2017年5月15日月曜日

カーネーションと母の日の病室 ~見えるのも愛 見えぬのも愛~

2017(平成29)年5月14日(日)は、「母の日」でした。私は、交通事故で入院中の母の病室に「赤いカーネーション」を持参しました。

 母は、個室から6人の大部屋に変わっていて、私のカーネーションを見ると笑顔で言いました。
「ありがとう。でも、カーネーションは邪魔だから、実家へもって帰ってね。」と言いました。

(せっかく、買ってきたのに。)と心で思いながら、仕方なく私は実家へカーネションを持って帰りました。


 ところで、5月の第2日曜日(2017年は5月7日」は、なぜ「母の日」でカーネーションを送るのでしょうか。


 5月の第2日曜日を「母の日」にしている国は、日本の他、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ドイツ。イタリア、中国など30ヶ国にもなります。
 この起源は、20世紀初頭のアメリカにあると言われています。

 1907(明治40)年5月12日に、アメリカ・ヴァージニア州の教会で、女性運動家で南北戦争の時には、敵味方の区別なく負傷兵の手当をしたアン・ジャービスさんを偲んで、娘のアンナ・ジャービスさんが、2年前に亡くなった母親アンさんが教師をしていた日曜学校がある教会で「記念会」を行い、出席した人に母の好きだった白いカーネーションを配りましした。

 これが、日本やアメリカなどの「母の日」の起源と言われていて、翌年1908年の5月10日、アンナさんの母への想いに感動した人々は、前年と同じ教会で、日曜学校の470人の生徒と母親達が集まり、最初の「母の日」を祝いました。

 この時も、アンナさんは、参加者全員に、母親が好きだった白いカーネーションを手渡しました。このことから、「白いカーネーション」が母の日のシンボルとなりました。

 アンナ・ジャービスさんと友人たちは、「母の日」を作って国中で祝うことを提案し、1914(大正3)年に、「母の日」はアメリカ合衆国の記念日(祝日)となり、5月の第2日曜日と定められました。


 日本では、第2次世界大戦後の1949(昭和24)年ごろから、アメリカにならって、5月の第2日曜日に「母の日」の行事が行われるようになりました。

  因(ちな)みに、「母の日」の由来には諸説あって、

・古代ローマ時代の神様の母、
 「リーア」に感謝を表す春祭りを起源とする説

・17世紀、イギリスで、復活祭(イースター)の40日前の日曜日、出稼ぎ労働者が母親に会うために帰省していた日である、「マザーズ・サンデー」を由来とする説

などがあります。

 <母に贈ったカーネーション>



 次は「母の日の花」、カーネションについて、紹介します。

  カーネーションは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、原産地は南ヨーロッパから西アジアの地中海沿岸といわれています。

 イスラム世界では、バラやチューリップなどと並び愛されている花で、人や動物などの「偶像崇拝」が禁じられているイスラム教で、寺院などのデザインとして使われている「アラベスク」(幾何学模様)の一つにカーネーションが使われています。

 一方、キリスト教では、カーネーション(英名 carnation)は、「肉(ラテン語のcam) の色の花」が語源とも言われ、「聖母マリア様が、イエス・キリストが十字架を背負った姿を見て流した涙の跡から咲いた花がカーネーションだった。」という伝説があります。

 対立することの多い、イスラム教とキリスト教のどちらにも愛されているカーネーションは、母の日の花にふさわしいですね。


 日本では、徳川第3代将軍家光の時代(在1623年~1651年)にオランダからカーネーションが渡来したという記録がありますが、本格的な栽培は20世紀になってからでした。

 
 ちなみに、カーネーションの色による主な花言葉は、次のとおりです。

・「赤」 = 母への愛。愛を信じる。熱烈な愛。
・「ピンク」 = 感謝。気品。
・「白」 = あなたへの愛は生きている。尊敬。亡き母を偲ぶ。
・「オレンジ」 = 純粋な愛情。清らかな慕情。感動。
・「黄色」 = 軽蔑。嫉妬。
・「青」 = 永遠の幸せ


 花言葉からは、「黄色のカーネション」は、要注意かも知れませんね。

  一方、「青いカーネーション」については、世界で初めて、日本のサントリーが、「ムーンダスト」という名で開発しました。2004(平成16)年度のグッドデザイン賞(金賞)を受賞しています。


<写真 青いカーネーション>




 最後に、母がなぜ私に「カーネーションを即日もって帰れ」と言ったのかの答えです。 
土曜日に仕事に行った代休だったので、5月15日、「母の日」の翌日の月曜日、もう一度、母の病室に見舞いに行った私は気づきました。

先日までとは違い、母は大部屋にいました。
そこには、母を含め6人の女性がいて、ベット脇に「カーネーション」をおいてある患者が3人、母も含めておいていない患者が3人いました。

そうなんです。
「母の日」に「カーネーション」を贈る人がいない子供がいるのと同様に、母の日に「カーネーション」をもらえない高齢の女性もいるのです。

そのことに気づいていた母は、「亀の甲より年の功」ですごいなと思いました。
気づかなかった私は、まだまだ「青いな」と反省しました。


カーネーションと母の日の病室で、私は「見えないやさしさがある」ことと、「愛を信じる力」(赤いカーネーションの花言葉)を見つけることができたような気がしています。


<一首>

母の日の カーネーションは 透明で 見えるのも愛 見えぬのも愛

0 件のコメント:

コメントを投稿