2017年8月20日日曜日

アイドルの坂道(9)NGT48「青春時計♪」とバイトAKBから神7になった荻野由佳さん

「おーい(なーに?)なんでもなーい、なんでもなーい。何があってもへこたれない。『おぎゆか』こと、荻野由佳です。」  これは2017年のAKB48選抜総選挙の速報で1位になり、最終的にも5位に入り、神7の一角を占めたNGT48の荻野由佳さんの自己紹介のキャッチフレーズです。

 今回の「アイドルの坂道」は、新潟という地方都市を拠点に大躍進をとげたNGT48と、文字通りアルバイトのアイドル「バイトAKB」から神7に躍り出たミラクル・ガール、荻野由佳さんを中心に紹介します。


 NGT48(エヌジイティフォティエイト)は、劇場のある「新潟(NiiGaTa)」からとった名前で、現在25名が所属(うち16名が選抜にあたるチームNⅢに所属)しています。
 このうち、キャブテン北原里英さんは、AKB48・SKE48兼任からNGT48に移籍し、総選挙で2位になったこともあるAKB48の柏木由紀さんが兼任、AKB48グループドラフト会議で2名(西潟茉莉奈さんと荻野由佳さん)が指名され、AKB48グループで活動歴があるこの4名が核となっています。

 4名以外の22名が、2015年7月のオーデションで1期生として合格し、当初計26名でしたが、現在は1人卒業して25名となっています。
 25名のうち地元新潟県出身が11名います。 他にも北陸から2名(富山県1名、石川県1名)、東北から2名(青森県2名)、長野県1名の計15名が、東北・北信越地域の出身です。

 新潟市の人口は約80万人で、本州日本海側の最大の都市で唯一の政令指定都市です。
 人口100万人未満の都市に、AKB48グループが設立されたのは、NGT48が初めてです。
 でも、人口が少ない分、地域のバックアップがすごく、新潟県や新潟市をはじめ、約50の地元企業が協力し、地元メディアやイベントへの露出も多くなっています。

 新潟駅にはNGTのポスターや写真・サイン色紙があふれ、町には新潟交通の「NGT48ラッピングバス」が走っています。新潟はまさに、NGTの県、NGTの市になっています。
 グループのシンボルマークも、新潟県の県の鳥「朱鷺(とき)」です。

 
<写真 新潟を走るNGT48ラッピングバス(NGT48誘致の中心企業の一つ新潟交通のバス)>




2016年3月発売のAKB48シングル「君はメロディー」に、NGT48の初のオリジナル曲「Maxとき315号♪」が収録され、発売されました。 また、この曲でNGT48は、上越新幹線のPRをするJR東日本とタイアップしました。

 NGT48のメジャーデビュー前の曲「Maxとき315号」が、2017年1月に開催された『AKB48グループ リクエストアワーセットリストベスト100 2017』で、なんと1位になりました。
 このあと、NGT48は、2017年4月に「青春時計♪」でメジャーデビューし、新潟県はもちろん、全国的な人気グループになりました。
 発売週のオリコンとビルボード・ジャパンで1位になり、20万枚以上を売り上げ、順調な売れ行きを記録しました。 また、オリコンの「2017年上半期シングル新人アーティスト部門」でもNGT48が1位になりました。

 2017年6月の「AKB48選抜総選挙」では、日本中をあっと驚かせることが起きました。

 開票速報で、指原莉乃さんや渡辺麻友さんらの本命候補を押さえて、NGT48の荻野由佳さんが1位になったのです。
 続いて、沖縄で行われたAKB選抜総選挙の本番でも、荻野由佳さんが5位となり神7(かみセブン)に入ったのをはじめ、キャプテンの北原里英さんが10位、本間日陽さんが13位にランクインし、NGT48が16人のAKB48の選抜メンバーのうち3人を占めました。
 さらに、去年の新潟での総選挙では、80位までにランクインしたのは76位の加藤美南さん1人だったのが、今年は80位までにNGTメンバーが、なんと10人も入る快挙となりました。

