2015(平成27)年5月30日午後8時24分頃、小笠原諸島西方沖を震源とするM(マグニチュード)8.5という巨大地震が発生しました。
東京都小笠原村や神奈川県二宮町で最大震度5強の揺れがあり、北海道から沖縄県まで、全国で震度1~5の揺れが発生しました。
この地震は、大きな被害を出した関東大震災(1923年 M7.9)や阪神淡路大震災(1997年 M7.3)をはるかに上回り、1885年以降に国内で発生した地震では、東日本大震災(2011年 M9.0)に次ぐ、2番目の規模の巨大地震でした。(マグニチュ-ド(M)が1上がると、地震の規模は30倍といわれています。)
幸い、震源の深さが590kmと極端に深かったため、津波は発生しませんでした。
ちなみに、津波の発生の目安は、(1)震源が海、(2)地震の規模マグニチュード(M)が6.5以上、(3)震源が60kmより浅い、の3つですが、今回は3番目の震源の深さが基準より深く、津波は発生しませんでした。
気になるのは、気象庁が「異常震域」と言っているように、今回の地震が非常に深いところであたった地震としては、世界的にも初めてと言っていいほどの規模の「巨大地震(M8.0以上)」であったことです。
地震の専門家も「聞いたことがない」という、今回の「異常震域の巨大地震」は、いったい、何を意味するのでしょうか。不気味です。
当分の間、地震についての十分な注意が必要だと思います。
<小笠原諸島>
もう一つ、気になるのが火山の噴火と巨大地震の関係です。
「異常震域の地震」が発生した前日、2015(平成27)年5月29日、鹿児島県の口永良部島の火山が爆発的噴火をして、9000mまで噴煙が上がり、火砕流が発生し、「噴火警戒レベル」が初めて最高の5になりました。
以前紹介したように、超巨大地震(M9.0以上)の後には、近くの火山が大爆発するという歴史的事実があります。
今回の口永良部島の大噴火は、「東日本大震災(2011年3月)」から4年余りで日本で起きた地震で、ある意味、「超巨大地震と火山噴火の連動」が証明されたのかも知れません。
しかし、「超巨大地震後に複数の火山が大噴火」した例が、過去にたくさんあることからも、「東日本大震災」後の火山の大噴火が、これで終わりでない可能性も十分にあります。
御嶽山の噴火、桜島噴火、西之島噴火と近海変色、箱根山の膨張と火山性地震、など不気味な動きをする火山は、他にもたくさんあります。
さらに、5月30日の小笠原諸島西方沖の地震は、M8,5という巨大地震ですが、M9,0の超巨大地震までは言えない微妙な規模です。
この規模の深い震源の地震が、この後、日本の火山や地震にどんな影響を及ぼすのか、十分な備えをしながら、注視していく必要がありそうですね。
最後に、火山が大噴火した鹿児島県の口永良部島について、紹介します。
口永良部島(くちのえらぶじま)は、屋久島の西方約12kmに位置する南海の火山島で、屋久島や種子島などと「大隅諸島」を形成しています。
島全体が、鹿児島県熊毛郡屋久島町の大字「口永良部島」で、全域が屋久島国立公園になっています。
島はひょうたん型をしており、「南海ひょうたん島」とも言われています。面積は、38.04k㎡と小さいのですが、島の形はいびつで周囲の長さは49.6kmもあり、島の中の移動手段は車で、ガソリンスタンドもあります。
島の噴火の歴史を紹介します。
口永良部島は、もともと火山島で古くから噴火し、島が火山噴火で形成されたものと考えられています。
残っている一番古い記録は、江戸末期の1841(天保12)年5月22日に新岳が噴火したものがあります。
この年の8月1日には、「集落が焼失し、死者多数出た」との記録があります。
1933(昭和8)年から1934(昭和9)年にかけて、大きな噴火があり、 「七釜」という集落は、噴石により全滅して、死者8名、負傷者26名が出ました。
1966(昭和41)年11月22日 に、新岳で噴火し、小規模火砕流が発生しました。空振は、鹿児島市や種子島でも体感され、負傷者3名が出ました。
また、昨年(2014年)8月3日にも新岳が噴火し、噴煙が800m上空まで上がりました。
今回は、9000mまで噴煙があがったことから言っても、今度の噴火の大きさがわかると思います。
<口永良部島マップ>
島の人口は、2歳の幼児から90歳を超えた老人まで、総勢137人(世帯数79、2014年10月末現在)です。
1993年(平成5年)の人口173名と比べると、20年で20%余りの人口減となっています。
それでも、島には、役場出張所や診療所(医師は常駐していません)、金岳小学校、金岳中学校、商店、郵便局、民宿などがあります。
島の小中学校への「里親式の山村留学制度」も行い、島民は平和で幸せに暮らしていました。
ところが、今回の噴火で全島避難となり、島民全員が屋久島や鹿児島、大阪などに避難しています。
早く、「南海ひょうたん島」での平和な生活を取り戻してほしいですね。
一句
・ 大地揺れ 火山が吠えて 警戒モード
一首
・ 南海の 小島の山の 噴煙に 地球震える 海底深く
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