2017年9月6日水曜日

9月の憂鬱(ゆううつ)に負けないで ~頑張れより「ファイト」(中島みゆき♪)~

 9月になりましたね。 まだまだ暑い日々もありますが、少しずつ秋になったようです。

「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」

 という、平安時代中期の歌人・藤原敏行《生年不明~907年》の「古今和歌集」の和歌がびったりの季節ですね。
 夏休みが終わるこの時期は、18歳以下の自殺といじめが多い「憂鬱(ゆううつ)な季節」でもあります。
 2015(平成27)年に内閣府が発表した「自殺対策白書」では、18歳以下の自殺が日別で1番多いのは9月1日で、続いて9月2日が4位、8月31日が5位となっています。

 最近は、この時期、「死なないで逃げて」という声が多く聞こえます。

 2015(平成27)年8月26日に、鎌倉市中央図書館の司書・河合真帆(当時44歳)さんが、Twitterの公式アカウントから呼びかけた投稿「死にたくなったら図書館へ」が9万RT(リツート)を超え、「お気に入り」の登録も7万件を超え、大きな話題になりました。

「もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。     マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。
  9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。」
 河合司書さんは、次のように語っています。 「実は、私も小学生のころ、いじめに遭い、学校に行くのがつらかったんです。 子どもの自殺が最も多いのは、夏休み明けの9月1日という報道を読みこのツイートを書きました。    
 また、米国の図書館にあった<自殺したくなったら図書館へ>というポスターを思い出したのも、きっかけになりました。」


<写真 「24時間子供SOSダイヤルのポスター」(モデル・乃木坂46)>
 
 
 
  昨年、ブログで取り上げさせてもらいましたが、2016(平成28)年8月25日10時5分ころ、青森県藤崎町の奥羽線北常盤駅で、中学2年の少女が自殺しました。
 8月25日は、少女の通っていた中学の始業式の翌日でした。(9月1日が始業式の地域にあてはめると、9月2日の夏休み明けということになります。)

 少女は、最初の報道では匿名でしたが、家族が少女のスマホに残されたいじめを苦に自殺するという内容の「遺書」とともに、実名を公表しました。
 少女の名前は、青森県青森市にある浪岡中学校2年生だった葛西(かさい)りまさん、13歳でした。
 葛西りまさんのスマホのメモアプリには、次のような内容の「遺書」が自殺する1時間30分前に、残されていました。(りまさんの家族が公表したものです。)

「遺書 葛西りま 
 突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。
 弱いのは自分自身でも分かってるし、悪い所もあったのは知ってるけど、流石にもう耐えられません。 
 学校生活も散々だし、それでストレスたまってたのに、仮病とかいう人が沢山いて、説明しても、あまり信じてくれなかった。
 1、2年の時に噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください。

(中略)
 家族へ。先立つ不幸を許してください。もう無理です。特別虐待があったわけでもない。
 みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけど、楽しい時もありました。
 本当に13年間ありがとうございました。いつか、来世ででも、幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。
 また、会おうね。 2016年8月25日木曜日」


 残念ながら、今年(2017年)も、9月1日前後に、東京や埼玉・千葉をはじめ、全国各地で、多くの若者が自殺してしました。

 また、「特にいじめを受けた月」も、実は9月が1番となっています。

 私も中学で、いじめられましたが。うちの身内にも、不登校になっている中学生がいます。
 確かに、死ぬよりは、一時的には「学校を休んでもいいし、図書館などに避難するのもいい。」
と思います。

 でも、「いじめ問題」の根本的な解決は、私の経験でも、自分を信じること(自信)と、話を聞いてくれる味方がいること、そして忍耐(頑張れではなく、頑張ること)と戦う勇気(ファイト)を持つことだと思います。
 一時的に逃げてもいいから、今の自分を乗り越えられたら、それは一生の宝物になります。
 
