2017年1月22日日曜日

トランプ新大統領(2)就任演説と名言・迷言・プロフィール

 
2017年1月20日(現地時間)、アメリカの首都ワシントンD.Cで、ドナルド・ジョン・トランプ氏が、第45代アメリカ合衆国大統領に就任しました。
トランプ大統領を取り上げる2回目は、プロフィールと名言・迷言そして暴言?を紹介します。


まずは、前回紹介したキーワードの「America First(アメリカ・ファースト)」と、スローガンの「 Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」が登場したトランプ新大統領の就任演説から、名言を紹介します。


Today's ceremony, however, has very special meaning. Because today we are not merely transferring power from one administration to another, or from one party to another - but we are transferring power from Washington, D.C. and giving it back to you, the people.

(今日の式典《大統領就任式》には、特別な意味があります。単に、一つの政権から他の政権に、一つの党から別の党に、権力を移しただけではないのです。私たちは権力を、ワシントンから国民のみなさんにお返しします。)

What truly matters is not which party controls our government, but whether our government is controlled by the people.

(本当に大事なのは、どちらの党が私たちの政府を仕切っているかではなく、私たちの政府を国民が仕切っているかどうかです。)


 この言葉には賛否があるでしょうが、官僚政治(ワシントン)から国民に、政治権力を取り返すという意味では象徴的な言葉だと思います。


<写真 スローガンの書かれたトランプ帽>



第45代アメリカ大統領になったドナルド・ジョン・トランプ氏は、第2次世界大戦の終わった翌年、1946(昭和21)年6月14日、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ区で生まれました。 父のフレッド・トランプ氏は、ニューヨークで不動産開発事業をしている裕福な家庭で、ドナルド少年は5人兄弟の4番目として生まれました。
 ちなみに、母のメアリー・アンさんはイギリス・スコットランド出身で、祖父のフレデック・トランプ氏はドイツからの移民です。

 ドナルド・トランプ少年は、最初、ニューヨーク市クイーンズ区の学校に通っていましたが、いじめっ子で素行不良だったため、父が陸軍幼年学校の一つの「ニューヨーク・ミリタリー・アカデミー」に転学させました。
 しかし、ドナルド少年の攻撃的な性格は変わらず、階級・地位を大切にする軍隊式な教育の中で、権力重視・独善的な性格が育まれました。(マイケル・ダントニオ著「熱狂の王ドナルド・トランプ」より)

 1964(昭和39)年からは、ニューヨーク市ブロンクス区にあるフォーダム大学に2年通い、その後、アメリカ北東部にある私立の名門大学8大学で作るアイビーリーグの1つ「ペンシルベニア大学」の経営学部に転校し、1968(昭和43)年に同校を卒業しました。

 大学卒業後は、父親のフレッド・トランプ氏が経営するニューヨークの不動産会社「エリザベス・トランプアンドサン」に入社しました。

 1971(昭和46)年には、父親から会社の経営権を譲られ、社名を「トランプ・オーガナイゼーション」と改名し、オフィスビル開発やホテル、ゴルフ場などの経営に乗り出しました。


 1983(昭和58)年には、ニューヨーク5番街にトランプタワーを建設するなど、大成功を収めました。
 その後、1980年代後半から1990年代前半にかけては、ホテルやカジノなどの倒産で苦境に立ちますが、1990年代後半からは再び、盛り返し「不動産王」と呼ばれるようになります。

 トランプ氏は、「学業継続」や「足の骨の病気」を理由に、「兵役猶予・兵役免除」になっていますが、診断書を出してもらった医師の名前を覚えていないなど、疑惑がもたれています。


 トランプ氏を有名にしたのは、アメリカ三大ネットワークの一つNBCで、2004(平成16)年~2012(平成24)年まで、8回シリーズに渡って放送されたテレビ番組「The  Apprentice(見習い)」への出演です。
 この番組は、ホストのトランプ氏が、チームを組み課題に取り組んだ出演者を、最後に集め、一人脱落者を発表します。
 毎回、一人ずつをトランプ氏が「おまえはクビだ(You're  Fired!)」という決めゼリフで宣告し、最後に残った一人は、トランプ氏の会社に採用されるものでした。


 ここで、一つ、トランプ氏の名言を紹介します。

 末期がんの子供から、「おまえはクビだ」という番組の決めゼリフを言ってほしいと依頼されたトランプ氏は、その子が入院している病院へ行って、こう言いました。

「がんばれ、人生を楽しんでくれ。」


 こんないいところも、トランプ氏には、あるのですね。


<写真:本「熱狂の王 ドナルド・トランプ」>



 ドナルド・トランプ氏は、2016年、共和党候補として大統領に立候補し、当選しました。 しかし、生粋の共和党員ではなく、実は共和党、民主党、改革党を、転々としています。

 民主党に2回、共和党に2回、改革党に1回所属していて、最後に共和党員になってからは、まだ10年にもなっていません。


<トランプ氏の所属党>
・ ~1987年 民主党
・1987年~1999年 共和党
・1999年~2001年 改革党
・2001年~2009年 民主党
・2009年~ 現在   共和党


  ドナルド・トランプ氏は、2015(平成27)年6月16日に、共和党から大統領予備選挙に出馬することを、トランプタワーで表明しました。
 その時の発言は、次のとおりです。

「メキシコ(政府)がメキシコ人を送ってくるときは、メキシコのベストな人は送ってこない。
メキシコは問題が沢山ある人を送ってきて、彼らは問題を我々のところに持ち込む。
彼らはドラッグ(麻薬)を持ちこみ、犯罪を持ちこむ。
そして、いくらかは、多分良い人だ!
メキシコとの国境に「万里の長城」を建設し、メキシコにその費用を払わせる。」

