2017年1月30日月曜日

アイドルの坂道(2)沖縄出身の正統派・新垣結衣(ガッキー)

アイドルの坂道の2回目は、2016年の紅白歌合戦で「審査員席での恥ずかしそうな恋ダンス」が話題を呼んだ、正統派アイドルで女優の「ガッキーこと新垣結衣さん」を紹介します。
新垣結衣(あらがき ゆい)さんは、1988(昭和63)年6月11日に沖縄県那覇市で生まれました。小学校は、那覇市立開南小学校に通いました。

結衣さんは、同じ沖縄出身の歌手でアイドルグループ「SPEED」に憧れ、SPEEDが通っていた「沖縄アクターズスクール」を3回受験しましたが、全部、不合格でした。
順調にアイドルの坂道を登ってきたように見える新垣結衣さんも、いきなり、最初に挫折し転んでいたのです。


新垣結衣さんの中学時代は、家族と南城市(当時は大里村)に引っ越し、沖縄県南城(なんじょう)市立(当時は大里村立)大里中学校へ進みました。

南城市は人口42,475人(2016年10月)で、沖縄県の南東端に位置し2006年から市政が敷かれています。


新垣さんは、南城市立大里中学校(当時は大里村立)在学中の2001(平成13)年に、5歳上のお姉さんの薦めで応募した、雑誌「ニコラ」のオーデションでグランプリを獲得し、モデルデビューしました。
その後は、平日は沖縄、土日は東京という生活をしました。

ちなみに、新垣結衣さんのお父さんは沖縄県の出身、お母さんは東京都の出身です。
結衣さんの家族は、他に9歳上のお姉さん、5歳上のお姉さんがいる5人家族で、結衣さんは三姉妹の末っ子です。

<写真 新垣結衣さんの母校・沖縄県南城市立大里中学校>



大里中学校を卒業した新垣結衣さんは、家族の後押しもあって上京を決意し、いよいよ本格的に芸能活動を始めました。
 東京では、芸能人が多く通う日出高校に入学し、雑誌モデルなどで活躍しました。

 2006年から2008年まで、グリコポッキーのCMに出演し、ポッキーダンスでブレークします。

 当時のCM動画を見ていると、2016年に大ブレークした「恋ダンス」にも似ていると思います。

 このポッキーのCMは、山口百恵さん、松田聖子さん、石原さとみさんなど、大物アイドルになった人たちが出演しているので知られていますが、新垣結衣さんも、その一人です。


 そのあとの結衣さんの活躍はすごいの一言です。

 まずテレビでは、「ドラゴン桜」(2007年TBS」や「リーガル・ハイ」シリーズ(2012年~2014年 フジテレビ)、そして2016年の「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)など人気ドラマに19作に出演し、「ガッキーの出演ドラマはヒットする」という伝説ができています。


 映画でも「恋空」(2007年東宝)や、「ハナミズキ」(2010年東宝)、「くちびるに歌を」(2015年アスミック・エース)など10本に出演し、「恋空」では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。

 またCMでも、さきほど紹介した「江崎グリコポッキー」をはじめ多数出演し、2017年1月時点で放送されているものだけでも、「アサヒ飲料 十六茶」、「明治(メルティーキッスなど)」、「KOSE(雪肌精など)」、「日清食品 チキンラーメン」、「ロート製薬 Cキューブ」、「GMOクリック証券」の6社に出演する売れっ子です。

 新垣結衣さんは、実は歌手としても、2008年のレビューシングル「Make my day」などシングル4曲、2007年の「そら」などアルバム3枚を出しています。

 他にも、若者に人気のラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」(TOKYO FM)で2006年から2010年まで5年間もコーナーをもったり、声優やナレーター、そしてNHK紅白歌合戦の審査員(2007年と2016年の2回)や「輝く日本レコード大賞」の司会(2012年 TBS)を務めるなど、日本を代表するアイドルやモデル、そして女優として活躍しています。

<写真 新垣結衣さんのクリアファイル(明治・メルティキッスの景品 2016年)>



 超売れっ子の正統派アイドル・新垣結衣さんですが、性格は控え目で、おとなしく優しいと評判です。
 その一旦は、2016年暮れのNHK紅白歌合戦で、星野源さんが「恋」を歌い、恋ダンスで会場が盛り上がった時に伺えました。


 星野さんと一緒にドラマに主演し恋ダンスを歌っていた審査員席の新垣結衣さんは、「恋」が流れているほとんどの時間は拍手をするだけでした。
 でも、みんなの期待を感じて最後の十数秒だけ、席に座ったまま、手だけで恥ずかしそうに「恋ダンス」を歌いました。それが「かわいい」と評判になり、紅白全体で2番目の視聴率を記録しました。


 他にも、新垣結衣さんのやさしさをしめすエピソードはたくさんあります。

 たとえば、生田斗真さんとの芝居では、「2人の電話のシ-ンで、新垣さんは録音でよかったのに、オフに現場に駆けつけた」そうです。

 他にも、情熱大陸の撮影でうまく言えなくて「すみません」を連発するなど、新垣結衣さんのやさしさ・控えめ・まじめさを示すエピソードはたくさんあります。

 そんなガッキーは、生き物が大好きで、「ヒョウモントカゲモドキ」というトカゲをペットで飼っています。その理由を彼女はこう言っています。
「最初は、手がかからないということで飼いはじめたのですが、よく見ると表情があって、脱皮するときの一所懸命さがかわいいんです。」

