2017年10月4日水曜日

名月や やがて淋しき 虫の声 4Kテレビ 夢のまた夢

 2017(平成29)年の「中秋の名月」は、10月4日(水)です。
 しかし、国立天文台によると、本当の満月は、10月6日(金)の3時40分だそうです。

 中秋の名月の夜は、秋の美しい月を見ながら、収穫に感謝し、お団子やすすき、お芋などを供えたいですね。(できれば、月見酒も)
 今年は、お団子を自分で作れないので、「平成のお月見」らしく、コンビニで「お月様とうさぎ」(写真)の和菓子を買って食べます。(笑)


 ここで、名月の名句をいくつか紹介します。月を見ながら、声に出してみてください。

「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」 
 松尾芭蕉(1644年~1694年 江戸初期・現在の三重県生まれ)

「名月や 今宵に死ぬる 秋の蚊か」
 正岡子規(1867年~1902年 明治時代・現在の愛媛県生まれ)

「なかなかに ひとりあればぞ 月を友」
 与謝蕪村(1716年~1784年 江戸中期・現在の大阪府生まれ)

「おとなりも 寝たらしい月 澄むほどに」
 種田山頭火(1882年~1940年 明治~昭和・山口県防府市生まれ)


<和菓子「お月様とうさぎ」(セブン・イレブン)>





 名月は美しいけれど、その寿命は1日か、せいぜい2日ですね、
 そこで、少し儚い(?)実話を紹介します。

 この前の日曜日、中学生の男の子とお父さんが、一緒に大型テレビを見に、家電店に行きました。

 実は、この親子の家のテレビは、「世界の亀山モデル」と書かれた、かつては最先端の32型テレビでしたが、今は、作ったシャープの勢いがなくなり、購入から10年も経ってすっかり老朽化しています。

 子供は「もっと大きなテレビでないと恥ずかしい。」と言い、テレビ自体も6チャンネルと8チャンネルが映りにくくなっていました。

 このお父さんは一人で働いていて、しかもこの夏は、1ケ月も入院したこともあり、家族、特に中学生の将来に不安を感じて、ぜいたく品はなかなか買いたくありませんでした。

 でも、子供の「恥ずかしい」という言葉に負け、「フルハイビジョンから4Kへ流行が移り、フルハイビジョンなら買い時」と自分に言い聞かせて、大型家電店に中学生を連れて行きました。

「40型のハイビジョンなら、大きくてお得だ。」と、お父さんは息子に胸を張って、「これを買おう」と言いました。

 ところが、喜んでくれると思った子供は、急に暗い顔になって、何やら自宅にいるお母さんに電話をしました。
「お父さん、4Kのもっと大きなテレビじゃなきゃ、ダメだって、お母さんが言っているよ。」

 そう言うと、中学生は、一桁値段の違う、4Kの大きなテレビの前から動かなくなりました。
「安い方でいいじゃないか。」
とお父さんは言いますが、中学生は首を縦にふりません。

「これは、高いからやめようか。」
 そう言えば、高いテレビはあきらめて、ハイビジョンテレビにしてくれると思ったお父さんでした。

 ところが、子供はもう一度、母親に電話して言いました。
「この安いのなら、やめて帰って来いと、お母さんが言ってるよ。」

お父さんは、後にはひけず、
「じゃあ、やめよう。」
と言って、肩を落として帰宅するしかありませんでした。

 自宅に帰って、お父さんは、「世界の亀山モデル」のロゴのある古いテレビを撫でながら、独り言を言いました。
「マイホームも、大手住宅会社の高い家を買って、まだローンが残っているのに。
4Kテレビは欲しいけど、夢のまた夢だ。
少しは、病気をおして一人で働いている俺の気持ちもわかってくれよ。」

 実は、今回のお父さんのテレビの購入資金は、自分が入院したことで、最近下りた保険金を充てるつもりでした。
 お父さんは、一人、淋しく窓際でため息をつきました。


<「世界の亀山モデル」と書かれた古いテレビ>




 この話を聞いた私は、なんかお父さんがあわれで、庭へ出て月を見上げながら、まぶたが熱くなりました。
 その時、草むらから虫の声がしてきました。

 リーン、リーン、
 リーン、リーン。

 突然ですが、ここで問題です。
 この鳴き声の主は、何の虫でしょうか??

 一番、多い答えはスズムシだと思います。
 確かにスズムシは、リーンリーンと鳴きますが、私の聴覚では、コオロギもリンリンと鳴くと感じています。


 最近のテレビやネット放送で、出演者の二十歳前後の若者たちが、真剣に
「コオロギは鳴かないよ。」とか、
「コロコロと鳴くんだよ。」とか言っていましたが、
 実はコオロギは、左右の羽をこすりあわせて音を出します。(鳴きます)

 何と聞こえるかは諸説ありますが、私はリンリンが一番近いと思います。

 もう少しコオロギの話をすると、暑くなるとコオロギの羽の動きは活発になり、音が高くなります。
 逆に気温が低くなると羽の動きが鈍くなり、音が低くなります。

 気温がどんどん低くなり、15 度を下回るとほとんど鳴かなくなってしまいます。
 ですから、秋が深くなると、コオロギは夜は鳴かなくなり昼間だけ鳴くようになります。
 しかも、なんと、コオロギが鳴く回数で気温がわかるという説もあります。

 その計算式は、
 <(コオロギが15秒間で鳴く回数+8)×5÷9=気温> だそうです。
 1度、やってみたいですね。

 ちなみに、日本とポリネシア以外のほとんどの国では、虫の声は「雑音」とされているそうです。
 その理由は、日本人は、虫の声を右脳で「言語」として認識するのに対して、欧米などの外国人は、虫の声を左脳で認識し、雑音としてとらえるそうです。


<コオロギの写真>





 最後は、小学校の頃に習った、なつかしい文部省唱歌「虫のこえ♪」を紹介します。

 ちなみにちなみに、この歌の2番の歌い出しで「キリキリ キリキリ キリギリス」という歌詞がありますが、キリギリスは、日本の古文では、コオロギのことをさします。
 ですから、最近は、2番の歌い出しは、「キリキリ キリキリ コオロギや」が多いそうです。

 でも、私的には、コオロギは「キリキリ」とは鳴かないと思っていますし、キリギリスの方が韻を踏んでいていいと思います。

 それでは、唱歌「虫のこえ♪」の歌詞を紹介します。
 鳴き声に注目してみてください。


♪「虫のこえ」(文部省唱歌 1910年)♪


あれ マツムシが鳴いている
チンチロ チンチロ チンチロリン
あれ スズムシも鳴き出した
リンリン リンリン リインリン
秋の夜長を 鳴きとおす
ああおもしろい 虫の声

きりきりきりきり キリギリス(コオロギや)
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとからウマオイ 追いついて
ちょんちょん ちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴きとおす
ああおもしろい 虫の声



名月や やがて淋しき 虫の声 4Kテレビ 夢のまた夢(自作)

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