 この発言は、「暴言」と言われましたが、話題性も抜群でした。
 この後もトランプ氏は、問題発言を繰り返します。

「アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。
日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史があるからね。
なぜ、アメリカは日本を守ってやっているのか?
ご存知の通り、日米安保条約は面白いよ。
なぜなら、他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。
なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない。」
(2015年9月 エコノミストとのインタビュー)

「ムスリム(アラビア語でイスラム教徒)のアメリカ入国を禁止すべきだ。」
(2015年12月 自身のサイトで)

「アメリカに住む不法移民、1100万人を国外退去させる。」

「私は魅力的で美しい女性に、磁石のように引き寄せられ、キスを始めてしまう。」

「気象変動データは、嘘っぱちだ。ただの天気だ。環境保護に規制は必要ない。」

「中国、メキシコ、日本など、アメリカが大赤字の不公正貿易はやめさせる。」


 これらは、トランプ氏の「名言」というよりは、「迷言・暴言」でした。

 しかし、ここにも実は「トランプ戦略」がありました。
 トランプ氏は言います。

「マスコミについて私が学んだは、彼らはいつも記事に飢えており、センセーショナルな話ほど受けるということだ。」

「ニューヨークタイムズは、1ページの広告を出せば莫大な費用がかかるが。記事で書いてもらえば1円も出さずに広告になる。」

 この戦略が成功したのか、ドナルド・トランプ氏は、2016年前半の「共和党大統領候補予備選」を勝ち抜き、2016年11月8日の本選挙で、民主党のヒラリー・クリントンに投票数では及ばなかったものの、選挙人数では上回って、みごと新大統領に当選しました。


 ここで、トランプ氏の家族を紹介します。

 トランプ氏は、3度結婚しています。

 まず、1977年に3歳年下でチェコスロバキア生まれのモデル、イヴァナ・マリエさんと結婚し、1992年に離婚しています。
 このイヴァナさんとトランプ氏の間には、ドナルド・トランプ・ジュニア(1977年生~、長男)さん、イヴァンカ・トランプ(1981年生~、長女)さん、エリック・トランプ(1984年生~、次男)さんの3人の子供がいます。

 次に、1993年に16歳年下のアメリカ生まれで女優でモデルのマーラ・メイプルスさんと結婚し、1999年に離婚しています。
 マーラさんとトランプ大統領の間にも、ティファニー・トランプ(1993年生~、次女)さんがいます。

 さらに、2005年には、24歳年下で現在の奥さん、ユーゴスラビア生まれのモデル、メラニアさんと3度目の結婚をしています。
 メラニアさんとトランプ大統領の間にも、バロン・トランプ(2006年生~、三男)君がいます。彼は、2017年1月現在、10歳です。

 トランプ大統領の選挙戦には、元モデルの母親をもつ美しくかわいい子供たちが、重要な役割をして、イメージアップを図りました。


 もう一つ、トランプ氏のいいところを紹介すると、彼は酒もタバコも麻薬もやりません。
 それらで寿命を縮めた多くの人たちを、見てきたからだと言っています。


 それでは、トランプ政権発足で、世界的に心配になることを、いくつか紹介します。
 
 1番目は、「アメリカ・ファースト」による保護主義が与える世界経済への影響です。
 世界が貿易で成り立っている21世紀に、超大国でGNP1位のアメリカが保護主義になると、世界経済の低迷は避けられません。

 トランプ氏が、不公正貿易だと名指しした、「中国」「日本」「メキシコ」は、実はアメリカが貿易赤字をかかえている三大相手国です。(4番目のドイツは、祖父の出身国だからか、挙げていません。)
 トランプ大統領は、就任直後、TPP交渉から離脱することを表明しました。

 2つめは、トランプ大統領が「1つの中国」というスタンスを捨てて、台湾総統と電話会談をしたことです。
 このことで、中国は、本気で怒っています。正義が中国にあるかどうかは別にして、米中の関係悪化がもたらす緊張に、当然、日本も巻き込まれることになります。

 最後は、「イスラエルにあるアメリカ大使館を、これまでのテルアビブからエルサレムに移す」というトランプ大統領の発言です。
 国連の「エルサレムはどこの国の首都でもない」という決議により、これまでアメリカを含む世界各国は、イスラエルが首都と自称するエルサレムに大使館を置きませんでした。

 しかし、長女のイヴァンカさんが、ユダヤ人の夫、クシャナーさんの影響で、ユダヤ教に改宗したこともあり、トランプ大統領は、イスラエル寄りの政策をとることを、強く示唆しています。
 このことは当然、「エルサレムへのアメリカ大使館移転」を含め、イスラム諸国の強い反発を呼びます。


<写真 ニューヨークのトランプタワー>




 最後は、もう一度、2017年1月20日のトランプ大統領就任演説に戻り、本物の名言を紹介します。


Now arrives the hour of action.
Do not allow anyone to tell you that it cannot be done. No challenge can match the heart and fight and spirit of America.

(行動の時が、やってきました。不可能だと誰かに言われても、決して信じてはいけません。
アメリカの心とファイトとスピリットに勝る挑戦などありません。)

Finally, we must think big and dream even bigger.

(最後に、私たちはビッグに考え、さらに大きな夢を見なくてはなりません。)

 

 トランプ新大統領誕生に象徴されるように、
 世界にとっても、アメリカにとっても、そして日本にとっても、
 とっても不安な2017年が始まりました。

 でも、「大きな夢とスピリット」を信じてがんばっていきましょう!
 決してあきらめないで!
    




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