 新垣結衣さんのやさしさが伝わってきますね。

<写真:新垣結衣さんが飼っているペットと同じ種類「ジョウモントカゲモドキ」>



 最後は、新垣結衣さんのニックネームの由来と、CM撮影時の「とってもいい話」です。
 新垣結衣さんのニックネームと言えば「ガッキー」です。
 これは雑誌「ニコラ」のモデルをしていた時、蒼井優さんなど「ユ」のつくモデルが多かったので、モデル仲間の榎本亜弥子さんが、それまでの「ユイ」から「あらがきの一部」をとって、「ガッキー」と呼び始めたのが定着したそうです。

 もう一つ、CMの深いいい話を紹介します。

 新垣結衣さんが出る「はるやまのアイロンがいらないシャツ」のCM撮影で、「もうアイロンはいらない」というセリフがありました。
 新垣結衣さんは、「これからもアイロンを使う人、かける人はいるので、このセリフは言いたくないです。」ときっぱりと言いました。

 彼女のやさしい気持ちを察したスタッフは、セリフを「アイロンさん、いつもお疲れさん。今日くらいは、お休みにしよう。」に替えたそうです。

 アイロンだけに、心温まる話ですね。
 これからも、新垣結衣さんには「アイドルの坂道」を登ってほしいものです。


「フレー、フレー、ガッキー」
「一人を超えてゆけ!」

2017年1月22日日曜日

トランプ新大統領(2)就任演説と名言・迷言・プロフィール

 
2017年1月20日(現地時間)、アメリカの首都ワシントンD.Cで、ドナルド・ジョン・トランプ氏が、第45代アメリカ合衆国大統領に就任しました。
トランプ大統領を取り上げる2回目は、プロフィールと名言・迷言そして暴言?を紹介します。


まずは、前回紹介したキーワードの「America First(アメリカ・ファースト)」と、スローガンの「 Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」が登場したトランプ新大統領の就任演説から、名言を紹介します。


Today's ceremony, however, has very special meaning. Because today we are not merely transferring power from one administration to another, or from one party to another - but we are transferring power from Washington, D.C. and giving it back to you, the people.

(今日の式典《大統領就任式》には、特別な意味があります。単に、一つの政権から他の政権に、一つの党から別の党に、権力を移しただけではないのです。私たちは権力を、ワシントンから国民のみなさんにお返しします。)

What truly matters is not which party controls our government, but whether our government is controlled by the people.

(本当に大事なのは、どちらの党が私たちの政府を仕切っているかではなく、私たちの政府を国民が仕切っているかどうかです。)


 この言葉には賛否があるでしょうが、官僚政治(ワシントン)から国民に、政治権力を取り返すという意味では象徴的な言葉だと思います。


<写真 スローガンの書かれたトランプ帽>



第45代アメリカ大統領になったドナルド・ジョン・トランプ氏は、第2次世界大戦の終わった翌年、1946(昭和21)年6月14日、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ区で生まれました。 父のフレッド・トランプ氏は、ニューヨークで不動産開発事業をしている裕福な家庭で、ドナルド少年は5人兄弟の4番目として生まれました。
 ちなみに、母のメアリー・アンさんはイギリス・スコットランド出身で、祖父のフレデック・トランプ氏はドイツからの移民です。

 ドナルド・トランプ少年は、最初、ニューヨーク市クイーンズ区の学校に通っていましたが、いじめっ子で素行不良だったため、父が陸軍幼年学校の一つの「ニューヨーク・ミリタリー・アカデミー」に転学させました。
 しかし、ドナルド少年の攻撃的な性格は変わらず、階級・地位を大切にする軍隊式な教育の中で、権力重視・独善的な性格が育まれました。(マイケル・ダントニオ著「熱狂の王ドナルド・トランプ」より)

 1964(昭和39)年からは、ニューヨーク市ブロンクス区にあるフォーダム大学に2年通い、その後、アメリカ北東部にある私立の名門大学8大学で作るアイビーリーグの1つ「ペンシルベニア大学」の経営学部に転校し、1968(昭和43)年に同校を卒業しました。

 大学卒業後は、父親のフレッド・トランプ氏が経営するニューヨークの不動産会社「エリザベス・トランプアンドサン」に入社しました。

 1971(昭和46)年には、父親から会社の経営権を譲られ、社名を「トランプ・オーガナイゼーション」と改名し、オフィスビル開発やホテル、ゴルフ場などの経営に乗り出しました。


 1983(昭和58)年には、ニューヨーク5番街にトランプタワーを建設するなど、大成功を収めました。
 その後、1980年代後半から1990年代前半にかけては、ホテルやカジノなどの倒産で苦境に立ちますが、1990年代後半からは再び、盛り返し「不動産王」と呼ばれるようになります。

 トランプ氏は、「学業継続」や「足の骨の病気」を理由に、「兵役猶予・兵役免除」になっていますが、診断書を出してもらった医師の名前を覚えていないなど、疑惑がもたれています。


 トランプ氏を有名にしたのは、アメリカ三大ネットワークの一つNBCで、2004(平成16)年~2012(平成24)年まで、8回シリーズに渡って放送されたテレビ番組「The  Apprentice(見習い)」への出演です。
 この番組は、ホストのトランプ氏が、チームを組み課題に取り組んだ出演者を、最後に集め、一人脱落者を発表します。
 毎回、一人ずつをトランプ氏が「おまえはクビだ(You're  Fired!)」という決めゼリフで宣告し、最後に残った一人は、トランプ氏の会社に採用されるものでした。


 ここで、一つ、トランプ氏の名言を紹介します。

 末期がんの子供から、「おまえはクビだ」という番組の決めゼリフを言ってほしいと依頼されたトランプ氏は、その子が入院している病院へ行って、こう言いました。

「がんばれ、人生を楽しんでくれ。」


 こんないいところも、トランプ氏には、あるのですね。


<写真:本「熱狂の王 ドナルド・トランプ」>



 ドナルド・トランプ氏は、2016年、共和党候補として大統領に立候補し、当選しました。 しかし、生粋の共和党員ではなく、実は共和党、民主党、改革党を、転々としています。

