2017年11月29日水曜日

季節の歳時記2「秋の終わりに」~秋の色は「赤」それとも「白秋」?~

 木々の紅葉が進み、木枯らしの冷たさが身に沁みる季節で、秋も終わりですね。 そこで、今回は過ぎゆく秋を、ちょっとセンチメンタルに振り返ります。

 まず、突然ですが質問です。
 「秋」は、色に例えると何色だと思いますか?


 私が、秋の色と聞かれて、一番先に思いつくのは、「赤色」です。
 そうです。
 夕焼け、赤とんぼ、紅葉、みんな「赤」ですよね。
 ここで、「まっかな秋♪」という童謡の一番を、紹介します。


♪「まっかな秋」(作詞:薩摩 忠、作曲:小林秀雄)♪


まっかだな まっかだな 
つたの葉っぱが まっかだな
もみじの葉っぱも まっかだな
沈む夕日に照らされて 
まっかなほっぺたの 君と僕
まっかな秋に 囲まれている♪


 季節だけじゃなく、友達のほっぺまで赤いというのが、この曲のいいところですね。
 子供の頃、その部分に感動した覚えがあります。

 この曲は、1963(昭和38)年にNHKテレビの「たのしいうた」で紹介された曲で、作詞の薩摩忠(さつま ただし 1931年~2000年、東京都出身)さんは、詩人で海外児童文学の翻訳もされています。 

<写真 秋の夕暮れ>



 秋の色は「赤」で決まりと言いたいところです。
 でもね、「白秋」という言葉が、どうしても気になりませんか。

 名曲「この道」や「ゆりかごのうた」、「雨降り」などの多くの童謡を作詞したあの北原白秋(きたはら・はくしゅう 1885年~1942年 熊本県生まれ)さんに代表されるように、論語の時代から「陰陽五行説」では、秋の色は「白」、つまり「白秋」と言われています。

 ちなみに他の季節の色はというと、春は「青春」で有名な「青」、夏は「朱夏」と呼ばれて「赤(朱)」、冬は「玄冬」で「黒」です。
 ちなみにちなみに「五行説」なのに4つの季節なのはなぜという問いについては、「木・火・土・金・水」の五行に対応する季節は、「春・夏・土用・秋・冬」で、色は「青・赤・黄色・白・黒」となります。
 そう、四季に加えて、土用が入るのです。


 まあそれは、ともかく「秋の色は白」というのは、実感としては、ありませんね。
 それでは、なぜ、秋が白なんでしょう。
 それには、こんな説があります。

 古来、白は何色にでも染まる色なので、「色なき色」とも呼ばれ、秋も「何色にも染まる色なき色=白=白秋」と呼ばれたという説があり、もう一方で、秋は「すべての色に染まる彩(いろどり)の季節」とも呼ばれています。
 「白秋」と「彩の秋」は。矛盾しないというのですが、あなたはどう思いますか???


 後半は、「じゅんくう詩集」から、晩秋の詩と、秋を象徴する言葉を言い換えた「新・ルナールの言葉」を紹介します。

 まず、「秋の終わりに」という詩です。



詩「秋の終わりに」(じゅんくう)

秋の終わりの 黄昏の中
ハラハラと散る 枯葉を見てる
恋も 命も みんな散りそう

あの人の笑顔が 飛び跳ねていた
テニスコートも 夕焼けの中
青春も 情熱も 木枯らしに消えてゆく

白い吐息と くしゃみが知らせる
秋の終わりと 冬のおとずれ
夢も 笑顔も みんな凍って

あの頃のドリーム すまして見ていた
キンモクセイも 北風に震える
憧れも ときめきも 静かに溶けてゆく

秋の終わりに  公園で一人
ホットコーヒー  心に沁みる
あの頃も あの人も 風に吹かれてる

さよならの心が 一番星と揺れて
それでも生きている  ポプラの思い出
街の灯りが 遠くでチラチラ

秋の終わりに 歩き出す もう一度
コスモスの咲く 細くまっすぐな道を
あの日から 未来へ
  

<写真 キンモクセイ(金木犀)の花>





 おしまいは、秋の言葉を、じゅんくうが別の言葉に変換した「新・ルナールの言葉」です。
(ジュール・ルナール(1864年~1910年)は、フランスの詩人・作家で、小説「にんじん」や博物誌などが代表作です。感性あふれる短い言葉は、「ルナールの言葉」として有名です。)



○新ルナールの言葉(2)
「秋と夕焼けと金木製」


<コオロギ> 
秋限定のオーケストラ。
どこか淋しい? 
朱夏のリグレット(後悔)


<秋分の日>
暦の上では 暑さもここまで
ここから先は
夕焼けも 急ぎ足


<コスモス(秋桜)>
パステルカラーの花は
草原の星座のように 
やさしく 曖昧で 純情
秋色の風に 揺れている 


<〇〇の秋>
読書 スポーツ 芸術 食欲 ---
秋は 人間たちに つかの間の 
やる気を与えてくれる?
でも 本当の主役は
夏の暑さと 冬の寒さの間の
サンドイッチのような 気候 


<台風>
嫌われ者で 暴れん坊
だけど 通り過ぎたあとに
青空と 澄んだ空気を 残しくれる 


<赤トンボ>
秋は「白秋」というけれど
赤トンボが 秋を連れて来て
紅葉が  秋を彩り
夕焼けが 秋を消してゆく
秋は「紅秋」かもね?


<枯葉>
緑から 黄色や 赤や からし色に
高齢化社会の 縮図
そんな枯葉たちも一瞬だけ 
空に溶け込み スカイダイビング


<金木犀(きんもくせい)>
君が咲くのは ほんの数日だけど
君のやさしい匂いは 心の中で永遠になる
キンモクセイの咲く 通学路こそ青春


<木枯らしと小春日和>
木枯らしが 街を吹き抜けると
人々は 厳しさと淋しさを 思い出す
束の間の 小春日和は
人々に やさしさと暖かさを 思い出させる
だけど もうすぐ クリスマスと年末だよ 
たぶん? 


(もっと「じゅんくう詩集」を読んでみたい皆さんは、ネット検索「じゅんくう詩集」で検索してみてください。)



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