2015年7月1日水曜日

なでしこジャパンの主将・宮間あや選手「旅館の清掃員から世界一に」

 サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」が、「2015年FIFAワールドカップ・カナダ大会」で、4年前のドイツ大会に続いて、準決勝に進出しました。

 今回は、この「2015年なでしこジャパン」でキャプテンを務め、初戦のスイス戦で決勝ゴールを挙げた、「永遠のサッカー少女」とも言われている宮間あやさんを中心に紹介します。

 2011(平成23)年7月17日、女子ワールドカップドイツ大会決勝で、日本(なでしこジャパン)がPK戦の末、強豪アメリカに勝って初優勝した時、日本選手の中でただ1人、日本チームの歓喜の輪に入るより先に、落胆するアメリカチームの選手に駆け寄り、健闘を讃えた選手がいました。
 それが、宮間あや選手でした。

 彼女はこう言いました。
「相手がいないと試合はできない。だから、試合中は敵だけど、試合が終わればひとりのサッカー仲間です。相手にも、そう思ってもらえるようなチームでありたいと思いますし、自分たちも相手にそういう敬意を持って戦わなきゃいけないと思っています。」
 
 ラグビーの「ノーサイド(試合が終われば敵味方はない)」という言葉は、よく言われますが、いざ、世界一になった瞬間に、宮間選手のように、自分の歓喜よりも敗者へのいたわりを優先することは、容易なことではありません。
 2011年のなでしこのキャプテン・澤穂希選手が、後継者に彼女を指名したのも頷ける、すばらしい選手だと思います。

<千葉県大綱白里市の海岸>



 宮間あや(みやま・あや)さんは、1985(昭和60)年1月28日に、千葉県大網白里市(旧大網白里町)に生まれました。
 小学校1年生の時から、父が監督を務めるサッカーチームに入り、小学校5年生の時には、国際交流イベントの親善大使としてアメリカのサンディエゴで海外チームとの試合を経験しました。
 小学6年の時には、中1男子チームに混じって県大会に出場しVゴールを決めて優勝しました。

 中学・高校と、女子サッカーチーム「NTVベレーザ」(現在の「日テレベレーザ」)などで活躍しますが、千葉県立幕張総合高校2年の時に退団します。高校の男子サッカー部にも入りますが、女子であるため登録ができませんでした。

 2001(平成13)年、高校3年生で「岡山湯郷Belle」に第一期生として入団し、岡山県美作市の温泉旅館「季譜の里」で、清掃のアルバイトをしながら女子プロサッカー選手としての生活をスタートさせました。

<岡山県 湯郷温泉>



 2003(平成15)年に日本代表に招集され、「2003年アメリカ大会」と「2007年中国大会」の2つのワールドカップに出場しますが、いずれもグループリーグで敗退しました。

 このころの日本女子サッカー代表チームは、2004年に「なでしこジャパン」の愛称をもらい、ワールドカップやオリンピックに、度々、出場しますが、本大会ではあまりいい成績を挙げられませんでした。

 しかし、2008(平成20)年に、現在の佐々木則夫監督が就任してからは、「なでしこジャパン」は徐々にチーム力を挙げ、宮間選手も、ミッドフィルダーとしてチームの中心選手の1人となります。

 そして、2011年の「FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会」で優勝し、翌2012年の「ロンドン・オリンピック」でも、銀メダルを獲得しました。
 宮間選手は、ドイツ・ワールドカップでは決勝戦を含む2ゴール、ロンドン・オリンピックでも1ゴールを挙げる活躍をしました。

 「なでしこジャパン」の「なでしこ」は、清少納言の書いた『枕草子』にも、「草の花はなでしこ、唐のはさらなり  やまともめでたし」と紹介されるなど、古くから日本で愛され日本女性に例えられる「大和撫子」から取られたと言われています。
 2011年は、まさに、日本の「なでしこ」が、世界に羽ばたいた瞬間だと言えます。

  蛇足ですが、「なでしこジャパン」以外の愛称候補としては、「日本サッカー協会のシンボル」の神の使いで3本足の「八咫烏(やたがらす)」に因んだ「ヤタガール」や、「エル(=ladyの頭文字)ドリームl」などが、あったそうです。
 やっぱり、「なでしこジャパン」がいいですね。(「なでしこジャパン」は、2011年新語・流行語大賞を受賞しています。)

<なでしこの花>


  
 最後に、「旅館のアルバイト清掃員から世界一」になった宮間あや選手の言葉を、もう一つ紹介します。

「私には私の夢があるように、夢や目標は一人ひとり違うもの。ですから、いまやりたいことが見つからなくても焦らなくていいんじゃないかな。
 深く考え込まずに、まずは自分が笑顔で過ごすにはどうすればいいのか、何をしていると笑顔になれるかを考えてみて欲しい。その中からふと答えが見つかるかもしれません。」

 すごく元気が出る言葉ですね。

 ちなみに、「なでしこジャパン」の準決勝は日本時間の7月2日朝で、相手はイングランドです。
 勝てば、決勝は日本時間の7月6日朝で、相手は「アメリカ対ドイツの勝者」です。

 がんばれ、「なでしこジャパン」。
 がんばれ、宮間あや選手!

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