 民主党に2回、共和党に2回、改革党に1回所属していて、最後に共和党員になってからは、まだ10年にもなっていません。


<トランプ氏の所属党>
・ ~1987年 民主党
・1987年~1999年 共和党
・1999年~2001年 改革党
・2001年~2009年 民主党
・2009年~ 現在   共和党


  ドナルド・トランプ氏は、2015(平成27)年6月16日に、共和党から大統領予備選挙に出馬することを、トランプタワーで表明しました。
 その時の発言は、次のとおりです。

「メキシコ(政府)がメキシコ人を送ってくるときは、メキシコのベストな人は送ってこない。
メキシコは問題が沢山ある人を送ってきて、彼らは問題を我々のところに持ち込む。
彼らはドラッグ(麻薬)を持ちこみ、犯罪を持ちこむ。
そして、いくらかは、多分良い人だ!
メキシコとの国境に「万里の長城」を建設し、メキシコにその費用を払わせる。」

 この発言は、「暴言」と言われましたが、話題性も抜群でした。
 この後もトランプ氏は、問題発言を繰り返します。

「アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。
日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史があるからね。
なぜ、アメリカは日本を守ってやっているのか?
ご存知の通り、日米安保条約は面白いよ。
なぜなら、他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。
なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない。」
(2015年9月 エコノミストとのインタビュー)

「ムスリム(アラビア語でイスラム教徒)のアメリカ入国を禁止すべきだ。」
(2015年12月 自身のサイトで)

「アメリカに住む不法移民、1100万人を国外退去させる。」

「私は魅力的で美しい女性に、磁石のように引き寄せられ、キスを始めてしまう。」

「気象変動データは、嘘っぱちだ。ただの天気だ。環境保護に規制は必要ない。」

「中国、メキシコ、日本など、アメリカが大赤字の不公正貿易はやめさせる。」


 これらは、トランプ氏の「名言」というよりは、「迷言・暴言」でした。

 しかし、ここにも実は「トランプ戦略」がありました。
 トランプ氏は言います。

「マスコミについて私が学んだは、彼らはいつも記事に飢えており、センセーショナルな話ほど受けるということだ。」

「ニューヨークタイムズは、1ページの広告を出せば莫大な費用がかかるが。記事で書いてもらえば1円も出さずに広告になる。」

 この戦略が成功したのか、ドナルド・トランプ氏は、2016年前半の「共和党大統領候補予備選」を勝ち抜き、2016年11月8日の本選挙で、民主党のヒラリー・クリントンに投票数では及ばなかったものの、選挙人数では上回って、みごと新大統領に当選しました。


 ここで、トランプ氏の家族を紹介します。

 トランプ氏は、3度結婚しています。

 まず、1977年に3歳年下でチェコスロバキア生まれのモデル、イヴァナ・マリエさんと結婚し、1992年に離婚しています。
 このイヴァナさんとトランプ氏の間には、ドナルド・トランプ・ジュニア(1977年生~、長男)さん、イヴァンカ・トランプ(1981年生~、長女)さん、エリック・トランプ(1984年生~、次男)さんの3人の子供がいます。

 次に、1993年に16歳年下のアメリカ生まれで女優でモデルのマーラ・メイプルスさんと結婚し、1999年に離婚しています。
 マーラさんとトランプ大統領の間にも、ティファニー・トランプ(1993年生~、次女)さんがいます。

 さらに、2005年には、24歳年下で現在の奥さん、ユーゴスラビア生まれのモデル、メラニアさんと3度目の結婚をしています。
 メラニアさんとトランプ大統領の間にも、バロン・トランプ(2006年生~、三男)君がいます。彼は、2017年1月現在、10歳です。

 トランプ大統領の選挙戦には、元モデルの母親をもつ美しくかわいい子供たちが、重要な役割をして、イメージアップを図りました。


 もう一つ、トランプ氏のいいところを紹介すると、彼は酒もタバコも麻薬もやりません。
 それらで寿命を縮めた多くの人たちを、見てきたからだと言っています。


 それでは、トランプ政権発足で、世界的に心配になることを、いくつか紹介します。
 
 1番目は、「アメリカ・ファースト」による保護主義が与える世界経済への影響です。
 世界が貿易で成り立っている21世紀に、超大国でGNP1位のアメリカが保護主義になると、世界経済の低迷は避けられません。

 トランプ氏が、不公正貿易だと名指しした、「中国」「日本」「メキシコ」は、実はアメリカが貿易赤字をかかえている三大相手国です。(4番目のドイツは、祖父の出身国だからか、挙げていません。)
 トランプ大統領は、就任直後、TPP交渉から離脱することを表明しました。

 2つめは、トランプ大統領が「1つの中国」というスタンスを捨てて、台湾総統と電話会談をしたことです。
 このことで、中国は、本気で怒っています。正義が中国にあるかどうかは別にして、米中の関係悪化がもたらす緊張に、当然、日本も巻き込まれることになります。

 最後は、「イスラエルにあるアメリカ大使館を、これまでのテルアビブからエルサレムに移す」というトランプ大統領の発言です。
 国連の「エルサレムはどこの国の首都でもない」という決議により、これまでアメリカを含む世界各国は、イスラエルが首都と自称するエルサレムに大使館を置きませんでした。

 しかし、長女のイヴァンカさんが、ユダヤ人の夫、クシャナーさんの影響で、ユダヤ教に改宗したこともあり、トランプ大統領は、イスラエル寄りの政策をとることを、強く示唆しています。
 このことは当然、「エルサレムへのアメリカ大使館移転」を含め、イスラム諸国の強い反発を呼びます。


<写真 ニューヨークのトランプタワー>




 最後は、もう一度、2017年1月20日のトランプ大統領就任演説に戻り、本物の名言を紹介します。


Now arrives the hour of action.
Do not allow anyone to tell you that it cannot be done. No challenge can match the heart and fight and spirit of America.