 そこでここからは、「頑張れ」と「ファイト」いう2つの言葉を中心に、9月の憂鬱に負けない気持ちについて考えたと思います。


<写真 夏を乗り越え「実をつけた稲穂」>
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 「頑張(がんば)る」の語源には、2つの説があります。
 1つは「眼張る」が転じて「頑張る」になったという説で、「見張り」とか、「一定の場所から動かない」という意味になります。
 もう1つは、「我を張る」が「頑張る」になったという説で、「自分の考えを押し通す」という意味になります。
 あれー?、どちらもポジティブじゃ、ありませんね。

 さらに、「頑張れ」は「頑張る」の命令形で、国語辞典には2つの意味が記載してあります。
 1つは、「言葉をかけて元気づける」という意味。もう1つは、「強い口調で責め立てる」という意味です。
 この2つの意味が、ともすれば混在し、「頑張れ」は命令形だということもあって、「自分のことではなく、他人ごととして責め立てる。=頑張れ」という意味になり、言われた人にプレッシャーになり、自殺の原因にすらなることがあります。

 ただ、これはあくまで「頑張れ」のことで、「頑張る」は自分自身の決意と行為ですから、他人からのプレーシャーにはなりません。


 一方、英語の「ファイト(Fight)」は、ボクシングの「ドッグ・ファイト」に代表されるように、拳などを具体的に出して「戦え、ケンカしろ」が、本来の意味です。

 ただ、日本語の「ファイト」は「言葉をかけて元気づける」という意味で使われることが多く、命令形ではないので、ポジティブになります。

 この「日本語のファイト」を、もう1度英語になおす(?)と、元の「Fight」ではなく、

・「Good luck.」(幸運を祈ります)

・「
You can do it.」(大丈夫、君ならできるよ)
・「Never give up.」(あきらめないで) 

など、命令形ではない「やさしいボジティブ語」になります。

こういう意味で頑張っている人・子供たちには、「頑張れ」ではなく、「ファイト」と声をかけたいですね。

 この意味の「ファイト」がタイトルになっている曲で私が思い浮かぶのは、森高千里さんの「ファイト」と中島みゆきさんの「ファイト」です。

 そのうち今回は、中島みゆきさんの名曲「ファイト」♪(1983年)の歌詞の一部を紹介します。


 この歌は、中島みゆきさんがラジオの深夜放送のDJをしていた時に届いた、1通の少女の手紙がもとになってます。その内容を紹介します。

「私は中学を出てすぐに働いて2年になる17歳の女の子です。
この間、私の勤めている店で、店の人が私のことを
『あの子は中卒だから事務は任せられない』と言っているのを聞いてしまいました。

私、悔しかった。悔しくて、悔しくて、泣きたかった。
中卒のどこが悪い!と、言いたかった。
私だって高校行きたかった。
だけど家のこと考えたら、私立に行くなんて言えなかったし、高校に入る自信もなかった。
なのに、こんなふうに言われるなんて酷い。」
(ペンネーム 私だって高校行きたかったさん)


 この手紙を元にできた曲「ファイト♪」は、1983(昭和58)年のアルバム「予感」に収録され、1994(平成6)年に「空と君のあいだに/ファイト」で、シングルカットされています。
 
 さらに、槇原敬之さん、福山雅治さん、吉田拓郎さん、満島ひかりさん、竹原ピストルさんなど、蒼々たるメンバーが、この曲をカバーしている名曲です。

それでは、「ファイト」の歌詞の一部を紹介します。

​​♪「ファイト!」(作詞・作曲・歌 中島みゆき)


あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

私、本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私、驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です


ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ


暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく


勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて あいつは海になりました

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ ♪



 私はつらい時、生きるのが嫌になった時、よくこの曲を聴きます。
 人生は、勝つか負けるかわかりませんが、挑戦する勇気とファイト、
そして、たとえ破れても、何度でもやり直せます。
 このことを、9月に悩む子供たちにも伝えたいですね。

 
 
 
 

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