2017年1月16日月曜日

トランプ米新大統領(1)勝因はスローガンと「サイレント・マジョリティー」?

 
2017(平成29)年1月20日、アメリカ合衆国の第45代大統領にドナルド・ジョン・トランプ氏が就任します。
そこで、今回は、「ガラッガラッ」と話題を変えて、アメリカのトランプ新大統領について、書きたいと思っています。

トランプ新大統領のことも、数回に分けて不連続で紹介したいと思っていますが、まず1回めは、「世紀の番狂わせ」と言われた、トランプ新大統領誕生の勝因について、考えてみたいと思います。


2016年のアメリカ大統領選における「候補者別の新聞・雑誌の支持率」(調査対象533社)をみてみると、民主党のヒラリー・クリントン候補が79.7%(425社)であったのに対して、共和党のドナルド・トランプ氏を支持したのは、わずか2.3%(12社)でした。

しかし、大統領選挙ではヒラリー氏有利のマスコミ予想を覆して、トランプ氏が大統領に当選しました。
トランプ氏は共和党の大統領予備選挙の時には、初めは泡沫候補の一人に過ぎませんでしたが、あれよあれよというまに、共和党大統領候補になり、そして、第45代アメリカ合衆国大統領に当選しました。

 では、トランプ氏の勝因は何だったのでしょうか?


<ホワイトハウス (アメリカ・ワシントンDC ウイキペディア)>



 私は、大胆に2つの要因に絞り込みたいと思います。

 1つ目は、「スローガン」です。
 ドナルド・トランプ氏の選挙スローガンは、「Make Amerika Great  Again」(偉大なアメリカを取り戻そう)でした。
 
 トランプ氏は、「アメリカ第一主義」を主張し、アメリカ合衆国の中で雇用が伸びず経済が停滞するのは、外国が不平等な貿易を行い、移民を送り込んでくるからだと主張しました。

だから、偉大なアメリカを取り戻すには、「アメリカ第一主義の経済政策」を行い雇用を創出することが大切だと訴えました。
小池都知事風に言うと「アメリカ・ファースト」ということであり、事実、トランプ氏もこの言葉を使っています。

「偉大なアメリカを取り戻そう」という、トランプ氏のわかりやすいスローガンこそが、アメリカ国民の多くの支持を得たのだと思います。

「たかがスローガン」と思われるかも知れませんが、実は「されどスローガン」なんです。
一つのスローガンが、歴史を動かした例は、実はたくさんあります。
 
たとえば、1789(日本では江戸時代後期)年に始まった「フランス革命」のスローガンは、「自由、平等、博愛(Liberté, Egalité, Fraternité=博愛の意味に訳されますが「言論の自由」に近い意味)」でした。
また、1775年に始まった「アメリカ独立戦争」のスローガンは、「代表なくして課税なし(No taxation without representation =議会に代表を送れないならイギリスからの課税は認めない)」でした。

 日本でも、1860年代(江戸末期)の幕末の志士たちのスローガンは、「尊皇攘夷(そんのうじょうい=朝廷を敬い外国人を撃つ)」でしたし、明治政府のスローガンは「富国強兵」でした。

 このように、主張を大勢の人に伝えるには、わかりやすい言葉(スローガン)が結構、有効です。

 トランプ新大統領の「偉大なアメリカを取り戻そう」という、自尊心をくすぐり、アメリカのための経済政策をという分かりやすく身近なスローガンが、多くのアメリカ国民に伝わったのだと思います。


<トランプ氏のスローガン>



 トランプ氏の大統領選挙の二つ目の勝因は、「post-truth(真実の次にくるもの)」または、「サイレント・マジョリティー」だと思います。

 「post-truth」は、2016年のイギリス版流行語大賞「Word of the Year」(オックスフォード大学)に選ばれた言葉です。

 真実の次にくるものとは、つまり、「客観的な事実よりも感情的な訴えが政治に影響を与える状況」のことで、「EUからのイギリスの離脱」や、「アメリカ・トランプ大統領誕生」など、冷静・客観的に考えれば疑問を感じる選択を、選挙や国民投票で多数の有権者・国民が行ったことを指しています。

