2015年5月16日土曜日

「超巨大地震と火山噴火」の連動の歴史<世界編> 箱根山は?


 箱根山の活動が、ますます活発になっています。
 2015年5月15日の火山性地震は471回とこれまでで最多になりました。

 御嶽山が水蒸気噴火を起こした、2014年9月27日の火山性地震は313回でしたので、それと比べても多いですね。

 大涌谷の噴煙は、見た目にも増していますし、有感地震も増えています。
 震源も、大涌谷周辺だけでなく、芦ノ湖周辺まで広がっているそうです。
 これって、噴火の前兆現象ではないのでしょうか?

 箱根山は、以前紹介したとおり、マグマ噴火は3200年前、大規模な水蒸気爆発は800年前を最後に起こっていない火山です。

 ということは噴火する確率は低いとも言えそうですが、一方で、噴火の前兆現象も記録に残っていないので、「はっきりとはわからない」ということにもなります。
 
<箱根山 大涌谷>



 参考にするため、ここで、世界の「巨大地震と火山噴火」の連動の歴史を見てみましょう。

 1951(昭和26)年から「東日本大震災」が起こった2011(平成23)年までの60年間に、世界では、「超巨大地震」と呼ばれるM(マグニチュード)9.0以上の地震が6回起きています。

 これらの超巨大地震と火山噴火の関係を、順に見てみましょう。


 まず1952(昭和27)年11月4日に、ロシア東部で起こったM9.0の「カムチャッカ地震」は、カムチャッカ半島と千島列島で15mを超える津波を発生させ、人口の少ない地域にもかかわらず2336人が死亡しました。

 この地震の翌日、11月5日に千島列島にあるカルピンスキ山が噴火しました。
 さらに、3年後の1955(昭和30)年10月22日、同じカムチャッカ半島にあるベズイミアニ火山が有史以来初めて(1000年ぶり?)噴火しました。
 翌1956(昭和31)年3月30日には、ベズイミアニ火山で「山体崩壊」を伴う大噴火が発生し、標高がそれまでの3058mから2882mに、176mも低くなりました。

  2つめの超巨大地震は、1957(昭和32)年3月9日に、アメリカ・アラスカ州で起こったM9.1の「アリーシャン地震(アンドレアノフ大地震)」です。
 この地震の2日後に、アリーシャン列島にある「ヴィゼヴェドフ山 」が噴火し、1年5ヶ月後には、同じアリーシャン列島のオクモク山が大噴火しました。

 3つめは、世界最大の巨大地震と言われ、1960(昭和35)年5月2日に南米チリで発生したM9.5の「チリ地震」です。
 この地震では、地球の裏側、太平洋の対岸の日本でも6mの津波が押し寄せ142名が亡くなっています。
 この地震では、2日後にコルドン・カウジェ火山が噴火するなど、1年以内に4つの火山で噴火が起きました。

<チリ地震のあと大噴火したコルドン・カウジャ火山>



 4つめの超巨大地震は、1964(昭和39)年3月27日に起きたM9.2の「アラスカ地震」です。地震の64日後に「トライデント山」 が噴火し、1年10ヶ月後にはリダウト山が噴火しています。

 5つめの地震は、2004(平成16)年12月26日に、インドネシアで起こったM9.0の「スマトラ島沖地震」です。この地震では、インド洋で大津波が発生し、20万人とも、30万人とも言われる犠牲者を出しました。
 この地震のあと、105日後にタラン山が噴火し、その後3年以内に、 メラピ山 、バレン山 、ケルート山、アナク・クラカタウ山の各火山が噴火しました。

 6つめが、2011年(平成23)年3月11日のM9.0の「東日本大震災」で、この地震だけが今のところ、大きな火山噴火が起こっていません。
 (2014年9月27日の御岳山の噴火は、死者・行方不明者63名の大きな被害が出ましたが、火山噴火としてはマグマを伴わない水蒸気噴火で、小規模なものです。)

<スマトラ島沖地震で起こったインド洋大津波>




 まとめると、この60年間に世界で起こったM9以上の世界の「超巨大地震」6回のうち、東日本大震災を除く5回の地震では、3年以内に近くの火山で大規模な噴火が起こっています。
 その確率は、5/5で100%です。(東日本大震災を入れると83%です。)

 この確率をどう考えますか?

 恐れる必要はないと思いますが、過去の世界の巨大地震の歴史から言うと、「東日本大震災」後、4年が過ぎた日本の火山で大噴火が起こっても不思議ではありません。十分な警戒が必要です。


 ちなみに、この巨大地震と火山噴火に相関関係があるという学説は、大学等の研究者たちの論文で指摘されているもので、権威のあるものです。

 もちろん、ロシアのベズイミアニ火山が超巨大地震の3年後に有史以来初(1000年ぶり?)の噴火をしたことからもわかるように、草津白根山、阿蘇山、桜島と言った活火山だけではなく、箱根山や富士山など、長い間噴火していない火山も、安心はできません。


 それでは、日本の歴史上の巨大地震と火山の関係はどうでしょうか。
 次回は、日本国内の歴史を見てみたいと思っています。

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