「SMAP解散」、「ベッキーとゲスの極み問題」、「地下アイドル刺傷事件」など、2016年はアイドルの話題が多い年でした。
今、男性のアイドルの代表が「ジャニーズ」なら、女性アイドルの代表はAKB48グループですね。
「綺麗な衣装を着て、スポットライトを浴びて、楽しく歌い踊る。」私の中のそんなアイドルのイメージが大きく変わった記事がありました。
AKB48の公式ライバル「乃木坂(のぎざか)46」の中心メンバーの1人、橋本奈々未(はしもと・ななみ)さんが、「貧乏な家計を助けるためにアイドルになり、実家の生活や弟の学費のメドがたったので卒業し、芸能界を引退する。」という記事を読んで、大きな衝撃を受けました。
今回は、そんな乃木坂46の橋本奈々未さん、愛称「ななみん」について紹介したいと思います。
<乃木坂46の名前の由来となった「SME乃木坂ビル」(東京都港区赤坂)>
まず、橋本奈々未さんがデビュー時から所属する「乃木坂46(のぎざか フォティーシックス)」について紹介します。
「乃木坂46」のレーベル会社の「SME(ソニーミュージックエンタティンメント)」では、関連会社に所属していた「AKB48」が、キングレコードに移籍してから大ブレークしたため、「逃がした魚は大きかった」と担当者が悔やんでいました。
そこで、SMEと、AKB48の総合プロデューサー秋元康さんがタックを組んで、AKB48の公式ライバルとして、2011(平成23)年8月11日に結成されたのが、新たな女性アイドルグループの「乃木坂46」です。
「乃木坂」のグループ名は、最終オーデイションが行われた東京都港区赤坂の「SME乃木坂ビル」に由来し、「AKB48」より人数は少なくても負けるなという意味を込めて「乃木坂46」になりました。
因(ちな)みに、「乃木坂(のぎざか)」は東京都港区赤坂の乃木神社から外苑東通りにかけての「坂道」の俗称で、学習院院長も務めた乃木希典(のぎまれすけ 1849年~1912年)元陸軍大将の自宅がこの付近にあったのことに由来します。
この乃木希典元大将が、明治天皇の後を追って殉死した時から「乃木坂」と呼ばれるようになりました。
ちなみにちなみに、住所表記上で「乃木坂」の地名はありませんが、東京メトロ・千代田線には「乃木坂駅」があります。
「乃木坂46」の1期生は全国公募され、応募者3万8934人から合格した36名で構成されました。倍率は1081.5倍にもなります。
その中には元ももクロメンバーやモデルなど、芸能活動の経験者も多くいましたが、橋本奈々未さんは東京にある武蔵野美術大学の1年生(18歳)で、まったく芸能活動の経験はありませんでしたが、見事、合格しました。
しかし、乃木坂46は、あくまで影の存在でした。
当初から「乃木坂46」のコードネームは「シャドウ(影)」で、AKB48のシャドウキャビネット(shadow cabinet=影の内閣)としての扱いでした。
たとえば、2012年に発売された乃木坂46のデビュー曲「ぐるぐるカーテン」のカップリング曲の「会いたかったかもしれない」は、AKB48のヒット曲「会いたかった」をトレースしたものです。
私自身、乃木坂46という名前は知っていましたが、説明できるほど詳しく知ったのは、橋本奈々未さんの「卒業・引退」に興味をもってからです。(ごめんなさい。)
それでも、「おしゃれなリセエンヌ(フランス語で女子高校生)」をコンセプトとした衣装や、メンバー一人一人の個性とがんばりが、「お嬢様的美少女集団」のイメージで、男性はもちろん、女性にも人気となって、次第に、越えなければならない坂道である「AKB48グループ」にも負けない存在となっていきました。
2015年には、♪「君の名は希望」で、NHK紅白歌合戦にも初出場しています。
<橋本奈々未さんたち乃木坂46メンバーが成人式を迎えた乃木坂神社(東京都港区赤坂)>
橋本奈々未(はしもと・ななみ)さんは、1993(平成5)年2月20日、北海道旭川市で生まれました。
小学生の頃から頭がよく、4年生の時には全国模試で1番になったこともあるそうです。
中学校に進むと、バスケットボール部の選手として活躍しました。
中学卒業後の橋本奈々未さんは、北海道立の「北海道旭川西高等学校」に進学し、バスケットボール部のマネージャーになりました。
実家が「水道止まる、ガス止まる」(本人談)ほど貧乏だったので、高三の時には、居酒屋や焼き肉屋のアルバイトをしていました。正直、高校時代の写真を見ると、「普通のかわいい子」レベルだったと思います。
高三の奈々未さんは、家族の反対を押し切って、上京して自力で美大へ進学することを決意します。
2011(平成23)年4月、ちょうど「東日本大震災」の直後、橋本菜々美さんは高校を卒業して上京して、武蔵野美術大学に入学しました。
実家が経済的に大変なのがわかっていたので、親には頼らず、奨学金を学費につぎ込み、生活費はアルバイトをして稼ぎました。
