「斬首作戦」を訓練するトランプ大統領のアメリカ、「核には核を」と叫ぶ、金正恩労働党委員長の北朝鮮。
今回は、物騒な言葉が飛び交い緊迫が高まっている朝鮮半島の「朝鮮戦争の歴史」と、北のミサイルが日本に発射された時に備える「平成の空襲警報」が真の目的とも言われている「Jーアラート(全国瞬時警報システム)」を活用した対応方法について、紹介します。
1945(昭和20)年8月、それまで朝鮮半島を治めていた大日本帝国が連合国に降伏すると、朝鮮半島の北部にソビエト連邦(以下「ソ連」)軍が侵攻し、南部はアメリカ軍が占領しました。
その後、1948(昭和23)年には、北緯38度線を境に、北側にはソ連の支援する金日成首相(金 正恩委員長の祖父)率いる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が建国し、南側にはアメリカの支援を受けた李承晩(り・しょうばん)大統領率いる大韓民国(韓国)が建国しました。
ここで、興味深いのは、韓国の李承晩大統領が、「竹島と対馬は韓国の領土である」と主張していたことで、一時、竹島と対馬を本当に占領しました。
竹島は、この時から韓国軍が占領し、対馬も韓国は自国領と主張しています。
これに反発したアメリカのアチソン国務長官が「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン~沖縄~日本~アリューシャン列島である」と発言しました。
このことで、北朝鮮・ソ連が「アメリカは朝鮮半島を放棄した」とたと受け取り、朝鮮戦争の遠因にもなりました。
アメリカとソ連の東西対立が激化する中で、1950(昭和25)年6月25日に38度線付近で両軍の戦闘が起き、「朝鮮戦争」が始まりました。
<朝鮮戦争の支配地域の推移>
戦闘は、最初、兵力で勝る北朝鮮軍が優位で、韓国軍は敗走し、南部の釜山周辺を残して、朝鮮半島の大半を北朝鮮軍が占領しました。
一方、アメリカを中心とする西側は、国際連合で北朝鮮の侵攻を非難する決議を6月27日に行い(ソ連は欠席)、国際連合軍として朝鮮半島に派遣する「錦の御旗」を手に入れました。
7月7日、アメリカ、イギリス、オーストラリア、タイなどで構成された国連軍が結成され、9月から反撃を開始しました。
1950年9月28日に、マッカーサーが主導する国連軍がソウルを奪還し、勢いに乗った国連軍は10月に38度線を越え、平壌(ピョンヤン)も占領し、中朝国境に迫りました。
ここで、前面に立ちたくないスターリン書記長のソ連軍に代わって、北朝鮮軍の支援に回ったのが、毛沢東主席の率いる中国人民解放軍でした。
最初、「謎の軍隊」とされた中国軍は100万人を超える兵力で、38度線付近まで韓国軍・国連軍を押し戻しました。
その後は、両軍が降着状態になり、「原子爆弾の投入」などの暴走発言を繰り返したアメリカ軍のマッカッサー元帥がトルーマン大統領によって、更迭されました。
この時の、マッカッサーの言葉が、有名な「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」です。
<マッカーサー元帥(アメリカ)>
第2次世界直後で、歴史上の人物たちが両軍を率いた朝鮮戦争は、「戦いには負けない。されど、戦争の拡大はしない。」という微妙なバランスの中で、膠着状態になり、1953(昭和28)年7月27日に、板門店で休戦協定が結ばれました。
その日から、今年(2017年)で64年が経ちますが、実は今も朝鮮戦争は「休戦状態」のままで、国際法上、戦争は終わっていません。
この戦争の参加国は、韓国、北朝鮮、アメリカ、中国、イギリス、ソビエト連邦など、20ヶ国を超え、死者は、双方で軍人75万人以上、民間人は170万人を超えています。
それでは、現在の情勢を、見てみましょう。
アメリカの空母「カール・ビンソン」が朝鮮半島に接近し、北朝鮮もミサイルの発射実験や核実験を繰り返し、一触即発の状態です。
一方で、日本の横須賀港にいる空母「ジョージ・ワシントン」は修理中で、北朝鮮も「やられたらやり返す」と先制攻撃は否定していて、戦争が本当に間近かどうかは、微妙です。
また、中国は北朝鮮に自制を呼びかけ、一部韓国の報道では、「金委員長に4月末までに亡命するように」と呼びかけていますが、北朝鮮はそんな中国に猛反発しています。
また、もう一つの大国、ロシア(旧ソ連)が、北朝鮮と接近し、国境に軍隊を配置したとの不気味な情報もあります。
本来は当事者の一つの韓国は、大統領選の最中で、政治は機能していません。
前回の「朝鮮戦争」の時には、「朝鮮特需」で潤い、戦後の貧困から経済復興した日本ですが、今回は自衛隊の護衛艦がアメリカ空母と演習をするなど、親米に大きく舵をとっており、戦闘が始まれば、北朝鮮のミサイルの国内への着弾も含め、日本が巻き込まれる可能性が強くなっています。
では、もしミサイルが発射されたら、日本にいる私たちは対処する方法はあるのでしょうか。
実は、緊急地震速報の伝達などで知られている「J-アラート」(全国瞬時警報システム)は、もともとミサイル発射など、防災よりも危機管理に重点をおいた、いわば「平成の空襲警報」として整備されたものです。(緊急地震速報の伝達など「防災」面の情報は、予算を獲得するためのものでした。)
<J-アラートの仕組み>
人工衛星などで、「ミサイル発射」などの危機事象を感知すると、防災無線等で住民に「危機管理情報」を伝達するのが「J-アラート」の仕組みです。
しかし、今まで、ミサイルが国内を通過する前に、情報が発表されたことはなく、ミサイル到着まで数分しかないことを考えると、効果には疑問が残ります。
また、迎撃ミサイルも、複数が同時に発射された場合、全部を打ち落とすのは相当難しいと、防衛省関係者でさえ、言っています。
政府の「国民保護ポータルサイト」などを参考に、「もし、北朝鮮からのミサイル攻撃が始まったら、現状でできること」をまとめると、次のような対処が考えられます。
(1)地下街や頑丈な建物に避難
(2)建物のない場所では物陰に隠れるか地面に伏せる
(3)窓から離れる
(4)ヘルメットを着用する
その他に、北朝鮮の言葉やミサイルの精度を信じる(?)とすると、事前にできるのは標的になりそうなものから、離れていることです。
具体的には、
(5)アメリカ軍基地の周辺から離れる
(6)政府の重要施設や自衛隊基地からも離れる
(7)原発周辺に近づかない
(8)「都会より田舎」に疎開する。
(9)「日本海側より、北朝鮮からより遠い太平洋側」に避難する
などです。
まるで、太平洋戦争の時代にタイム・スリップしたみたいですね。
でも、「平成の朝鮮危機」は、確かに迫っているという認識は、必要だと思います。
最後に、「平和の尊さ」を再認識し「戦争のムード」に流されないことが重要です。
「平和のための戦争」が歴史上、ほとんどなかったこと。
欧米中心の個人の基本的人権を尊重する民主国家では、「個人の命より大切な国」という考え方はないこと。
などを再認識し、日本と日本人が先の戦争から学んだことを、今こそ、もう一度、思い出すことが大切だと思います。
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