2016年5月6日金曜日

巨大地震の歴史と前後の出来事(3)~史上最大級の宝永地震と富士山大噴火~

これまでの2回で、「南海トラフを震源とする巨大地震」を6つ紹介してきました。
あと、歴史に残る「南海トラフを震源とする巨大地震」は、宝永、安政、昭和の3つです。

まとめて紹介しようと思っていたのですが、調べてみると時代が新しいこともあり、たくさんの興味深い事実がわかってきましたので、1回ずつで紹介することにしました。

また、関東大震災、阪神淡路大震災、東日本大震災についても、紹介したいと思います。

で、今回は、少なくても東日本大震災までは、「日本史上最大の大地震」と言われていた江戸中期に起こった「宝永大地震」を紹介します。

宝永地震は、「東日本大震災」に匹敵する規模の、西日本最大級の地震です。

前回の「慶長地震」から107年後の、1707(宝永4)年10月28日(以下、西暦の日付)13時45分頃、東海道沖から南海道沖(静岡県沖~高知県沖)の南海トラフを震源に起きたのが「宝永大地震」です。
地震の規模を示すマグニチュード(M)は、8.4~8.6、あるいは9.0以上ともいわれており、「東海地震、東南海地震、南海地震」が同時に起きた三連動地震と言われています。

現在風に言うと、静岡県、愛知県、大阪府、高知県などで震度7を記録し、東海・近畿・四国の太平洋沿岸に大津波が来襲し、最大津波高は25m(高知県)を超えました。
死者は2万人以上、倒壊・流失家屋は6万棟から8万棟とも伝えられています。

<宝永地震の震度地図>
 
 

 

それでは、宝永地震の前後にどんな自然現象が起きたのかというと、まず本震の7年前の1700(元禄13)年4月15日に、M7.3の「壱岐・対馬地震」が起き、長崎県だけでなく九州各地で被害が発生しました。


次に、3年後(本震の4年前)の1703(元禄16)年12月31日に、南関東を震源とするM8.1~8.2の「元禄地震」が起き、関東南部(千葉県、神奈川県)で震度7を記録し、関東沿岸に津波が押し寄せました。
死者は6700人以上と言われています。
また、この「元禄地震」とほぼ同じころ、豊後(大分県)でも、M6.5の地震が起きています。


続いて、本震の3年前の1704(宝永元)年5月27日に、陸奥(青森・岩手・宮城)・羽後(秋田など)
M7.0の地震が起き、秋田県能代市などで58人が亡くなり、青森県の十二湖ができました。


さらに、本震の2年前の1705(宝永2)年5月24日、阿蘇山付近で地震があり、死者が出ました。


「宝永地震」の前に、関東で大地震があったことと、大分県や阿蘇山付近で、地震が起きているのは注目です。



もう一つ、「宝永地震」の発生後のことも紹介します。


宝永地震が発生した翌日、1707(宝永4)年10月29日、静岡県富士宮市でM7.0の最大余震が起きて、4人が亡くなっています。


さらに、宝永地震の49日後、1707年12月16日、富士山の東南斜面から大噴火しました。
これは、記録に残る最後の富士山の噴火で、江戸でも6cmの火山灰が積もるなど、三大噴火にも数えられる大噴火でした。(宝永大噴火)


宝永大地震のあと、富士山の大噴火が、わずか49日後にあったことは、地震と火山の連動を示す、典型的な例だと言われています。



<富士山の宝永火口>
 
 


2011年の「東日本大震災」は、869年の「貞観地震」以来、1142年ぶりに東日本を襲った超巨大地震(M9.0以上)だと言われています。
我々の目の前で、1000年以上ぶりに、巨大な津波が東北地方を襲いました。


それでは、西日本や東海地方のこれに匹敵する超巨大地震はというと、それが1707年の宝永地震だと言われています。
さらに、大きな地震が約2000年前にあったともいわれていますが、西日本では少なくても、300年前の「宝永地震」を想定の基準にする必要があると思います。


最後に、各地域の宝永地震の津波高を紹介します。
<宝永地震・津波> 1707(宝永4)年10月28日
津波は、伊豆半島から九州にいたる沿岸を襲い、特に四国と紀伊半島での被害が甚大でした。

「東京都」 八丈小島6m

「静岡県」 下田6m 湊5m 八木沢8~10m 内浦5.5~6m 三保5m 相良6~8m 白須賀5m
「三重県」 大湊5m 国府7~8m 神津佐5m 五ヶ所浦5m 贄浦7~8m 村上7~8m 神前浦7m 古和浦7m 錦6m 長島5m 須賀利5m 尾鷲8~10m 矢ノ浜6~7m 九木5~6m 賀田8~9m 曽根5m 新鹿8~10m 大泊6m
「和歌山県」 勝浦6~7m 古座5m 串本5~6m 田並5m 和深5m 江住5m 周参味5.5m 新庄6~7m 南部6m 印南5.8~6.3m 比井5m 由良5~6m 広5~6m 湯浅5m 海南5m
「大阪府」大阪市3m

「兵庫県」 尼崎市1.5m

「徳島県」 牟岐6m 浅川6~7m 宍喰5m
「高知県」 甲浦5m 佐喜浜5m 室戸5.5m 安芸5m 岸本6m 由岐~浦戸5.8m 浦戸6m 宇佐8m 宇佐~下川口7.7m 須崎6m 久礼6m 上ノ加江5m 佐賀6m 下ノ加江5m
「鹿児島県」 種子島6m

 

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