(行動の時が、やってきました。不可能だと誰かに言われても、決して信じてはいけません。
アメリカの心とファイトとスピリットに勝る挑戦などありません。)

Finally, we must think big and dream even bigger.

(最後に、私たちはビッグに考え、さらに大きな夢を見なくてはなりません。)

 

 トランプ新大統領誕生に象徴されるように、
 世界にとっても、アメリカにとっても、そして日本にとっても、
 とっても不安な2017年が始まりました。

 でも、「大きな夢とスピリット」を信じてがんばっていきましょう!
 決してあきらめないで!
    




2017年1月16日月曜日

トランプ米新大統領(1)勝因はスローガンと「サイレント・マジョリティー」?

 
2017(平成29)年1月20日、アメリカ合衆国の第45代大統領にドナルド・ジョン・トランプ氏が就任します。
そこで、今回は、「ガラッガラッ」と話題を変えて、アメリカのトランプ新大統領について、書きたいと思っています。

トランプ新大統領のことも、数回に分けて不連続で紹介したいと思っていますが、まず1回めは、「世紀の番狂わせ」と言われた、トランプ新大統領誕生の勝因について、考えてみたいと思います。


2016年のアメリカ大統領選における「候補者別の新聞・雑誌の支持率」(調査対象533社)をみてみると、民主党のヒラリー・クリントン候補が79.7%(425社)であったのに対して、共和党のドナルド・トランプ氏を支持したのは、わずか2.3%(12社)でした。

しかし、大統領選挙ではヒラリー氏有利のマスコミ予想を覆して、トランプ氏が大統領に当選しました。
トランプ氏は共和党の大統領予備選挙の時には、初めは泡沫候補の一人に過ぎませんでしたが、あれよあれよというまに、共和党大統領候補になり、そして、第45代アメリカ合衆国大統領に当選しました。

 では、トランプ氏の勝因は何だったのでしょうか?


<ホワイトハウス (アメリカ・ワシントンDC ウイキペディア)>



 私は、大胆に2つの要因に絞り込みたいと思います。

 1つ目は、「スローガン」です。
 ドナルド・トランプ氏の選挙スローガンは、「Make Amerika Great  Again」(偉大なアメリカを取り戻そう)でした。
 
 トランプ氏は、「アメリカ第一主義」を主張し、アメリカ合衆国の中で雇用が伸びず経済が停滞するのは、外国が不平等な貿易を行い、移民を送り込んでくるからだと主張しました。

だから、偉大なアメリカを取り戻すには、「アメリカ第一主義の経済政策」を行い雇用を創出することが大切だと訴えました。
小池都知事風に言うと「アメリカ・ファースト」ということであり、事実、トランプ氏もこの言葉を使っています。

「偉大なアメリカを取り戻そう」という、トランプ氏のわかりやすいスローガンこそが、アメリカ国民の多くの支持を得たのだと思います。

「たかがスローガン」と思われるかも知れませんが、実は「されどスローガン」なんです。
一つのスローガンが、歴史を動かした例は、実はたくさんあります。
 
たとえば、1789(日本では江戸時代後期)年に始まった「フランス革命」のスローガンは、「自由、平等、博愛(Liberté, Egalité, Fraternité=博愛の意味に訳されますが「言論の自由」に近い意味)」でした。
また、1775年に始まった「アメリカ独立戦争」のスローガンは、「代表なくして課税なし(No taxation without representation =議会に代表を送れないならイギリスからの課税は認めない)」でした。

 日本でも、1860年代(江戸末期)の幕末の志士たちのスローガンは、「尊皇攘夷(そんのうじょうい=朝廷を敬い外国人を撃つ)」でしたし、明治政府のスローガンは「富国強兵」でした。

 このように、主張を大勢の人に伝えるには、わかりやすい言葉(スローガン)が結構、有効です。

 トランプ新大統領の「偉大なアメリカを取り戻そう」という、自尊心をくすぐり、アメリカのための経済政策をという分かりやすく身近なスローガンが、多くのアメリカ国民に伝わったのだと思います。


<トランプ氏のスローガン>



 トランプ氏の大統領選挙の二つ目の勝因は、「post-truth(真実の次にくるもの)」または、「サイレント・マジョリティー」だと思います。

 「post-truth」は、2016年のイギリス版流行語大賞「Word of the Year」(オックスフォード大学)に選ばれた言葉です。

 真実の次にくるものとは、つまり、「客観的な事実よりも感情的な訴えが政治に影響を与える状況」のことで、「EUからのイギリスの離脱」や、「アメリカ・トランプ大統領誕生」など、冷静・客観的に考えれば疑問を感じる選択を、選挙や国民投票で多数の有権者・国民が行ったことを指しています。

ただし、「post-truth」は、脱事実、つまり「嘘の報道」という危険な意味もあります。

たとえば、2016年の米大統領選挙では、SNSで「ワシントンにあるピザ屋で児童買春が行われていて、クリントン陣営幹部が関わっている」という噂が流され、この噂を信じた人が人質を救おうとピザ屋に押し入り発砲して立てこもるという事件が起こりました。

 他にも、
「トランプ氏を批判していたローマ法王が、最後にはトランプ支持を表明した」
「オノ・ヨーコとヒラリー・クリントンは、1970年代に性的な関係があった」
「クリントンはイスラム国に武器を売却した」
など、多くの「嘘の報道」が流されました。