東日本大震災の余震が連発する東京のひとり暮らしで、橋本奈々未さんの食事は、おにぎり1個が続き、美容院の値段が高かったので「カットモデル」をして節約したりしましたが、それでも、生活は苦しかったそうです。
そんな2011年、大学1年の夏、インターネットで「乃木坂46」の公募を知り、「ロケ弁で空腹から救われるかも」という動機で応募しました。
その結果、見事、1000倍のオーデションに合格し、「乃木坂46」の第1期メンバーになりました。
お金はなかったけれど、橋本奈々未さんは「おにぎりダイエット」のおかげで、自分でも気づかないうちに、高校時代とは見違えるほど、スレンダー美人になっていました。
結果的に、「おにぎり1個」の生活が、乃木坂46への道を開いたのではないかと思います。
余談ですが、橋本奈々未さんの「おにぎり1個生活」の話を知って、私もおにぎり1個の「ななみんダイエット」に挑戦中ですが、どうしても「お菓子」などの間食をしてしまいがちです。(意志が弱いですね。(笑) でも、もう少しがんばろう。)
美少女揃いの「乃木坂46」の中でも、橋本奈々未さんは「福神」(七福神のち、八福神、十福神)と呼ばれる前列の位置を、デビュー曲「ぐるぐるカーテン」から、2016年夏の15枚目シングル「裸足でSummer」までずっと守っている、「乃木坂の御三家」と言われるほどの人気者になります。
歌手活動の他にも、日本テレビの「ZIP」の川柳女子シリーズや、フジテレビの月9(月曜午後9時)枠のドラマ『SUMMER NUDE」などにも出演し、女優の活動も軌道に乗っています。
さらに、人気ファッション雑誌「CANCAM」の専属モデルにも抜擢され、まさに「現代のシンデレラ・ストーリー」を地で行く、人気者になりつつあります。
でも、橋本奈々未さん「ななみん」のすごいのは、「シンデレラ・ストーリー」と自分で決別したところです。
<橋本奈々未さんが卒業した「北海道旭川西高等学校」(北海道旭川市)>
実は、橋本奈々未さんの小学校の時の希望は「公務員になること」でした。
芸能界に入って人気者になっていっても、「自分は裏方の方があっているのではないか」と悩みました。
忙しくて大学も中退しなくてはならなくなり、体も重度のアレルギー反応の一つ「アナフィラキシー」と診断されて入院して、身長163cmの彼女が体重が30km台まで落ちた時もありました。
次第に「乃木坂46」の活動に、疑問と限界を感じるようになりました。
そんな2015年のある日、北海道のお母さんから奈々未さんに手紙が届きます。
「あなたの弟も頑張ってくれて、大学へ授業料免除の特待生として入学できることになったのよ。家の方の生活も、もう大丈夫だから、これからは、奈々未は無理せず、自分の好きなことをやりなさい。」と書いてありました。
橋本奈々未さんが溺愛し心配していた4つ下の弟に大学へ行けるメドがつき、実家も落ち着いたことを知って、奈々未さんは、「乃木坂46」の卒業と、芸能界引退を本気で考えるようになります。
事務所に水面下で希望を伝え、卒業・引退することを決めます。
そして、2016(平成28)年11月9日発売の「乃木坂46」の16枚目のシングル「♪さよならの意味」で、初めてセンターに立つことになった橋本奈々未さん「ななみん」は、CD発売直前の10月にラジオで、「歌うのはこの曲を最後にして、2017年2月20日の誕生日をメドに乃木坂46を卒業し、芸能界からも引退します。」と発表しました。
11月9日に発売された乃木坂46のCD「♪さよならの意味」は、ななみんの卒業・引退のニュースが背中を押したこともあって、同日に発売されたレコード大賞受賞経験がある「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」 の「♪Welcome to TOKYO」を押さえてオリコン・トップになりました。
さらに、出荷枚数で100万枚を超え、「AKB48」以外のアーティストでは、2007年に秋山雅史さんが「♪千の風になって」でミリオンに認定されて以来、9年ぶりのミリオン認定が確実になりました。
このことは、「乃木坂46」がAKB48の影(シャドウ)的な存在から、ついに表舞台になった瞬間だと思います。
「乃木坂46がミリオンを達成」した絶頂期に、センターを務める「ななみん」が歌手だけでなく芸能界引退も発表するなんて、黒田選手の男気と同じほど、「ななみんの女気」はすごいと思います。
本当に「生き方がロック」ですね。
<橋本奈々未さんがセンターを務める乃木坂46の16枚目シングル「♪さよならの意味」>
親孝行で弟思いの橋本奈々未さんのやさしさに感動して、私は、今年初めて、CDを買いました。(それも種類の違うCDを、複数、買いました。)
