2015(平成27)年4月9日、沖縄県沖縄市で、不登校などの子供たちを支援するNPO法人「サポートセンターゆめさき」代表の上江田静江さん(63歳)が自宅兼事務所の建物で殺害されました。
容疑者の18歳の少年(沖縄市出身)は愛知県で逮捕されましたが、この少年は上江田さんが相談に乗っていた子供の1人だったそうです。
上江田静江さんは、不登校や引きこもりの子供たちを30年にわたって支援してきた「信念の教育者」で、不登校問題を家庭に抱える私としては、本当にショックでした。
「自他を愛し 周りに感謝 希望を持って社会人になる」
これが、上江田静江さんの座右の銘でした。
最近、私が思うのは「希望を持って社会人」になる、あるいは「希望を持って学校へ行く」という、一見、普通と思われることの難しさです。
勉強なんて二の次でいいから、まず普通に学校に行ってほしい。そう願う、私にとって、上江田静江さんの言葉は、心に沁みます。
<写真 上江田静江さん>
上江田静江(うえだ しずえ)さんは、沖縄の元小学校の先生で、1986(昭和61)年に、不登校の子供たちに勉強を教える「ゆめさき山学習塾」という活動をはじめたのが、きっかけで支援活動が始まったそうです。
次第に勉強だけでなくカウンセリングなども始めるようになり、自宅を自費で改造して本格的な支援活動をはじめます。
以来30年、NPO法人「サポートセンターゆめさき」代表をはじめ、広域通信制単位制高校学習センター「夢咲学園」の代表や、子ども若者みらい相談プラザ「sorae」の運営もしていました。
沖縄県沖縄市にある2階建ての自宅を改造し、スペースを確保するため2階への内階段を撤去して、1階を教室兼事務所にしました。
娘さんと2人で暮らす2階の自宅へは、外階段を利用することにしたのですが、この2階と外階段が殺害現場となったことは皮肉です。
上江田静江さんは、「ゆめさき農園」という農園も作り、農業活動を通じての支援教育もしていたそうです。
<ゆめさき農園での作業>
彼女が最後に遭遇したのが殺人事件であったことは残念ですが、それでも、上江田さんが30年間行った教育支援活動の輝きは、少しも失なわれるものではないと思います。
今回の殺人事件は、支援活動に真摯に取り組んだ上江田静江さんにとっては、交通事故のようなものであったと信じたいです。
12日に沖縄市で行われた上江田静江さんの葬儀には、制服を着た中学生や彼女の支援を受けた卒業生など2000人が参列し、葬儀の車列は2.5kmも続いたそうです。
葬儀であいさつに立った娘の上江田詩乃さんの次の言葉を紹介します。
「 母は、素直で明るく朗らかで、芯の通った人でした。信念を持って仕事に励み、やりがいを感じていました。
このように多くのみなさんに見送っていただき、母はきっと喜んでいると思います。
本日は、本当にありがとうございました。」
今、NPO法人「サポートセンター ゆめさき」のホームページは、メンテナス中という表示が出て見えませんが、以前の画像を見てみると、上江田さんが「夢の先」に向かう情熱が伝わってきます。
平凡や普通を目指す不登校の子供たちと保護者にとって、「自他を愛し 周りに感謝 希望を持って社会人になる」という上江田静代さんの座右の銘は、深くでもやさしく心に沁みてきます。
沖縄が生んだ信念の教育者、上江田静代さんのご冥福を祈ります。
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