 言い換えれば、SNSの申し子とも言える「真実でない報道、あるいは噂話」の力が、雄弁なマスコミや評論家の主張を上回ったのです。


 もう一つの言葉、「サイレント・マジョリティー」は、「沈黙の多数派」という意味があります。

 「サイレント・マジョリティー」という言葉は、もともと1969(昭和44)年に、ニクソン米大統領が、演説で使った言葉です。
「ベトナム戦争反対の運動・デモをしている学生が、メディアに取り上げられ世論のように言われているが、沈黙を守っている国民の多数派(サイレント・マジョリティー)は戦争に反対していない。」
という風に、ニクソン大統領が使いました。

 この言葉は真実である場合もありますが、「声を挙げている人々やマスコミを黙殺する」という一面と、「声を挙げていない多くの人たちは、私に賛成してくれている。」という風に政治家が都合よく利用するという、両面の危険性をもっています。

 ともかくも、2.3%のマスコミしか支持しなかったトランプ氏の主張を、普段は意志を表面に出さない「サイレント・マジョリティー(沈黙の多数派)」が支持したのだと思います。


 いろいろ不安もありますが、今はともかく、トランプ新大統領の政策が、「アメリカのため」だけではなく「世界のため」になり、多数派だけでなく「声なき個人個人のため」にもなるものになるよう、期待して見守りたいと思います。

<廃校にある欅(けやき)の木>



 おしまいは、2016年の紅白歌合戦で、乃木坂46の妹グループで、初出場の欅坂46(けやきざか・フォーティシックス)が歌った、その名も「♪サイレントマジョリティ」の一部を紹介します。

 ニクソン大統領と思われる話も、歌詞の中に出てくる秋元康さんの渾身のメッセージ・ソングです。
 ちなみに、この曲の発売前の仮題は「僕らの革命」でした。


♪「サイレントマジョリティー」(歌:欅坂46、作詞:秋元康、作曲:バグベア)♪


♪(前略 2番から)

どこかの国の大統領が
言っていた
声を上げないものたちは
賛成していると

選べることが大事なんだ
人に任せるな
行動しなければ
Noと伝わらない

君は君らしく
やりたいことをやるだけさ
One of themに 成り下がるな
ここにいる人の数だけ道はある
自分の夢の方に歩けばいい

見栄やプライドの鎖に繋がれたような
つまらない大人は置いていけ
さあ未来は君たちのためにある
No! と言いなよ!
サイレントマジョリティー


誰かの後
ついて行けば
傷つかないけど
その群れが
総意だと
ひとまとめにされる

君は君らしく生きていく自由があるんだ
大人たちに支配されるな
初めから そうあきらめてしまったら
僕らはなんのために生まれたのか?

夢を見ることは時には孤独にもなるよ
誰もいない道を進むんだ
この世界は群れていても始まらない
Yes!でいいのか?
サイレントマジョリティー♪



こうやって歌詞をみると、いい曲ですね。

トランプ大統領、
日中問題 
日韓問題

原子力事故
大雪
台風
地震
津波

子育て
少子化
貧困
高齢化問題
そして「自分と家族」の未来

2017年の世界は、
「不安」でいっぱいです。

でも、
「夢のために、孤独になって、自分の信じる道を進む」
それが今、大切であるような気がしています。
2017年、「見せてやれ底力!」

2017年1月10日火曜日

がんばれ不登校! 全力少年の挑戦・桜は咲いた?

1年間不登校だった小学6年生の男の子が、突然、
(地元では進学校で有名な)私立中学校を受験すると言いだしました。

彼が、小学校に行かなくなったのは5年生の1月頃でした。
家族にも、理由ははっきり言いませんでしたが、ふとんや押し入れに閉じこもって、
無理矢理、学校へ行かそうとすると、刃物まで持ち出してきました。

学校の担任の先生は、電話や親への面接はしましたが、
本気で原因を探ったり、登校できるような対応はしてくれませんでした。

両親は、子供の将来を案じて、無理にでも登校させようとしました。
でも、刃物が出てきた時点で、「殺傷事件」を心配して、登校させるのを諦めました。

あとは部屋に1人こもって、パソコンやゲームをしているだけでした。
家族と、おじいさん・おばあさん、いとこたち以外には、ほとんど会うことも無くなりました。

そして1年近く、もう6年生の年末近くになりました。
お父さん・お母さんは、公立中学への進学を拒否する子供に、
特別支援学校や県外のフリースクールなどを考えるようになりました。

そんな時、突然、「県内の有名私立中学受験」を小学六年生の不登校児が宣言しました。
家族は、「半信半疑」いや「一信九擬」でしたが、応援するしかありませんでした。

彼は、最後まで試験を受けました。
そして、いよいよ発表の日が来ました。


<しゃぼん玉遊びをする子供たち>


結果発表の前に、「不登校」について、簡単に紹介します。

「不登校」という言葉が、文部科学省の「学校基本調査」に出てきたのは、
1998(平成10)年からでした。

「不登校」の定義は、
「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により児童生徒が年間30日以上、
登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的な理由」による者を除く)」ということになっています。

文部科学省の調査では、2014(平成26)年度の不登校児童・生徒(いわゆる不登校)は、
小学校2万6千人、中学校で9万7千人で、合計12万3千人もいます。

いまや大きな社会問題となっていますが、なかなか解決できる方法はないのが現状です。

実は、不登校だった有名人は、実はたくさんいます。

たとえば、AKB48の選抜総選挙で2年連続1位になった、指原莉乃(さしはら・りの 1992年大分県生まれ)さんは、中三の時、いじめで不登校になり、その状態から逃げ出すために、上京してAKB48のオーデションを受けて合格しました。
今では、「AKBの奇跡」とまで呼ばれています。

