3月は「卒業」の季節です。
自分が対象じゃなくても、
不思議に、みんなの胸が「キュンキュン」する季節ですね。
そんな気持ちを、一層、切なくするのが「卒業ソング」です。最近は、卒業ソングも多彩になってきましたが、それでも「名曲」と呼ばれ、歌い継がれている卒業ソングが、いくつもあります。
今回は、そんな「卒業ソングの名曲」の一つ、海援隊の「贈る言葉」を紹介します。
まず、1番の歌詞を紹介します。
♪「贈る言葉」(歌:海援隊、作詞:武田鉄矢、作曲:千葉和臣)
♪1
暮れなずむ町の 光と影の中
去りゆくあなたへ 贈る言葉
悲しみこらえて 微笑むよりも
涙 かれるまで 泣くほうがいい
人は悲しみが 多いほど
人には優しく できるのだから
さよならだけでは さびしすぎるから
愛するあなたへ 贈る言葉♪
<暮れなずむ空>
名曲「贈る言葉」は、1979(昭和54)年11月1日に発売された、海援隊の16枚目のシングルです。
この曲は、1979年10月から1980年3月まで、TBS系列で放送されたドラマ「3年B組金八先生」(第1シリーズ)のテーマソングとして有名になり、100万枚を超す大ヒットとなりました。
ところで、ここで質問です。
この歌の冒頭に出てくる「暮れなずむ」とは、どういう意味でしょうか?
何となく、「夕暮れや黄昏」をイメージされる方が多いと思いますが、「暮れなずむ」はあまり使われない言葉で、しっかりと説明できる人は少ないのではないかと思います。
実は私も、最近まで「黄昏(たそがれ)」と同じような意味だと思っていました。
ところが、「暮れなずむ」は、黄昏とは少し違う夕方を意味します。
「なずむ」は漢字にすると、「泥む」と書き、「水、雪、草などに阻まれてなかなか前へ進めない」という意味の動詞で、万葉集にも出てきます。
つまり、「暮れなずむ」は、日が暮れそうでなかなか暮れないようすをさし、つるべ落としの「秋の夕暮れ」とは逆で、主になかなか暮れない「春の夕暮れ」の意味で使う言葉です。
こう聞くと、「暮れなずむ町の 光と影の中 去りゆく あなたに 贈る言葉♪」 という歌詞が、春の別れ=卒業を歌っているのではないかと想像され、「卒業ソング」であることが納得できます。
また、なかなか日が暮れない「春の夕方」なので、3番までの「結構、長いメッセージソング」であることも、納得できるような気がします。(笑)
学園ドラマ「3年B組金八先生」の主題歌であったこともあり、多くの卒業式で歌われて来た「贈る言葉」は、「卒業ソング」の定番です。
ところが、「贈る言葉」が作られた時、本当は卒業ソングではありませんでした。
では、第2問です。「贈る言葉」は、何ソングでしょうか?
答えの前に2番の歌詞をごらんください。
♪2
夕暮れの風に 途切れたけれど
終わりまで聞いて 贈る言葉
信じられぬと 嘆くよりも
人を信じて傷つく方がいい
求めないで 優しさなんか
臆病者の言いわけだから
はじめて愛した あなたのために
飾りもつけずに 贈る言葉♪
<桜の花とハチ公>
この2番を聞くと、この歌の本当のテーマがわかってきませんか?
「♪
はじめて愛した あなたのために
飾りもつけずに 贈る言葉♪」
の歌詞で、わかりますよね。
そうです。「贈る言葉」は、実は「失恋ソング」なのです。
この曲は、作詞の武田鉄矢(たけだてつや、1949年 福岡県生まれ)さんが福岡市にいた頃、21歳の女性に「女々しい」と言われ、ふられた経験をもとに作った歌です。
武田鉄矢さんは、福岡教育大学に入学し先生を目指すかたわらフォークの世界で活躍し、「贈る言葉」の作曲者・千葉和臣さんら3人で作った海援隊というグループを結成し、プロデビューしました。
ちなみに、グループ名の「海援隊(かいえんたい)」は、武田鉄矢さんが学生の頃からファンだった幕末の英雄・坂本龍馬が作った「日本初の商社」と言われている団体の名前です。
武田鉄矢さんの「海援隊」は、1972(昭和47)年にレビューし、翌1973年、たばこ屋をしていた母親(おふくろ)のことを歌った「母に捧げるバラード」が大ヒットしました。
しかし、その後は鳴かず飛ばずで、6年後の1979年から1980年にかけて、やっと大ヒットしたのが、「贈る言葉」です。
この曲を主題歌にしたドラマ「3年B組金八先生」(TBS 原作・脚本:小山内美江子さん)では、武田鉄矢さんは主演し、坂本金八(坂本はもちろん龍馬の姓、金八は金曜日の夜八時に放送されていたので)という福岡出身の熱血教師役が、はまり、人気俳優となりました。
ちなみに、ちなみに、「3年B組金八先生」の第1シリーズの生徒役には、三原じゅん子(女優→参議院議員)さんをはじめ、杉田かおるさん、鶴見辰吾さん、近藤真彦さん、田原俊彦さんなど、後に、歌手や俳優などで活躍する人たちが、ずらりと並んでいました。
それでは、「贈る言葉」の3番を紹介します。
♪3
これから始まる 暮らしの中で
誰かがあなたを 愛するでしょう
だけど私ほど あなたのことを
深く愛した ヤツはいない
遠ざかる影が 人混みに消えた
もう届かない 贈る言葉
もう届かない 贈る言葉♪
<幸せになれる? 四つ葉のクローバー>
最後は、「卒業シーズン」にふさわしい偉人からの「贈る言葉」を紹介します。
○「生きるうえで、最も偉大な栄光は、決して転ばないことにあるのではない。
転ぶたびに、起き上がり続けることにある。」
ネルソン・マンディラ(1918年~2013年 南アフリカ出身 政治家・ノーベル平和賞受賞)
○「私がこの世に生まれてきたのは、私でなければできない仕事が、
なにか一つこの世にあるからなのだ。」
相田みつを(1924年~1991年 栃木県出身 書家・詩人)
○「私たちには、今日も明日も困難が待ち受けている。それでも、私には夢がある。」
マルティン・L・キング牧師(1929年~1968年 アメリカ生まれ 牧師・公民権運動指導者)
○「人を信じよ。しかし、その百倍も自分を信じよ。
物語は、ここから始まるのだ。」
手塚治虫(1928年~1989年 大阪府出身 漫画家・アニメーター・医学博士)
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