2015年8月4日火曜日

「東北三大祭り」~あるいは四大祭り・六魂祭~

 8月に入って、東北各県の夏祭りが始まりました。

 「東北三大祭り」?、いや「東北四大祭り」?、それとも「東北五大祭り」?、いやいや「東北六魂祭」?

 いろいろな言い方があり、一つには決められませんが、東北の代表的な夏祭りの総称であることは、間違いないと思います。
 今回は、「東北三大祭り」を中心に、東北の夏祭りを紹介します。


 「東北三大祭り」とは、「青森ねぶた祭」(青森県青森市)と、「秋田竿燈まつり」(秋田県秋田市)、そして「仙台七夕まつり」(宮城県仙台市)の3つを言うのが一般的です。

 三大祭りと呼ばれるようになった時期は明確ではありませんが、1958(昭和33)年に、旧国鉄が「東北三大祭り」の周遊券を発売しています。


<青森ねぶた祭り 切手>




 次に、それぞれの祭りを紹介します。

 まず、「青森ねぶた祭り」は、毎年8月2日~7日に青森県青森市で行われるもので、2014年の人出は延べ259万人です。

  「風神・雷神」や戦国武将、三国志、平将門などを題材とする、「ねぶた」と呼ばれる大型の灯籠を乗せた大迫力の山車と、「ラッセーラ」の掛け声と共に、祭囃子の音にのって威勢よく踊る「はねと」がお祭り最大の見所です。

 征夷大将軍・坂上田村麻呂や豊臣秀吉を、祭りの起源とする説もありますが、有力なのは、津軽地方で古くから行われていた「精霊送り」などの風習と、「七夕祭」が融合したとする説で、眠気に宿る悪魔を払う、「眠気流し」→「ねむた」→「ねぶた」となったとも言われています。

 最初は、灯籠を川や海に流し「無病息災」を祈る行事でしたが、次第に灯籠が大型化し、江戸時代中頃には、「七夕祭」などと書かれた角型の灯籠を10人前後で担ぐようになりました。

 明治に入るとねぶたは一層大型化が進み、高さ20mを超えるものも登場しましたが、現在は、幅約9m、高さ約5m、奥行き約8mの規定ができています。

 針金を用いて複雑な造形を作る技術が生まれ、内部の明かりがロウソクから蛍光灯へ変わった昭和の中ごろから、観光行事として全国から注目されるようになり、一大イベントになりました。

 ちなみに、2015年に町を練り歩く「大型ねぶた」は22台ですが、他に、今年12月に最新作が公開される予定の、米国映画「スター・ウォーズ」のキャラクターを題材にしたねぶた4台(「ドロイドねぶた」「ジェダイねぶた」「シスねぶた」、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒ねぶた」)も、作られ展示されています。
 

 次に、「秋田竿燈(かんとう)祭り」は、毎年8月3日から6日に、秋田県秋田市で行われる祭りで、2014年の人出は延べ126万人です。

 竿燈全体を稲穂に、連なる提灯を米俵に見立て、額・腰・肩などにのせ、豊作を祈ります。
 「大若」と呼ばれる最大の竿燈は、長さ12m、重さ50kgで、提灯の数は46個にもなります。

 元々、江戸時代以前から秋田周辺に伝えられている「ねぶり流し」は、笹竹などに願い事を書いた短冊を飾り、町を練り歩き、最後に川に流す七夕の行事でした。

 それが、江戸時代中期の宝暦年間(1751年~1763年)の蝋燭の普及、お盆に門前に掲げた高灯籠などが組み合わされて、独自の行事に発展したものと言われています。


<秋田竿燈まつりポスター>



 最後の「仙台七夕まつり」は、東北最大の都市、宮城県仙台市で毎年、七夕の月遅れの8月6日~8日に行われ、2014年の人出は延べ204万人でした。地元では「たなばたさん」とも呼ばれています。

 祭りの起源は、江戸時代初期、仙台藩祖の伊達政宗(1567年~1636年)が、婦女に対する文化向上の目的で七夕を奨励したため、年中行事の1つになったともされていますが、詳細は不明のままです。

 「七夕まつり」は、時代の影響を大きく受けました。

 たとえば、江戸時代中期の1783(天明3)年には、世俗の世直しのために盛大に行われました。

 また、第1次世界大戦後の不景気以降、まつりは衰退しましたが、商店街の有志により七夕が飾られ賑わいました。

 太平洋戦争終戦の翌年の1946(昭和21)年には、空襲で焼け野原となった仙台の街に52本の竹飾りが飾られ、「七夕まつり」が復活しました。

 さらに、東日本大震災が起こった2011(平成23)年には、「復興と鎮魂」をテーマに「七夕まつり」が開催され、初めて京都・祇園まつりのお囃子も参加しました。


 以上が「東北三大祭り」ですが、これに「山形花笠まつり」(山形県山形市、8月5日~7日)を加えると、「東北四大祭り」と呼びます。

 さらに、「盛岡さんさ踊り」(岩手県盛岡市 8月1日~4日)を加えて、「東北五大祭り」とも呼びます。

  ここまでくれば、東北は6県ですから、「福島わらじまつり」(福島県福島市 8月第1金・土)も加えて、東日本大震災後には、「東北六魂祭」とも呼ぶようにもなりました。

<仙台七夕まつりポスター>




 おしまいに、「東北三大祭り」だけでなく「東北六魂祭」の中でも、最も静かで最も人出が多い、「仙台七夕まつり」を歌った名曲の歌詞を紹介します。


♪「青葉城恋唄」 (作詞 星間船一  作曲・歌 さとう宗幸  1978年) 

<2番>

七夕の飾りは揺れて 想い出は帰らず
夜空 輝く星に 願いを込めた君の囁き
時はめぐり また夏が来て あの日と同じ七夕祭り
葉擦れさやけき 杜の都
あの人は もう いない
 

<一句>

六県の 魂祭る 夏の夜
    

 

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