ただし、「post-truth」は、脱事実、つまり「嘘の報道」という危険な意味もあります。

たとえば、2016年の米大統領選挙では、SNSで「ワシントンにあるピザ屋で児童買春が行われていて、クリントン陣営幹部が関わっている」という噂が流され、この噂を信じた人が人質を救おうとピザ屋に押し入り発砲して立てこもるという事件が起こりました。

 他にも、
「トランプ氏を批判していたローマ法王が、最後にはトランプ支持を表明した」
「オノ・ヨーコとヒラリー・クリントンは、1970年代に性的な関係があった」
「クリントンはイスラム国に武器を売却した」
など、多くの「嘘の報道」が流されました。

 言い換えれば、SNSの申し子とも言える「真実でない報道、あるいは噂話」の力が、雄弁なマスコミや評論家の主張を上回ったのです。


 もう一つの言葉、「サイレント・マジョリティー」は、「沈黙の多数派」という意味があります。

 「サイレント・マジョリティー」という言葉は、もともと1969(昭和44)年に、ニクソン米大統領が、演説で使った言葉です。
「ベトナム戦争反対の運動・デモをしている学生が、メディアに取り上げられ世論のように言われているが、沈黙を守っている国民の多数派(サイレント・マジョリティー)は戦争に反対していない。」
という風に、ニクソン大統領が使いました。

 この言葉は真実である場合もありますが、「声を挙げている人々やマスコミを黙殺する」という一面と、「声を挙げていない多くの人たちは、私に賛成してくれている。」という風に政治家が都合よく利用するという、両面の危険性をもっています。

 ともかくも、2.3%のマスコミしか支持しなかったトランプ氏の主張を、普段は意志を表面に出さない「サイレント・マジョリティー(沈黙の多数派)」が支持したのだと思います。


 いろいろ不安もありますが、今はともかく、トランプ新大統領の政策が、「アメリカのため」だけではなく「世界のため」になり、多数派だけでなく「声なき個人個人のため」にもなるものになるよう、期待して見守りたいと思います。

<廃校にある欅(けやき)の木>



 おしまいは、2016年の紅白歌合戦で、乃木坂46の妹グループで、初出場の欅坂46(けやきざか・フォーティシックス)が歌った、その名も「♪サイレントマジョリティ」の一部を紹介します。

 ニクソン大統領と思われる話も、歌詞の中に出てくる秋元康さんの渾身のメッセージ・ソングです。
 ちなみに、この曲の発売前の仮題は「僕らの革命」でした。


♪「サイレントマジョリティー」(歌:欅坂46、作詞:秋元康、作曲:バグベア)♪


♪(前略 2番から)

どこかの国の大統領が
言っていた
声を上げないものたちは
賛成していると

選べることが大事なんだ
人に任せるな
行動しなければ
Noと伝わらない

君は君らしく
やりたいことをやるだけさ
One of themに 成り下がるな
ここにいる人の数だけ道はある
自分の夢の方に歩けばいい

見栄やプライドの鎖に繋がれたような
つまらない大人は置いていけ
さあ未来は君たちのためにある
No! と言いなよ!
サイレントマジョリティー


誰かの後
ついて行けば
傷つかないけど
その群れが
総意だと
ひとまとめにされる

君は君らしく生きていく自由があるんだ
大人たちに支配されるな
初めから そうあきらめてしまったら
僕らはなんのために生まれたのか?

夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
Yes!でいいのか?
サイレントマジョリティー♪



こうやって歌詞をみると、いい曲ですね。

トランプ大統領、
日中問題 
日韓問題

原子力事故
大雪
台風
地震
津波

子育て
少子化
貧困
高齢化問題
そして「自分と家族」の未来

2017年の世界は、
「不安」でいっぱいです。

でも、
「夢のために、孤独になって、自分の信じる道を進む」
それが今、大切であるような気がしています。
2017年、「見せてやれ底力!」

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