アイドルの坂道の14回目は、笑わないアイドルグループ「欅坂46」(けやきざかフォーティーシックス)と、長崎県五島列島育ちの遅れてきた人気メンバー「長濱(ながはま)ねる」さんを紹介します。
「欅坂46」(いわゆる漢字けやき)は、2015(平成27)年6月に、乃木坂46に続く、坂道シリーズ第2段として募集を開始しました。
募集開始時は、「鳥居坂46」というグループ名になる予定でした。
2015年8月21日に、全応募者22,509名の中から最終合格者22名が発表され、倍率は1000倍を超えました。
その直後の「お披露目」で、「鳥居坂46」ではなく「欅坂(けやきざか)46」という名前で、活動を開始することが発表されました。(理由は不明です。)
その後、2人が辞退し、2015年11月から20名で本格的な活動が始まりました。
ちなみに、グループ名の「欅坂」という地名は、東京都内で実在するのは漢字ではなくひらがなの「けやき坂」で、東京都港区六本木の「六本木ヒルズ」や「テレビ朝日」の南側にある通りの名前です。
本来、グループ名は実在するひらがなの予定で秋元康総合プロデュサーたちが進めていましたが、乃木坂46運営委員会委員長の今野義男さんが、漢字の「欅」という字は21画で最強だという理由で、
押し切りました。
同年11月30日に、21人目の追加メンバーとして、最終オーデションを辞退していた長濱(ながはま)ねるさんが、特別に結成されたアンダーグループ「けやき坂46」(いわゆる「ひらがなけやき」)に1人だけ所属して、活動することが発表されました。
また、ひらがなの「けやき坂46」の追加メンバーも募集されることになりました。
2016(平成28)年4月、欅坂46の20人は「サイレントマジョリティー」でメジャーデビューし、初週売り上げ26万2000枚で、女性アーティストのデビューシングルの新記録を更新し、オリコン1位になりました。(「サイレントマジョリティー」は、この年、37万7千枚を売り上げました。)
また同年5月に、ひらがなの「けやき坂46」の追加メンバー11名が発表され、長濱ねるさんと合わせて12人になりました。
2016年8月には、セカンドシングル「世界には愛しかない」が発売され、週間・月間の売り上げ1位になり、年間39万3千枚を売り上げました。
そして、この曲から長濱ねるさんが、欅坂46とけやき坂46の兼任メンバーとして、「欅坂46」の楽曲にも参加することになりました。
さらに、11月発売の3枚目のシングル「二人セゾン」も、チャート1位になり、46万8千枚を売り上げ、デビュー1年目で、2016年12月の「NHK紅白歌合戦」に初出場し、一挙にトップアイドルの仲間入りをしました。
<写真 欅坂46デビュー曲「サイレントマジョリティー」のPR用ポスター>
実は、「欅坂46」については、「アイドルの坂道」でずいぶん前から取り上げたかったのですが、正直、「よくわからないアイドルグループ」だったので、ここまで延ばしてきました。
「笑わないアイドル」とか「革命的アイドル」ということは言われていましたが、いろんな記事や本、冠番組「欅って、書けない?」(テレビ東京)を見ても、本当のところ「欅坂46って、わからない?」でした。
ただ、最近、総合プロデューサーの秋元康さんの記事を読んで、「なるほど」と思えました。それで、ブログを書けそうな気になりました。
それでは、秋元康さんのインタビュー記事の一部を紹介します。
「AKB48は、高校で言えば芸能コースのように、芸能界の華やかなところにいる。
乃木坂46は、ファッションとか音楽とか、わりと専門学校的な気がします。目指すものや価値観がそれぞれにあって、わりと自由に生きています。
ところが欅坂46の子たちは、普通科なんですよ。まさか、あの子が芸能界に行くとは思わなかったと思うような普通の子です。」(日経エンタティメント 2016年10月号より)
なるほど、普通科だから、特徴がないのですね。
