2015年6月27日土曜日
沖縄の悲劇と夢と「なんくるないさ」
作家の百田尚樹氏が自民党議員の勉強会で、「沖縄の2つの新聞社(琉球新報と沖縄タイムズ)はつぶさないといけない。」と発言したというニュースが流れています。
百田氏のマスコミ批判は当たらないと思いますが、確かに沖縄には独自の世論があり、主張があり、元気があり、夢があります。
今回は、「悲劇の県」とも言われる沖縄について、紹介します。
今からちょうど70年前、太平洋戦争末期の1945(昭和20)年の3月から6月にかけて、沖縄では、日本国内で起きた「最後の地上戦」と言われる沖縄戦が行われました。
この時のアメリカ・イギリス軍の犠牲者が1万4088人だったのに対し、日本側の犠牲者は18万8136人で、うち12万2228人が沖縄県人でした。このうち、9万4000人が民間人で、中には「ひめゆり学徒隊」で知られる女学生たちや、子供、老人なども大勢含まれています。
「すべての地獄を集めた」と称される、民間人を巻き込んだ沖縄戦は、凄惨を極め、使われた砲弾・銃弾は、アメリカ軍だけで砲弾6万発、手榴弾39万発、ロケット弾2万発、機関銃弾3000万発に達しました。
「鉄の雨(嵐)」が降った中で、日本側では多くの特攻や自決などの悲劇が繰り返されました。
<写真・沖縄戦の戦死者を弔う摩文仁の丘>
沖縄の悲劇は、終戦後も続きます。
沖縄は、アメリカ軍による占領統治となったのです。
日本本土が、1951(昭和26)年の「サンフランシスコ講和条約」で主権を回復してからも、沖縄は長くアメリカ軍の統治下に置かれました。
戦後、27年目の1972(昭和47)年に、やっと日本に復帰し「沖縄県」となりました。
しかし、現在に至るまで、多くのアメリカ軍基地が沖縄県内に点在し、駐日アメリカ軍基地のうち、専用施設の74%が沖縄県にあり、2万2777人のアメリカ兵が沖縄に駐留しています。
1995年に沖縄キャンプハンセンで、日本人の12歳の小学生少女がアメリカ兵に拉致・強姦された事件をはじめ、住民とアメリカ軍とのトラブルや事故が多く発生し、沖縄県民の大きな負担となっています。
実は、昭和30年代の前半までは、本土にも多くのアメリカ軍基地があり、周辺住民が米兵の犯罪に巻き込まれる事件が頻発し反対運動が起きたたため、多くの米軍基地が本土から沖縄に移転した経緯があります。
沖縄県は、地理的には日本本土と中国の中間に位置し、「中国の海洋進出の玄関」とか「軍事上の要石」とも言われており、東アジアで国際紛争が起きれば、日米の前線基地となり、再び戦場になる危険さえあります。(事実、沖縄は、ベトナム戦争でアメリカ軍が空爆を行った時の前線基地の一つでした。)
このような切迫した状況の中で、沖縄の「基地反対」「戦争反対」の機運の高まりがあることは、
理解しておかないといけないと思います。
<沖縄県の地図>
ここからは、「沖縄県の夢」の話をします。
沖縄県在住の友人が、「沖縄は子供が多く、人口も増えているさ。」と笑顔で言っていましたが、これは事実なんです。
2010(平成22)年の国勢調査によると、沖縄県の人口は139万2503人で5年前より2.3%増加しています。
増加率は全国4位で、自然増加率は1位です。
さらに、14歳以下の年少人口も17.8%と多く、全国1位です。
沖縄県というと「長寿県」のイメージがありますが、実は子供の多い、「若くて元気があり夢のある県」なんです。
もちろん、2001年にNHKで放送された朝の連続ドラマ小説「ちゅらさん」にも描かれているとおり、沖縄ではまだまだ大家族も多く、老人が幸せに暮らせる県でもあるのです。
ちなみに、琉球民族という言葉がありますが、沖縄県民の多くは、分子生物学的(遺伝子比較)には、ほぼ九州・四国・中国の人と同じです。(沖縄のみなさんが、別の民族ではなく日本人だということです。)
<沖縄の海>
最後に、最も有名な沖縄の方言の一つである「なんくるないさ」の本当の意味について、紹介します。
「なんくるないさ」は、本土では、「大丈夫」とか「なんともないよ」のような意味で、南国の沖縄県民の楽観的ないイメージとともに、とられがちです。
しかし、本当は、「真(まくとぅ)そーけー なんくるさいさ」というのが正しい使い方で、その意味は「くじけずに正しい道を歩き、努力すれば、いつかよい日が来る」という前向きなものです。
沖縄県民は、多くの悲劇の中で、どんな圧力にも負けず世間にも流されずに、正しい主張をし、努力して、自分たちの力で、未来の平和と幸せをつかむことを覚えたのだと思います。
沖縄が「日本から独立」してしまわないように、日本人みんなが沖縄を仲間として受け入れ、助け合っていくことが大切なことだと思います。
「チバリヨー(がんばれ)、沖縄。なんくるないさ!」
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