 NGT48は、2015年7月の結成から2017年4月のメジャーデビューまで2年近くを要しています。
 実はその間、NGT48は新潟でイベント参加や地元マスコミへの出演など、地道な活動を続けていました。ローカルCMや野球のBCリーグの始球式、村上市のお祭りなどにもメンバーが出ています。

 「東京の秋葉原(AKB)」「名古屋の栄(SKE)」「大阪の難波(NMB)」「福岡の博多(HKT)」と、AKB48グルウープは都市名ではなく劇場のある地域名の頭文字をとってグループ名にしてきました。
 しかし、NGTは、劇場がある新潟市中央区万代地区ではなく、「新潟」という都市名あるいは県名をグループ名に使用しています。


 それだけNGTは、新潟に愛着をもっていて、「新潟で生まれ新潟で育ったグループ」と言えると思います。そのNGTが全国的な人気を誇るようになり、「地域アイドルグループの星」と言ってもいい存在になっています。


 ここで、新潟のことを歌っているNGT48の初のオリジナル曲「Maxとき315号」の1番の歌詞を紹介します。


♪「Maxとき315号」(作詞:秋元康、作曲:松本一也、歌:NGT48)♪


最後のトンネルを
抜ければ近づく美しいあの街
希望が住むと信じて来た
私が生まれ育った
すべてを知ってほしい

一番大事な人を
連れて帰ること
出逢ったあの夜
約束した

未来はいつも思ったよりも
やさしくて
風景がふいに滲んで来る
夢が叶うと
その想いが溢れ出して
瞳から伝えたくなる
あなたと一緒に歩きたい♪


 私が新潟を訪れた時のイメージは「銘酒と水族館がある落ち着いた日本海側の街」でしたが、NGT48の活躍で、「希望が住む街」「夢が生まれる街」になったようですね。


<NGT48とJR東日本がタイアップした上越新幹線の「Maxとき」PRポスター>





 ここからは、AKB48選抜総選挙で、速報1位、最終的にもバイトAKBから神7(カミセブン)の5位に入った荻野由佳さんを中心に、紹介します。 荻野由佳(おぎの ゆか)さんは、1999(平成11)年2月16日生まれの18歳で、埼玉県越谷市出身です。

 NGT48は、新潟県と近県出身者が多いと紹介しましたが、キャプテンでAKB48・SKE48兼任から移籍した北原里英さんは愛知県出身、NGT48兼任のAKB48柏木由紀さんは鹿児島県出身、AKB48グループドラフト会議で1位指名された西潟茉莉奈さんは東京都、2位指名の埼玉出身の荻野由佳さんも含め、オーデション合格者以外の4人は、実は新潟県から遠い都県の出身です。


 荻野由佳さんは、AKB48グループのオーデションを2011年から受験し、13期生、14期生、15期生、チーム8などのオーデションに次々と不合格になりました。
 他のオーデションも含めると10回以上落ちています。

 それでも、「何があってもへこたれない」荻野由佳さんは、2014年9月の「バイトAKBプロジェクト」に合格し、バイトAKBとして活動を開始します。
 しかし、バイトAKBは2015年2月28日で雇用契約期限が満了します。

 それでもへこたれない荻野由佳さんは、2015年5月10日に有明コロシアムで開催された『第2回AKB48グループ ドラフト会議」に参加し、NGT48から2巡目で指名されました。(一巡目は、西潟茉莉奈さん)
 そして、2015年5月24日、荻野由佳さんは晴れて「NGT48」の正規メンバーになり、副キャプテンに就任しました。

 2016年の「第8回AKB48選抜総選挙」では95位と圏外でしたが、翌年2017年6月の「第9回選抜総選挙」では、速報1位、最終5位と、見事、「バイトAKBから神7入り」という奇跡を起こし、シンデレラガールになりました。

 総選挙5位に入った荻野由佳さんの直後のスピーチの一部を紹介します。

「私は、小学校6年生頃からAKB48グループに憧れ続けてきました。
 4年間ずっとオーディションを受けてきました。ずっと落選が続き、48グループは憧れのまま終わってしまうんじゃないか、そう諦めかけていました。

