補は、5月5日以外にも、3月3日や4月1日があったそうです。
 3月3日はまだ寒く、4月1日は「エイプリルフール」であったことから、昔から「端午の節句」と言われていた5月5日が選ばれたそうです。


<世界こどもの日の制定記念切手(1956年)>




 「端午の節句」(たんごのせっく)の端午は、もともと「月のはじめ(端)の午(うま)の日」を意味していましたが、「午」は「五」と同じ「ご」という音であることから、数字が重なる「5月5日」を端午の節句と言うようになりました。

 5月5日を端午とする風習は、紀元前3世紀の中国「」の国で始まったと言われています。

 楚の国王の側近の「屈原」という人がいました。
 屈原は人望を集めた政治家でしたが、無実の罪で失脚し失意のうちに川に身を投げてしまいました。

 それを知った楚の国の人たちは、ちまきを川に投げ込み魚達が屈原の遺体を食べないようにしました。
 端午の節句にちまきを食べる風習は、ここから来ていると言われています。


 日本では田植えの時期(5月頃)に、男性を戸外に出して、女性だけが家の中に閉じこもって、田植えの前に汚れを払い身を清める儀式、「五月忌み(さつきいみ)」という風習がありました。

 これが、中国から伝わった端午と結びきました。
 5月4日の夜から5月5日にかけてを、「女天下」と言い、家の畳の半畳分ずつあるいは家全体を、女性が取り仕切る日とする慣習がありました。

 なんと、5月5日の端午の節句はもともとは、「女子の節句」だったのです。
 おもしろいですね。
 今でも、5月5日を「女の家(おんなのいえ)」と言う風習が、一部の地域に残っているそうです。

 江戸時代になると、徳川幕府は5月5日の端午の節句を、「江戸城で将軍を祝う日」と定め、男の子(お世継ぎ)が生まれると、武士の象徴である兜や幟(のぼり)を飾って祝いました。

 この風習が江戸の庶民に伝わり、「幟」の代わりに、龍になるという伝説があって縁起のいい「鯉」に似せた「鯉のぼり」を立てるようになりました。
 こんな理由で、鯉のぼりは東日本から西日本に広がったそうです。



<江戸時代の鯉のぼり 歌川広重の浮世絵>


 
 現在では、たくさんの鯉のぼりを、川などに上げるイベントが全国各地で行われています。この発祥の地は、高知県四万十川と言われていますが、群馬県館林市では5000匹以上の鯉のぼりを上げて、ギネス世界記録に認定されています。

 また、鯉の代わりに、カツオのぼり(高知県)やマグロのぼり(青森県)、クジラのぼり(宮崎県)を上げるところもあります。


 最後に、こどもの日の歌」で、有名な3曲の、それぞれ1番だけを紹介します。


♪「背くらべ」 (作詞:海野 厚、作曲:中山晋平)
 
柱の傷は おととしの
五月五日の 背くらべ
ちまきたべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
昨日くらべりゃ 何(なん)のこと
やっと羽織の 紐(ひも)のたけ


♪「鯉のぼり」 (作詞:不詳、作曲:中山龍太郎)

甍(いらか)の波と雲の波、
重なる波の中空(なかぞら)を、
橘(たちばな)かおる朝風に、
高く泳ぐや、鯉のぼり。、


♪「こいのぼり」 (作詞:近藤宮子、作曲:不詳)

やねより たかい こいのぼり
おおきい まごいは おとうさん
ちいさい ひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
 

<平成のこいのぼり>



 やっぱり、こどもの日の象徴は「こいのぼり」ですね。家族の鯉が泳いでいるしね。最近は、大きなこいのぼりを上げられる環境が少なくなってきました。

 それでも、ベランダや室内、お菓子でもいいから、男子も女子も主役の鯉のぼりで、「こどもの日」を祝いたいものです。
 
 今年(2015年)は、東京国際空港(羽田空港)の国際線のエントランスに、近くの羽田小学校の小学生などが作った52匹の「鯉のぼり」が上がり、外国から来た人たちにも好評だそうです。

 また、イタリアの合唱コンクールでは、鯉のぼりを「夢のような凧(たこ)」という名前で紹介したそうです。

 11月20日が「世界こどもの日」だそうですが、日本の5月5日の「こどもの日」が男女の枠や国境を越えて国際的に広がり、「夢のような凧=鯉(恋)のぼり」が、平和のシンボルとして、世界中の平和な空を泳ぐようになってほしいものです。


<食べられる「こいのぼり」>




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