また、AKBの公式ライバル「乃木坂46」で、
トップクラスの人気を誇る白石麻衣(しらいし・まい 1992年群馬県生まれ)さんも、
中学校でいじめにあい不登校になり、母親と埼玉県に引っ越して女子高に入りました。

さらに、タレントのマツコデラックス(本名:松井貴博《まつい・たかひろ》 1972年千葉県生まれ)さんも、あの大きな体で、
学生時代に不登校を、社会人になってから引きこもりを経験しています。

他にも、お笑い芸人の千原ジュニア(本名:千原浩史《ちはら・こうじ》 1974年京都府生まれ)さんも、中学・高校と不登校・引きこもりでした。

また、歴史上の人物でも、あの坂本龍馬(1836年~1867年 高知県出身)が、塾を不登校になって破門になったり、発明王トーマス・エジソン(1847年~1931年 アメリカ出身)はわずか3ヶ月で、不登校・退学になっています。

実は、私も中学校でいじめられて、毎日、不登校・自殺を考えていました。
それを助けてくれたのは、「日記」でした。

 だから、「子供の時失敗しても、大人になってもう1度チャンスが来るからいいんだよ。」という、
マツコ・デラックスさんの言葉には、深く共感できます。



 さて、遠回りしましたが、いよいよ合格発表の日の話です。
 その日、「合否通知」が、封筒で届きました。

 結果を見てショックを受けることを心配した母親が、
「お母さんが開けようか」というと、

全力少年は、躊躇なく封筒を取り、
「僕の試験だから、自分で開けるよ。」
と言って、封を切りました。

中から出てきた紙に書いてあったのは、

<桜>


なんと、

「合格」の二文字でした。

本人は、「当たり前」みたいな顔をしていましたが、
周りの大人は、「キセキだ。夢だ。桜が咲いた。」と驚きました。

引きこもり・不登校の全力少年の、「下克上受験」は成功しました。


♪「全力少年」(歌:スキマスイッチ、作詞:大橋卓弥 作曲:常田真太郎)♪



躓(つまず)いて 転んだら 置いてかれんだ
泥水の中を 今日もよろめきながら進む

汚れちまった僕のセカイ 浮いた話など無い
染みついた孤独論理 拭えなくなっている

試されてまでも ここにいることを決めたのに
呪文のように「仕方ない」とつぶやいていた

積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
止め処ない血と汗で 乾いた脳を潤せ
あの頃の僕らは きっと全力で少年だった

セカイを開くのは 誰だ?

(中略)

積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
幾重に重なり合う 描いた夢への放物線
紛れもなく 僕らずっと 全力で少年なんだ

セカイを開くのは僕だ
視界は もう澄み切っている♪


<スキマスイッチの故郷「愛知県」にある「トヨタ博物館」>


 今回の小六生は、とりあえずは受験に合格したけれど、
 本当に、学校へ行くようになるのかは まだまだわかりません。

 これからも、周りの大人は 全力少年を見守っていきます。

 でも、大人の方が、彼、全力少年に教わったこともあります。

「夢は、時には 叶うこともある。でも、ほとんどは叶わない。
それでも、失敗も人生では許される。

小学校で失敗すれば、中学校でがんばればいい。
中学校で失敗しても 高校でがんばればいい。

学校で失敗しても 大人になってがんばればいい。
全力で生きていれば チャンスは何度でも訪れる。

AKB48の指原莉乃さんも
乃木坂46の白石麻衣さんも

マツコデラックスさんも
千原ジュニアさんも

坂本龍馬も
トーマス・エジソンも

失敗して不登校になっても
みんな、全力で立ち上がり
そして
未来をつかんだんだ。」

これが、小六の君が教えてくれたことです。

孤独を超えてゆけ
未来へ超えてゆけ
ファイト






2017年1月7日土曜日

小さな奇跡? 1年間不登校の小六生が、突然中学受験を決意~「見せてやれ底力!2017」

2016年の年末から2017年の年始にかけて起きた「小さな奇跡」を紹介します。

ほぼ1年間、不登校・引きこもりを続けていた1人の小学6年生の男の子が、突然、「(地元では進学校で有名な)私立中学校を受験する」と宣言しました。

 廻りの大人は、「勉強もしてないのに合格するはずがない。」「家族以外、カウンセラーを含めて1年間誰にも会ってない子が、そもそも、受験に行けるのか?」と、半信半疑、いや「一信九擬」でした。

 家族は何より、中学受験で落ちたらそのショックで、いよいよ引きこもりがひどくなるのではないかと心配しました。

 でも、「本人の受験するという『チャレンジ精神』は、大切にしてやろう。」ということで、中学への願書は出しました。

周囲の大人にできるのは、
その中学の過去問題を取り寄せることと、

ネット動画でAKB48の「♪365日の紙飛行機」や、
岡本孝子さんの「♪夢をあきらめないで」がBGMになっている
カロリーメイトのCM「見せてやれ底力」などの、
元気の出る「ファイトソング」の動画を見せて応援するぐらいでした。