「欅坂46には、グループカラーがない。」(秋元康氏)から、グループの特徴を探してもわかりにくかったのですね。
欅坂46の勢いは、2017年に入っても止まらず、2017年4月5日発売の4枚目シングル「不協和音」は63万2千枚、2017年10月25日発売の5枚目シングル「風に吹かれても」は64万2千枚を売り上げました。
そして、2017年のNHK紅白歌合戦にも、2年連続で出場しました。
この間、2017年8月15日には、けやき坂(ひらがなけやき)に9人の追加メンバーが入り、9月24日には長濱ねるさんが、けやき坂の兼任を解除され、欅坂46専任となりました。
2018年2月15日現在のメンバー数は、欅坂46(漢字けやき)が21人、けやき坂46(ひらがなけやき)が20人の計41人になっています。
私が驚いたのは、ずっと欅坂46のセンターをしている平手友梨奈(ひらてゆりな 愛知県出身16歳)さんが怪我のため、1月30日、31日、2月1日の武道館公演を「欅坂46」から「けやき坂46」に切り替え、3日間で約3万人を動員して成功したことです。
つまり、けやき坂46は、欅坂46のアンダーではなくなり、それぞれ独立した存在になりつつあるようです。
欅坂46メンバーの1人、渡辺梨加さんのパフォーマンスに「レボリューション」というのがありますが、「欅坂46」と「けやき46」は、文字通りアイドルの革命(レボリューション)を起こしているのだと思います。
ちなみに、欅坂46は2018(平成30)年3月7日に、6枚目のシングル「ガラスを割れ!」を発売する予定で、センターはデビュー以来、6作連続でグループ最年少の平手友梨奈さんです。
一方、けやき坂46も、武道館ライブの最後のサプライズで、「単独アルバム」発売が決まりました。
漢字の「欅坂46」と、ひらがなの「けやき坂46」、2つのグループの活躍から目が離せませんね。
<写真 長濱ねるさんが育った五島列島・中通島にある奈良尾地区(長崎県新上五島町)>
後半は、「欅坂46」と「けやき坂46」の2つを経験している唯一のメンバーで、21番目に欅坂46に入った人気メンバー「長濱ねる(ながはま・ねる)」さんについて、紹介します。
長濱ねるさん(本名)は、1998(平成10)年9月4日、長崎県長崎市生まれの19歳で、姉と兄がいます。
両親の仕事(学校の先生)の関係で、4歳から7歳まで長崎県の離島「五島列島」中通島の、人口3000人ほどの旧奈良尾町(現在の長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾)で、魚を釣ったり、祭りに参加したりして、過ごしました。
長濱ねるさんの「長崎県」「五島列島」への愛は強く、結構、長崎弁を使い、写真集「これから」の多くのロケ地が五島列島をはじめとする長崎県です。
長濱ねるさんの長崎弁です。
「両親も写真集を買って、見よったばい。喜んどったよ。
欅坂では、野生児エピソードを話してるのが私ばい。今週は寒か日が続いとったけど、風邪ひいとらん。こっち来て一緒に写真集見るばい。」
また、欅坂46の冠番組「欅って、書けない?」(2017年12月18日テレビ東京系で放送)の中では、島を離れたあとも、毎年のように夏休みは五島列島に行っていたことが紹介され、多くの島民の人と、親戚・家族のようなつきあいをし、島のヒロインとして、愛されていました。
長濱ねるさんは、長崎県で屈指の進学校である長崎県立長崎西高等学校に進学しました。
長崎西高校時代に、「高校生クイズ」に1年と2年の2回挑戦し、2年生の時には、長崎県大会決勝まで進みました。
ちなみに、長崎西高校の卒業生には、東京大学卒業の元NHKアナウンサー・草野仁さんら優秀な先輩がたくさんいます。
ねるさんは、高校生だった2015年8月に「欅坂46オーデション」を受験し、最終審査まで進みました。
ところが、最終審査の日に、上京していた長濱ねるさんを、お母さんが無理やり長崎に連れ戻し「最終審査辞退」ということになりました。
