「見上げてごらん夜の星を♪」や「星に願いを♪」など、日本にも外国にも、「星」をテーマにしたたくさんの名曲があります。
今回は、そんな星の中でも、最も謎の多い星の一つ、元太陽系第九惑星「冥王星(めいおうせい)」について紹介します。
2015(平成27)年7月14日、NASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機「ニューホライズンズ」が冥王星に13,000kmまで最接近し、撮影した画像の一部が公開されました。
冥王星が1930(昭和5)年に発見されて以来、85年を経て、やっと冥王星の姿が鮮明にわかってきたと言えるでしょう。
氷点下220度の冥王星の表面には、なんと「ハート型」の白い部分と、NASAが「クジラ」と呼ぶ魚の形の黒い部分が発見されました。(ハート型の部分は、冥王星の発見者にちなんで、「トンボー領域」と名付けられました。)
地球から48億km離れた太陽系の果ての「冥王星」に、ハートとクジラが見えるなんて、宇宙のロマンですね。
他にも、冥王星には、標高3500m、「富士山級」の山があるそうです。
<冥王星の画像>
「冥王星(めいおうせい)」は、直径2370km(地球の18.5%、約5.4分の1)の大きさで、以前は「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」と学校で教えられていたように、太陽系の1番外側を回る、太陽系第九惑星と言われていました。
1930(昭和5)年に、アメリカの天文学者クライト・トンボーが発見した冥王星は、実は発見前の19世紀後半から、学者たちが「惑星X」として予測されていました。
これは、天王星の軌道の振動の分析から、計算上、「第九惑星」の存在の可能性が指摘されていたものです。
ただし冥王星は、学者たちの予測した「惑星X」にしては、小さすぎるとの指摘もありました。
長らく、太陽系第9惑星と位置付けられ、冥王星の大きさは「水星と火星の間」と考えられていました。
ところが、1978(昭和53)年に、冥王星に衛星「カロン」が発見され、今まで「冥王星」と思われていた光の点は、実は、冥王星と衛星「カロン」の2つの星が合わさったものであることがわかりました。
その結果、冥王星の大きさは、月より小さいことが判明し、本当に「太陽系第九惑星」かどうかが議論されるようになりました。
衛星カロンは、冥王星の半分ほどの直径があり、質量は7分の1です。
冥王星とカロンは、公転と自転の周期が同じで、互いに影響しながら宇宙空間で回る「二重天体」とも言われています。(現在でも、ハップル望遠鏡以外の望遠鏡では、視覚で2つの星の区別をすることはできません。)
2006(平成18)年8月、チェコのプラハで開かれた国際天文学連合 (IAU) 総会で投票を行い、冥王星は、惑星(planet)から準惑星(dwarf planet)に降格になりました。
惑星と準惑星の違いは、「軌道上のほかの天体を排除しないこと」等だそうですが、正直、小さいだけで、太陽から1番遠い所を、248年もかけてがんばって廻っている冥王星を降格するのは、かわいそうだと思います。
冥王星を舞台にした漫画(「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」)も書いている、あの松本零士さんがコメントされたように、「理論的には正しいが、人々が持つ宇宙への夢に対する配慮に欠けた決定。」ではないかと思います。
今回、冥王星に接近して写真を送ってくれているNASAの探査機「ニュー・ホライズン」が、打ち上げられたのは2006年1月で、冥王星が「降格」する7ヶ月前でした。
それから、9年半かけて48億キロの旅の末に、ニュー・ホライズンは、冥王星に最接近しました。
打ち上げが、もう少し遅ければ、探査機が冥王星に向かうこともなく、宇宙に浮かぶ「ハート」や「クジラ」も、発見されなかったかも知れませんね。
<夜空>
冥王星の英語名は、「pluto(プルート)」と言いますが、これはローマ神話で冥府の王であるプルートにちなんで付けられ、最初の2文字「PL」は、発見者トンボーが冥王星を発見したローウェル天文台の設立者パーシヴァル・ローウェルのイニシャルであるとも言われています。
冥王星が惑星から降格したことで、plutoには、「降格させる」という動詞の意味が加わったそうです。
また、原始番号94番のプルトニウム(plutonium)は、冥王星の名前からつけられたもので、核兵器や原子力発電の燃料にもなる放射性物質です。
冥王星には、ネガティブな話が多いですね。
最後に、冥王星のポジティブな話をします。
みなさんは、あの「夢の国・東京ディズニーリゾート」に、冥王星の名前をもったキャラクターが、いるのを知っていますか。
そう、ディズニー・ファンなら知っているミッキーマウスの愛犬の名前が「プルート(冥王星)」なのです。
先に紹介したように、2006年に国際天文学連合が「冥王星を惑星から準惑星に降格する」と決議した時に、ディズニーは、「プルートは、白雪姫の『七人の小人(ドワーフ)』たちとともに、小さくてもがんばる。」との声明を出したそうです。
さすが、ディズニーは、夢のあることを言いますね。
冥王星は、小さすぎて「準惑星」に降格しましたが、実は、冥王星は、「小惑星」という卵から、「惑星」というニワトリになる中間の星、いわば「ヒヨコ星」なんです。
ということは、遠い将来、他の小惑星を飲み込んで大きくなれば、メジャー(惑星)に昇格することも、夢ではないのです。
1970年代に打ち上げられた宇宙探査船、「パイオニア」や「ボイジャー」には、冥王星が惑星であることを示す、「金属板」や「金のレコード」が搭載されていて、はるかな宇宙空間を旅しています。
つまり、惑星「冥王星」の名前は、宇宙的に「永遠に不滅」なのかも知れません。
こんなことを考えながら、夏の夜空を見上げてみるのも、いいかも知れませんね。
<俳句>
・ ヒヨコ星 億年先は プラネット(惑星)
・ 夢信じ 彷徨う君は 小惑星
0 件のコメント:
コメントを投稿