<桜咲け>
 




まわりの絶望的な気持ちを尻目に、1年間も「不登校・ひきこもり」だった小学6年生は、その日、敢然と受験会場に向かいました。

大人たちは、祈るような気持ちで、中学校へ行く子供の背中を見送りました。
その時、岡村孝子さんの名曲「♪夢をあきらめないで」の一節が、心に浮かびました。


♪「夢をあきらめないで」(歌・作詞・作曲 岡村孝子)♪

「♪
乾いた空に 続く坂道
後姿が 小さくなる

やさしい言葉 探せないまま
冷えたその手を 振り続けた

いつかは みな旅立つ 
それぞれの道を 歩いて行く 

あなたの夢を あきらめないで
熱く生きる 瞳が好きだわ

負けないように 
悔やまぬように 
あなたらしく 輝いてね♪」


小学6年生の男の子は、数百人もいる会場で、最後まで逃げ出さずに受験しました。
そして面接でも、堂々と「自分の将来の夢」を語りました。

合否の結果は、これから来ます。
結果はともかく、
1年近くも「引きもり・不登校」だった子が、最後まで受験できたことだけで「奇跡」でした。

今回の小学6年生の勇気には、「ブラボー!」という称賛の声を贈りたいです。
「がんばったね、6年生」


<紙飛行機>


♪「365日の紙飛行機」(歌:AKB48、作詞:秋元康、作曲:角野寿和・青葉紘季)♪

「♪(2番)
星はいくつ見えるか 何も見えないままか
元気が出ないそんな時は 誰かと話そう

人は思うよりも 一人ぼっちじゃないんだ
すぐそばのやさしさに 気づかずにいるだけ

人生は紙飛行機 愛を乗せて飛んでいるよ
自信もって広げる羽を みんなが見上げる

折り方を知らなくても いつの間にか
飛ばせるようになる
それが希望 推進力だ 
ああ楽しくやろう 365日

人生は紙飛行機 願い乗せて飛んでいくよ
風の中を力の限り ただ進むだけ

その距離を競うより どう飛んだか
どこを飛んだのか
それが一番 大切なんだ
さあ 心のままに 365日

飛んでいけ 飛んでみよう
飛んでいけ 飛んでみよう♪」


不登校、引きこもり、いじめられっ子のみなさん
いや、子供だけじゃなく、「苦しく淋しい大人」のみなさんも

2017年こそ
この小学6年生のように
どんな「どん底」でも 何歳でも いつからでも
結果を恐れずチャレンジしませんか。

僕たち一人一人には 
無限の可能性があります
「みんなが英雄」になれる素質をもっているはずです。

人生も青春も、飛んだ距離ではなく、
もちろん結果でもなく
「どう飛んだか どこを飛んだのか」が大切です。

そう 底力は
「どん底でこそ 発揮できる力」です。
そして、「そこからの力」でもあるのです。

もうすぐ春です。
あなたの夢をあきらめないで


『見せてやれ 底力! 2017』

2017年1月3日火曜日

「(逃げ恥)恋」「前前前世」「(嵐)ふるさと」~2016年流行歌ブログ(後)~

明けましておめでとうございます。
年末、NHK紅白歌合戦を見ながら、「演歌が減って、演歌の紅白から、やっと時代に追いついて来て、リアルタイム紅白になったなあ」と思いました。

そんな紅白で、印象に残った曲の中からいくつかを紹介しながら、前回の続き、2016(平成28)年の後半を振り返ってみたいと思います。

<朝 陽>



まず7月は、19人が殺害される「相模原障害者施設殺傷事件」が発生しました。今でも、悲しい気持ちでいっぱいです。
他には、「フランスのテロで84人が死亡」、「ポケモンGO日本上陸」、「参議院選挙で改憲勢力が勝利」、「広島・黒田投手の日米通算200勝」などのニュースがありました。

つついて8月は、「リオデジャネイロ・オリンピック」の金メダルダッシュに沸きました。
他には、「台風10号が観測史上初めて東北太平洋岸から上陸」して、死者22名、行方不明5名を出しました。中でも、岩手県岩泉町の高齢者施設で、高齢者9人が犠牲になったのはショックでした。

映画では、8月26日に公開された「君の名」は、興行収入で史上2位の大ヒットになり、
RADWIMPSが歌う主題歌「前前前世」も大ヒットして紅白でも、歌われました。
その歌詞の一部を紹介します。


♪「前前前世」~映画「君の名は」主題歌♪(歌:RADWIMPS、作詞・作曲 野田洋次郎)


やっと眼を覚ましたかい それなのになぜ 眼を合わせやしないんだい?
「遅いよ」と怒る君 これでもやれるだけ飛ばしてきたんだよ

心が体を追い越してきたんだよ

君の髪や瞳だけで 胸が痛いよ
同じ時を吸い込んで 離したくないよ
遙か昔から知る その声に
生まれてはじめて 何を言えばいい?

君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ
そのぶきっちょな 笑い方をめざして やってきたんだよ

(中略)

君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ
その騒がしい声と涙をめがけ やってきたんだよ

そんな革命前夜の僕らを 誰が止めるというんだろう
もう迷わない 君のハートに 旗を立てるよ
君は僕から 諦(あきら)め方を 奪いとったの♪


 あえて、「革命」とか「旗」とかが入っている部分を紹介しました。
 というのは、2016年の紅白歌合戦で、演歌に変わって出場したロックやポップスの人たちの歌の特徴は、このような「強いメッセーッジ性」と「様々な形の恋愛」だと思ったからです。

 4人組のロックグループ「RADWIMPS」は、実は2001年に結成された結構、キャリアのあるバンドです。
 バンド名は、「RAD」(すごい、かっこいい、などの意味をもつアメリカ英語の俗語)と
「WIMP」(弱虫、いくじなしの意味の英語)を組み合わせたもので、「かっこいい弱虫たち」というような意味です。

 2011年の東日本大震災の時には、このバンドが中心になって「糸色」という被災地への応援メッセージと義援金を募るサイトを立ち上げ、2500万円以上を集めて寄付しています。
 本当に、かっこいい弱虫バンドですね。


<映画「君の名は」の予告チラシ>



 さて、2016年の出来事に戻ります。
 9月は、「東京・豊洲市場の盛り土問題」が話題になった一方で、プロ野球では「広島カープの25年ぶりのセリーグ優勝」、「日本ハムの4年ぶりパリーグ優勝」などがありました。

