2017年2月8日水曜日

インフルエンザ警報発表と鳥インフルエンザの脅威

寒くなったり急に気温が上がったり、極端な天気が続いていますね。そのせいかどうか、「インフルエンザ」が大流行しています。
国立感染症研究所の発表では、2017(平成29)年1月23日~29日までの1週間で、インフルエンザ患者が201万人に達し、全国の45都道府県(鳥取県と栃木県を除く)で警報レベルに達しました。

今回は、2017年1月~2月に大流行しているインフルエンザの状況・予防と、2月初めに佐賀県で確認された「鳥インフルエンザ」の驚異について、国立感染症研究所などなどの資料から紹介します。

<消毒薬とマスク>




 
 そもそも、インフルエンザ(infuluenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症のことです。 流行が周期的に起こることから、16世紀のイタリアで命名され、占星術師たちが病気の原因を「星や寒気」の影響(infuluence)だと考えたことが、語源だと言われています。

 インフルエンザには、A型、B型、C型の3種類がありますが、特にA型とB型は、流行しやすい性質をもっています。
 今期(2016年末から2017年2月にかけて)日本で流行しているのは、ほとんど「A香港型(
H3N2)」で、風邪に比べて重症化する恐れがあります。

 インフルエンザの患者は、毎年世界で300万人~500万人で、そのうち死者は25万人から50万人です。つまり、致死率は5.0%~16.7%ということになりますので、結構、高く「たかがインフルエンザ、されどインフルエンザ」です。

 特に子供や老人、呼吸器や循環器に疾患があったり、糖尿病の患者などは感染しやすく、重症化のリス
クも高いです。



 次にインフルエンザの主な症状は、(1)38度以上の高熱、(2)頭痛・筋肉痛・倦怠感、(3)上気道炎症、などがあり、感染後の潜伏期間は1~2日、一般的に治癒していくのには1週間程度かかります。
 しかし、重症化すると呼吸器に二次的な細菌感染症(肺炎など)を起こし、死亡する危険もありますので、警戒が必要です。


 感染の方法は、せきやくしゃみなどで周囲1~2mに唾液が飛び散り感染する「飛沫感染」と、感染者のウイルスが直接の接触や「ティッシュやテーブル・布団などに着いたあとに別の人がそれらを触ること」でうつる「接触感染」の2つがあります。(人が触らない状態で、ウイルスは約15分間生きています。)

 「学校保健安全法」では、インフルエンザ(鳥インフルエンザ等を除く)は、第2種の感染症に指定されていて、発症後5日か解熱後2日が過ぎるまでは、学校は出席停止になります。

<インフルエンザの予防法>

 
 
 
 予防法としては、まず「(1) 手洗い」があります。
 外出から帰って来たときや感染の恐れある人や物に接触した場合などに、まず流水で手を洗い、その後、ハンカチなどで拭いて、最後に石けんで洗うかアルコール消毒することが有効です。
 また、うがいもしておく必要があります。

 次に、「(2) 人混みに行かないこと」も重要で、どうしても外出する時は、「せきやくしゃみをする時は唾液が飛び散らないように手で口を覆うこと」や「マスクをすること」などの、「(3)せきエチケット」が大切です。

 さらに、「(4)十分な休養や睡眠をとること」も重要です。

 「(5)予防接種の注射」は重症化を防ぐ効果があり、致死率を5分の1に減らすと言われています。ただ、予防接種ワクチンは免疫がつくまでに2週間程度の時間が必要ですので、流行前にする(11月~12月)必要があります。
 現在のように「警報発令中」にするのは、危険ですしあまり効果が期待できません。

 A型インフルエンザの治療薬として「アマンタジン」、高熱への対応として「解熱剤」を使うことがありますが、どちらも副作用の危険がありますので、医師と相談する必要があります。

<鳥(このセキセイインコは感染していません)>
 
 
最後は、「鳥インフルエンザ」の話です。インフルエンザウイルスは、タンパク質が表面に突起のようなものになっている構造をしています。
表面のタンパク質には、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニラーゼ(NA)の2種類があります。

B型インフルエンザウイルスは、それぞれのタンパク質は1種類のみです。

しかし、A型インフルエンザウイルスには、HAが16種類、NAが9種類あって、その組み合わせの数、つまり144種類の亜型が理論上考えられますが、現在確認されているのは126種類です。
これらは「HA1型、NA1型」を「H1N1」のように表記します。

A型インフルエンザウイルスの中でも、特に、「H1、H3、H5、H7」が感染力が強く危険です。

「H1N1」は、20世紀初めに大流行(パンデミック)した「スペイン風邪」や、現在も時々流行する「Aソ連型」がこれにあたります。

「H3N2」が、2016~2017年の流行の主役「A香港型」です。

そして、現在、新型インフルエンザとして危惧されているのが、東南アジア・中国から中東まで流行している「H5N1型」と、主に中国で流行している「H7N9型」です。

2017(平成29)年2月4日、佐賀県江北町の養鶏場で鶏52羽が死亡し、うち7羽から高原性の新型インフルエンザウイルス(H5N1)が検出されました。
そこで佐賀県は、周囲の6万9000羽の鶏の殺処分を発表しました。

ここで疑問が起こりませんか?
「なぜ、たった数十羽の死で、6万9000羽も殺処分するのだろう。かわいそう。」
そんな声が聞こえてきそうです。

鳥インフルエンザとは、鳥に対して感染性を示すA型インフルエンザの人への感染症です。

鳥インフルエンザが、ごくまれに「鳥から人に」そして「人から人に」感染するウイルスに変異すると、人間に免疫がないので、大流行(パンデミック)を起こし、非常に危険なものになります。
その場合、致死率は50~60%に跳ね上がるとも言われていて、20世紀に4回起きたパンデミックでは、数百万人から数千万人が死亡しています。

このため、鳥から人にうつる可能性がたかい「高病原性インフルエンザウイルス(H5N1、H7N9)」をもつ鳥が発見されれば、周辺の鳥も含めて「皆殺し」にする措置がとられています。

<検疫所のポスター>

 
 
日本ではまだ、「H5N1」や「H7N9」に人が感染した例は確認されていませんが、ウイルスをもった国内の家畜は2月初旬の佐賀県で今季10例目で、中国や東南アジアなどの患者も確実に増えています。
新型インフルエンザへの対策も、「タミフル」以外は、ほぼ他のインフルエンザへの対策と同じです。

(1)手洗い
(2)人ごみに行かない
(3)せきエチケット
(4)十分な休養・睡眠

などを守って、お互いにインフルエンザに負けないようにしましょう!
 

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