 そんな時に、ドラフト会議というものに参加しました。北原里英さん、柏木由紀さん、そして支配人の今村さんたちが、私をNGT48に選んでくれました。

 一人暮らしで不安もありましたが、新潟県へ期待を寄せて引っ越しました。新潟に来て、本当に良かったなって、今すごく思います。

 私は落ちこぼれでした。
 夢は絶対に叶わない、『努力は必ず報われる』そんなもの嘘に決まってるじゃん、ずっとそう思ってました。
 でも、どうしてもAKBグループに入りたくて、ずっと、一生懸命、オーディションに参加しました。

 今、憧れていたAKBグループに入り、総選挙で、こんなに素敵な順位をいただけるとは、思ってもいなくて夢のようです。
 今まで諦めずにAKBグループのオーディションを受けてきて良かったなと思いますし、応援してくれる皆さんがいてくれて、本当に良かったなと思います。

 高橋みなみさん(前AKB48キャプテン)に『おぎゆかが、努力は必ず報われるを次に証明してね』と言われました。
 私は、『努力は必ず報われる』を今、証明できていますか? 

 きっと目標があっても、たどり着けなくて、挫折もたくさん経験している方はいると思います。
 そんな方にも、私のキャッチフレーズである『何があってもへこたれない』を、皆さんの心で言い聞かせてほしいなと思います。

 本当に本当に、いつも応援してくれる皆さんのおかげです。
 こんな無名の私をここまで追い上げてくれて、本当に本当にありがとうございます。そして、私をアイドルにしてくれて、ありがとうございました。」


 感動的なスピーチですね。
 「アイドルの坂道」を、まさかの新潟から上った荻野由佳さんとNGT48を応援したいですね。


<写真 雪の新潟市を流れる信濃川と万代橋>




 最後に、NGT48のメジャーデビュー曲「青春時計」を紹介します。   「青春時計」は、久々に聞く「青春」という言葉の新鮮さ・懐かしさと、歌詞とメロディーの親しみやすさ、何より天使の羽付きの衣装を着たNGT48のメンバーのかわいさが印象的です。
 センターは、1997年8月23日生まれで富山県出身の中井りかさんです。

 NGTは、「劇場のある地域ではなく都市名・県名を名前にした」と紹介しましたが、NGTの劇場がある新潟市万代シテイーを軽視しているわけではありません。

 その証拠に、「青春時計」の公式MVは、万代シテイー周辺で住民参加のロケをして撮影され、2017年8月現在で、再生回数は270万回を超えています。

 余談ですが、「青春時計」の公式MVが撮影されたのは、2017年2月16日でした。実はこの日は、荻野由佳さんの18歳の誕生日で、撮影終了後、荻野さんは、エキストラも含め出演者全員から祝福を受けました。

 「青春時計」の歌詞を聴くと、学生時代の初恋を思い出しキュンとなります。
 新潟とNGT48の応援のためにもと思い、私も思わずCD&DVDを買ってしまいました。

 それでは、まさに「青春」の歌詞を紹介します。



♪「青春時計」(作詞:秋元康 作曲:大川原昇 歌:NGT48)♪


春の制服 スカート揺らし
ガードレールをぴょんと跳んで
君は全力走って行くよ
風は後から 追いかけて行くよ

どうしてこんなに眩しいんだろう?
どうしてこんなに切ないんだろう?

僕はきっと恋をしている
桜舞う 日差しの通学路

遠くでいい 何にも始まらなくていい
(片想いは僕のもの)
声かけず 一瞬だけ
(一瞬だけ)
君と会いたいんだ
(アオゾラノシタ)

チックタック チックタック
知らぬ間に 時計は刻んでる
輝きながら 過ぎていく日々
いつかこの日を思うのだろうか?
ああ 今 叫びたくなる
感情こそが 青春

(中略)

チックタック チックタック
針のない時計は 止まらない
こんなに好きになっちゃうなんて
僕も今日まで想像しなかった
ああ でも 何もできない
思い出こそが 青春♪

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