2017年8月12日土曜日

季節の歳時記 「ひまわり」エトセトラと名曲「ひまわり娘」♪

暦の上では「立秋」になりました。
でも、まだまだ夏真っ盛りの暑さですね。
そこで今回は、夏を代表する花「ひまわり」のことを紹介します。


ひまわり(向日葵)はキク科の1年草で、英語でサンフラワー(Sunflower)、フランス語でソレイユ(Soleil)とも呼ばれる、人気の花です。

ひまわりの原産地は北アメリカです。
ひまわりの種はカロリーが高く、ビタミンやミネラルが豊富で栄養分が高いことから、紀元前からインディアンの食用とされていました。

ヨーロッパには、1510(日本では戦国時代)年にスペインの「マドリード植物園」で栽培されたのが最初だという説と、1569年にスペインの医師モナルデスが伝えたという説があります。
1596年(日本では安土桃山時代)に、イギリスにひまわりが伝わってきた時の記述が「本草書」にあり、「インド(アメリカと勘違い?)の太陽の花」または「ペルーの黄金の花」と書かれています。

日本では、江戸時代初期の寛文年間(1661年~1672年)に伝わり、「訓蒙図集(さんもうずい)」という本に、「丈菊、俗に言う天蓋花」と紹介されています。


<写真 ひまわりの花>

 




 ひまわりは日本では主に観賞用として栽培されてきましたが、欧米ではひまわりに多量の油が含まれることから、「ひまわり油」をとる植物として、大規模に栽培されています。
1830年頃から、ロシアでひまわりが大量に栽培され、ひまわり油が大切な商品となっていました。
 今でも、ロシアではひまわりは大切な農業作物で、「ひまわり」が国花となっています。

 2014年の統計資料では、世界全体のひまわりの種の生産量は4100万トンあまりで、油料用植物としては、大豆、菜種、綿花についで、4番目の多さを誇っています。
 国別では、1位がウクライナの1000万トン、次いでロシアが900万トン、3位がアルゼンチンの298万トンとなっています。

 一方、アメリカでは、ひまわりの種は健康食品として人気が高く、スーパーマーケットでも売られています。


 「ひまわりの絵」というと、オランダの画家「フィンセント・フォン・ゴッホ」(1853年~1890年)が書いた絵が有名ですが、7枚とも11枚とも言われる「ゴッホのひまわり」の大半は、フランス南部のアルルで書かれたと言われいます。
 今でもゴッホの墓にはひまわりが植えられていて、画家を志望する人たちが、ひまわりの種を持ち帰っているそうです。

 ひまわりの花言葉は、「あこがれ、情熱、熱愛、輝き」などが代表格ですが、本数や種類によって変わるなど、たくさんの花言葉があります。


 ひまわりの花は、実は大きな一つの花ではなく、キクなどと同じく小さな花が集まったもので、「頭状
花序」(とうじょうかじょ)と呼ばれています。
  ひまわりと同じキク科の、たんぽぽやキクも同じ構造です。


 ひまわりは、真夏に大きくて黄色の花をつけるため、日本ではとても人気があります。

 たとえば、「気象衛星ひまわり」は、1977年に1号が打ち上げられ、現在も7号、8号、9号が宇宙空間で、日本付近の気象監視にあたっています。

 また、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」には、主人公・野原しんのすけの妹として、野原ひまわりちゃんが登場します。

 他にも、北海道北竜町の「ひまわり咲ちゃん」や、茨城県那珂市の「ひまわり大使ナカマロちゃん」、徳島県阿南市の「あななん」など、ひまわりをモチーフにしたゆるキャラが、全国で愛されています。


<写真 ひまわりとライオンの妖精? ゆるキャラ「あななん」(徳島県阿南市)>





 おしまいに、 ひまわりの名前の由来についての、ロマンチックな話を紹介します。    

 ひまわりの花は、その名のとおり、成長期には太陽を追って花の向きを変え、朝は東を向き、夕方は西向きになります。
 この性質から、こんな話があります。

 ギリシャの海の精・クリティエーは、太陽神アポロンに一目惚れしました。
 しかし、アポロンは女神カイアラピに夢中で、クリティエーには振り向いてもくれません。

 それでもクリティエーは、朝から夕方まで、毎日、アポロンを見つめていました。
 朝、東の空から昇るアポロンを目線で追い始め、昼間は南の空の方向に、そして、夕方は西の空に沈むアポロンを見つめ続けました。
 この間にクリティエーが口にしたのは、露と自分の涙だけでした。 

 毎日、毎日、これを繰り返しても、アポロンは振り向いてくれません。
 やがて、クリティエーの体から根や葉が生え、とうとうひまわりになってしまいました。
 ひまわりの花になってもクリティエーは、毎日、東から西へ、太陽(アポロン)を追って、その花を動かすようになりました。

 少し、悲しいけど、ロマンのある話ですね。

 ただし、先に紹介したように、ひまわりがヨーロッパに渡来したのは16世紀ですので、この話は本当のギリシャ神話ではありません。

 
 最後に、今でもCMなどで使われている名曲「ひまわり娘」を紹介します。

 もともと「ひまわり娘♪」は、1974(昭和49)年に、「スター誕生」からデビューした当時のアイドルの1人、伊藤咲子(いとう・さきこ 1958年~ 東京都出身)さんが歌った曲ですが、オリコンの最高順位は20位で、大ヒットではありませんでした、

 しかし、阿久悠さんの作詞した歌詞と、イスラエル人でイギリス委任統治領パレスチナ出身のシュキ・レヴィさんの作曲した美しいメロディーが長く愛され、2000年代に入っても「めざましテレビ」や、プレステーション3のゲームソフト「ぼくのなつやすみ」、さらに生命保険のCMにも使われています。

 誰もが耳にしたことがある名曲ですね。クリティエーの話を思い出しませんか。

 
♪「ひまわり娘」(作詞:阿久悠 作曲:シュキ・レヴィ(LEVY SHUKI)、歌:伊藤咲子)♪


誰のために 咲いたの
それはあなたのためよ
白い夏のひざしをあびて
こんなに開いたの

恋の夢を求めて
まわる ひまわりの花
そして いつも見つめてくれる
あなた太陽みたい

涙なんか知らない
いつでもほほえみを
そんな君が好きだと
あなたはささやく

もしも いつか あなたが
顔を見せなくなれば
きっと 枯れて しまうのでしょう
そんな ひまわりの花

涙なんか知らない
いつでもほほえみを
そんな君が好きだと
あなたはささやく

誰のために 咲いたの
それは あなたのためよ
あなただけの花になりたい
それが私の願い

あなただけの花になりたい
それが私の願い♪


<新 ルナールの言葉 (1)>

「ひまわり(向日葵)」
---子供の頃は太陽に憧れ追いかけているが、
   大人になると大輪をバラバラにして、たくさんの種を残して消えてゆく。
   はかない「真夏の夜の夢」のような花。


 

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