 10月には、「大隅良典氏がノーベル医学・生理学賞」「ボブ・ディランさんがノーベル文学書」をそれぞれ受賞し、話題になりました。また、「レスリングの伊調馨選手が国民栄誉賞」を受賞しました。

 さらに、10月から12月までTBS系テレビで放送された「逃げるは恥だが役に立つ」(原作 海野つなみの漫画)が話題となり、特に主題歌「恋」はピコ太郎の「PPAP(ペン・パイナップル・アッポウペン)」と並んで大ヒットしました。
 主演の新垣結衣さんと星野源さんが踊る「恋ダンス」が社会現象ともいえるほど流行しアメリカのケネディ駐日大使なども、恋ダンスを踊る動画をアップし、関連公式動画の再生回数は1億2500万回を超えました。

 2016年の紅白歌合戦で、1番盛りあがったのは、星野源さんが歌い、審査員の新垣結衣さんも恥ずかしげに少しだけ踊った「恋ダンス」のシーンだったように思えます。


♪「恋」~ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」主題歌~(歌・作詞・作曲 星野源)♪


営みの街が暮れたら 色めき
風たちは運ぶは カラスと人々の群れ

意味なんかないさ 暮らしがあるだけ
ただ腹を空かせて 君のもとへ帰るんだ

物心ついたら ずっと見上げて思うことが
この世にいる誰も 2人から

胸の中にあるもの いつか見えなくなるもの
それはそばにいること いつも思い出して
君の中にあるもの 距離の中にあることを
恋をしたの あなたの指の交ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ 
2人を超えてゆけ
1人を超えてゆけ♪


 この歌に込められているメッセージは、「一般的な男女の恋愛だけでなく、同姓同士や、自分一人の片思いなども含め、多様化するすべての恋愛を応援するラブソング」(星野源さんの言葉)ということで、
誰もが受け入れやすいポップなメロディーに乗せて、「夫婦を超えてゆけ 2人を超えてゆけ 1人を超えてゆけ」と歌っているのが印象的ですね。

 星野源(ほしの げん)さんは、1981年埼玉県生まれのシンガーソングライター、俳優、文筆家です。
 2012年に、31歳の若さで「くも膜下出血」と診断され、病気のために休業しますが、2014年に復活、2015年、2016年と2年連続で紅白歌合戦に出場しています。

 星野源さんの「働く男」というエッセイを買って読みましたが、その中で、こう書いています。

「音楽、芝居、文章、日々、仕事をします。
もちろんお金はたくさん欲しいし、おいしいご飯も食べたいし、女にももてたい。
でも、そのためだけに仕事をするのかというと、ちょっと違う。
(中略)
やりたいことをやるのが好きです。
自分のやりたいと思ったことを仕事にするために、
そして その仕事を成功させるために、努力は惜しみません。
どれだけ忙しくても、働いていたい。
それが、俺の思う『働く男』です。」
(星野源著「働く男」 発行所(株)マガジンハウスより)


<星野源さんの著書「働く男」>




 
 
さて、再び2016年の出来事です。
 11月のニュースでは、なんといっても大方の予想を裏切って、アメリカ大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ氏が当選し、第45代米大統領に内定したことが、2016年、最大の番狂わせでした。
 もう一つ、世界史に残るニュースはキューバの「フィデル・カストロ元議長の死」だと思います。

 12月には、「韓国・朴大統領の弾劾訴追案の可決」「SMAP解散」などのニュースがありました。

 ちなみに、2016年の日本レコード大賞は西野カナの「あなたの好きなところ」が受賞し、紅白歌合戦」の大トリは、白組の「嵐」でした。


 で、最後に、いや2017年の最初に取り上げたいのは、大トリを務めた嵐の曲で、全出演者が歌った「ふるさと」です。
 
 私は、「ふるさと」という曲名を聞いて、「♪うさぎ追いし ふるさと」を歌うのかと思っていましたが、全然別バージョンの「♪夕暮れせまる空に 雲の汽車見つけた」で始まる、でも、こちらもとても美しい曲「ふるさと」でした。

 この嵐の「ふるさと」は、2010(平成22)年のNHK紅白歌合戦で嵐が司会を務めることにちなんで企画され作られた曲で、この年の紅白で出演歌手全員が歌いました。

 翌2011年3月11日に、あの「東日本大震災」が起きました。
 その年の暮れの紅白も嵐が司会を務め、再び、全員で「ふるさと」が熱唱されました。

 さらに、翌2012年には、「NHK全国学校合唱コンクール」の小学校の部の課題曲に選ばれ、その年の紅白は嵐だけで歌いました。
 続く2013年の紅白では嵐と全国の小学生が合唱し、2014年は3年ぶりに出場歌手全員で歌われました。
 そして2016年も、出場歌手全員が「ふるさと」を熱唱しました。

 つまり、2010年から2016年までの7回の紅白歌合戦のうち、嵐が司会をしなかった2015年を除いて、実に6回も「ふるさと」がNHK紅白歌合戦で歌われたことになります。
 まさに、紅白の新しいテーマソングとも言っも過言ではない歌だと思います。


♪「ふるさと」(歌:嵐、作詞:小山薫堂、作曲:youth case)♪


夕暮れせまる空に 雲の汽車見つけた
なつかしい匂いの町に 帰りたくなる
ひたむきに時を重ね 想(おも)いをつむぐ 人たち
ひとりひとりの笑顔が 今 僕のそばに

巡りあいたい人がそこにいる やさしさ広げて待っている
山も風も海の色も いちばん素直になれる場所
忘れられない歌がそこにある 手と手をつないで口ずさむ
山も風も海の色も ここはふるさと♪

<ある田舎の町の写真>



年末年始に帰省した人も 都会で過ごした人も
もう一度、ふるさとの自然と人の笑顔を思い出して
2017年も がんばっていきましょう!