他にも橋本奈々未さんが載っている「少年チャンピオン」や「AKBグループ新聞」、「ザ・テレビジョン」などを買って読んでみたり、ネットで情報を探したりして、「ななみんの卒業・引退・今後」について、いろいろ情報収集してみました。
卒業・引退の理由についての真相の噂はいろいろありますが、でも、結局、本人のラジオ・テレビでの発言が一番確かだし、感動しますので、その一部を紹介します。
<ラジオでの引退表明>
「乃木坂46を卒業するとともに、芸能界も引退します。来年、24歳になってからは、一般社会で普通の女性として生きていこうと思っています。乃木坂で芸能界にデビューしたから、乃木坂卒業と同時に芸能界も引退しようと決めていました。(正直、卒業しても女優やタレントとして十分やっていけると思います。)」(2016年10月19日 ニッポン放送ラジオ オールナイトニッポン)
<卒業・引退表明を受けてのテレビインタビュー>
「自分は表に立つより、裏で誰かをサポートする方が合っているのかなと思っています。
元々、(芸能界に)入ったのが、お金のためだったんです。実家がメチャ貧乏だったんです。
水道止まる、ガス止まるみたいな。それでも、私は1人めだから親がいろいろしてくれた。
でも、弟まで(お金が)まわる余裕があるのかと思った時に、弟は男の子だし、自分のせいで(進学)できなかったらと思って、何とかしなきゃと考えました。
いろいろ模索した結果、ここ(乃木坂46)に来たんです。
弟も大学へ進学し学費免除になった。弟も自立できるし、母からも『もう生活できるから自分の好きなことをしなさい。ありがとう。』という手紙が来ました。
アイドルをやっている時も、私がちゃんとしないと困る人がいるという気持ちはずっとありました。
引退することで、ここまで応援してくれたファンの皆様には申し訳ない気持ちもありますが、でも、これからも、私はずっとファンに感謝しながら生きていきます。
結婚は、相手もいないし、よほどいい人がいない限り、当分、ないです。でも、したいです。
北海道には帰らず東京に残り、普通の社会人として生きていきます。」
(2016年10月30日放送「乃木坂工事中」 テレビ東京系 MCのバナナマンのインタビュー)
自分のことしか考えない人が多い中で、橋本奈々未さんの話は本当にすばらしく感動しますね。
乃木坂46の中で、橋本奈々未さんは、「頼りになるお姉さん」的な存在で、次世代エースの呼び声高い斉藤飛鳥さん(18歳)が『ななみんはオレの嫁』と公言しているのをはじめ、多くのメンバーたちにも慕われています。
また、番組収録で大きなカエルでみんなが遊んだあと、カメラが止まってからカエルを抱いて「ごめんね。ごめんね。」と言っていたという逸話があるほど、人にも動物にもやさしい橋本奈々未さんです。
今回の橋本奈々未さんの家計のためにアイドルに就職・引退の話には、「子供の貧困」の問題が、アイドルの世界まで影を落としていることも浮き彫りにするきっかけにもなり、いろいろ考えさせられますね。
<橋本奈々未さんのふるさと「北海道旭川市」>
最後に、橋本奈々未さんが「最初で最後のセンター」になり、見事、ミリオンセールスを記録した、新曲「さよならの意味」の歌詞の一部と、「ななみん」のブログを紹介します。
♪「さよならの意味」(作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦 歌:乃木坂46)
(中略)
♪
大切なもの 遠ざかっても
新しい出会いがまた いつかはきっとやって来る
サヨナラを振り向くな 追いかけてもしょうがない
思い出は 今いる場所に置いて行こうよ
終わること ためらって 人は皆 立ち止まるけど
僕たちは 抱き合ってた腕を離して もっと強くなる
躊躇してた間に 陽は沈む
遠くに見える鉄塔 ぼやけてく
君が好きだけど
ちゃんと言わなくちゃ いけない
見つめあった瞳が 星空になる♪
<橋本奈々未さん「ななみん」のブログから。>
「さよならの意味、発売しました。みんな、ありがとう! 初のミリオン!
うれしいです! わーい!
『♪さよならの意味』、そしてソロの『♪ないものねだり』。この2曲は、今後の私の人生にとっても宝物になる曲だと思います。
これが人生、最後のレコーディングだったんよ。
すごく素敵な曲になりました。ありがとう。
みんなもわたしの宝物を共有してください。」
(2016年11月11日 橋本奈々未さんのブログ「ありがとうだらけだな」より)
しっかりもので優しい「ななみん」が、幸せになってほしいと心から祈りたいです。
でも、少しだけ「芸能界復帰」にも期待したいと思っています。
そして、自分も、ななみんみたいに、がんばらないといけないと、勇気づけられます。
<一句>
「ななみんは 優しきアイドル 永遠に」
<一首>
「アイドルが シンデレラの靴 脱ぎ捨てて さよならの意味 噛みしめ旅立つ」
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