進路に近い、九州、中国・四国、近畿、中部、関東・東北の地域の皆さんは、早めに十分に警戒してください。
今回の台風5号は、動きが遅い上に迷走し、2017年7月21日の午前9時に誕生以来、16日を超えています。
これは、平均5.3日が寿命の台風の中では、非常に長寿で、8月6日夕方の時点で過去4番目の長寿台風になっています。
ちなみに、過去で一番長寿だったのは、1986(昭和61)年の台風14号で、19日と6時間という記録をもっています。(8月18日~9月6日)
台風の寿命が長いということは、長い間、風雨が強くなりますので、厳重な警戒が必要です。
台風5号は、2017年8月6日19時現在、北緯31度25分、東経132度05分の九州の都井岬の東70kmにあって、1時間に15kmの速さで北東に進んでいます。
中心気圧は975hp(ヘクトパスカル)、中心付近の最大風速は30m/sで、中心から90km以内で25m/s以上の暴風が吹いています。
気象庁の予想では、7日6時に高知県の足摺岬付近、7日18時には兵庫県明石市付近に、中心が進む見込みです。
今回は特に、集中豪雨を含む大雨と暴風、さらには高波と高潮にも警戒が必要です。
<台風5号 2017年8月7日0時現在 気象庁HP>
先月紹介した大雨・洪水・避難の情報を、もう1度、わかりやすく紹介します。
まず、大雨についての気象情報には、基本的には「大雨注意報」「大雨警報」、そして「大雨特別警報」の3つがあります。
大雨注意報は、「大雨による災害(浸水や土砂災害など)が起こる可能性があることを知らせ、災害への準備や情報取得などに注意するよう呼びかけるもの」です。
一方、「大雨警報」は、「重大な災害が起こることを警告するもの」で、自治体の避難情報に合わせての避難や、住宅でとどまる場合でもより安全な場所(2階や崖から離れた部屋)でいるなど、大雨災害への警戒を呼びかけるものです。
「大雨注意報」や「大雨警報」の発表基準は、浸水災害については「その場所及び流域の1時間または3時間雨量」、土砂災害については「地面にどれぐらいの雨量が含まれているか(土壌雨量指数)」です。
ちょっと難しい数値ですので、東京都千代田区を例にして思い切って簡単に言うと、「大雨警報」は、1時間34mm以上の大雨が予想される時か、「累積雨量-時間数×2」が180mmを超えた時に発表されます。
この「大雨警報」より、さらに危険度が高まり、数十年に1度の大雨が予想される時に出されるのが「大雨特別警報」で、これは、その地域にいる人に、ただちに命を守る行動をとるように呼びかけるものです。
<「大雨関係の気象情報の活用例」気象庁HPより>
「大雨注意報」「大雨警報」「大雨特別警報」を補完する情報として、気象庁が発表するのが、1時間100mm以上の猛烈な雨が降った場合(雨量計のない所ではレーダー解析などで推定)に出されるのが、「記録的短時間大雨情報」です。
今年は、この情報が7月末までで50回以上と非常に多く、集中豪雨への備えが必要です。
また、ある地域の土砂災害の危険性が増しただちに避難する必要がある場合に、気象庁と都道府県などから共同で出されるのが「土砂災害警戒情報」です。
ここまでをまとめると、大雨情報の危険度ランクでは、低い方から高い方へ「(1)大雨注意報→(2)大雨警報→(3)記録的短時間大雨情報・土砂災害警戒情報→(4)大雨特別警報」ということになります。
特に、(3)及び(4)は「スーパー警報」と言ってもいい情報で、この場合は、全力で身を守る行動(避難が基本ですが、浸水などがあれば自宅の安全な場所でいることも選択枝です)が必要です。
もう一つ、「竜巻注意情報」は、雷雨警報が出ている時に、竜巻の恐れが高まった時に出されるもので、有効期間はおよそ1時間で、その後も継続される場合は、何度も出されます。
一方、気象庁が単独で発表する「洪水警報」とは別に、川の増水やはん濫などに対する水防活動や住民の避難行動の参考となるように、「気象庁と、国土交通省または都道府県の機関」とが共同して、「あらかじめ指定した河川」について、洪水の予報を行うのが、「指定河川洪水予報」です。
危険度の高い方から順に、「レベル5 はん濫発生情報(洪水が発生している状態)」、「レベル4 はん濫危険情報(はん濫が発生する危険が差し迫っている状態)、「レベル3 はん濫警戒情報」、「レベル2 はん濫注意情報」、「レベル1 水防団待機水位」があります。
ここでも、レベル4になると「ただちに避難が必要」ですが、すでにはん濫しているレベル5の場合は、避難ルートが浸水しているかどうかを見て、より安全な行動をとることが必要です。
さらに、避難の必要性を、市区町村などの自治体が住民に呼びかけるのが、避難情報です。
まず、「避難準備情報」は、文字通り避難準備をするようにとの情報ですが、お年寄りや子供など自分だけで避難出来ない人は、この段階での避難が必要です。(2016年、岩手県のグループホームで避難が遅れ多くの犠牲者が出たことを思い出してください。)
次に「避難勧告」は、危険が迫っているので避難をするように呼びかけるものです。
さらに、明白な危機が迫ったときに出されるのが「避難指示」です。
ただし、避難情報は市区町村長の判断で出すので、最近は、行政の出し遅れの責任回避のために「○○市全域に避難指示」という場合も多く、自分のいる場所がどのようになったら避難するのかは、普段から各家庭や職場で考えておき自主避難の基準を考えることも重要です。
気象庁は、最近発生した多くの重大災害や、競争相手である民間気象会社が出来た危機感から、たくさんの気象情報を出してくれています。
しかし、問題は、これらの情報を適切に国民に伝え、私たちがその情報をうまく活用できるかどうかです。
防災気象情報を、スマホやテレビ・ラジオ、防災無線などで収集し、台風5号の接近に厳戒してください。
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