ねるさんが自宅で号泣しているのを見るに見かねたお父さんが、欅坂46の運営に電話して相談すると、最終審査前まで高評価だった長濱ねるさんを入れたい運営は、長濱ねるさんと両親を、福岡で行われた坂道のお姉さんグループ「乃木坂46」のコンサートに招待してくれました。
そのコンサートで会場に流れたビデオを見て、ねるさんの両親は、乃木坂46のメンバーの家族たちも娘の芸能界入りを認めるかどうか苦悩していたことを知るとともに、キラキラと輝く乃木坂46のメンバーたちを見て、「ねるを欅坂46に入れよう」と決意しました。
こうして、長濱ねるさんは特例で欅坂46に11月に入りましたが、最終審査を受けていないので、ねるさんのために作ったアンダーグループ「けやき坂46」のたった1人のメンバーという微妙な立場になりました。
ねるさんは、デビュー曲「サイレントマジョリティー」の当初のメンバーにも入れませんでした。
それでも、長濱ねるさんは、出番がなくてもメンバーに同行するなど「たった一人のアンダー」に耐え、次第にメンバーとファンの人気を得てゆきます。
その努力が実り、2016年8月の2枚目シングル「世界には愛しかない」からは、欅坂46とけやき坂46の兼任メンバーとして楽曲に参加し、2017年9月からは欅坂46専任となりました。
長濱ねるさんについては、一部のネットでは、「2017年7月のSHOWROOM配信で、キャプテンの菅井友香さんを無視したり、落書きをしたりしていじめた。」という理由で炎上したことがありました。
私も配信を見て「違和感」は感じました。
しかし、長濱ねるさんがキャプテンでしっかりものの菅井友香さんに、甘えているようにも見えました。また、罵倒したりケンカしたりしているのでもないので、「欅坂46はこれほど自由なグループなんだな」と考えれば、問題はないのではないかなと思いました。
長濱ねるさん自身は、謝罪もコメントもしていません。
<写真 大ヒットした長濱ねるさんのファースト写真集「ここから」のPRポスター>
長濱ねるさんのキャッチフレーズは、「ねるー、ねるらー、ねるれすと、今日もあなたの最上級。長濱ねるです。」で、お父さんが考えたものです。
ちなみに、ねるさんの口癖の一つに、「最高かよ」があります。
2017年夏のSHOWROOM配信では、菅井キャプテンをいじめたと叩かれましたが、2018年1月に長濱ねるさんが単独で配信した回では、かわいい長崎弁で1時間あまりの時間を、上手にまじめにトークしています。
この時の視聴者は7万人を超えています。(SHOWROOMの長濱ねるさんのフォロワー数は、85、193人です。)
ちょっと「かわいいボケキャラ」を演じている長濱ねるさんですが、「第1回欅坂46インテリ女王」になったり、テレビのクイズ番組「ミラクル9」で100万円をとったりしていて、やっぱり本当は秀才のようです。
特に感動したのは、長濱ねるさんの「平和と長崎原爆」に対する考え方です。
長濱ねるさんの公式ブログの一部を紹介します。
「今日、8月9日は長崎に原爆が投下された日です。
72年目を迎えます・
私が、発信することを職業にしてから2年目の「原爆の日」です。
今の世界は、様々な問題を抱えています。
私が知らないことも沢山。
世界が平和ならいいのに、世界を平和にしたい。
ずっとそう思っていたはずなのに、
18歳になった私は いつからか。
自分になんてそんな規模が大きすぎる。
現実的に無理だ。
勝手に悟り、諦めるようになっていました。
しかし今、
沢山の偶然と運命に導かれ、
こうやって発信できる場所にいます。
自分が平和について考えること。
想いを共有し、皆さんの頭の中に少しでも、
思い出してもらえるようなきっかけ作りをすること。
被爆者の方や、偏りのない真実に耳を傾けること。
今の自分ができること。
自分だからできることです。
私は真正面から向き合って
その責務を全うしていきたいです。
犠牲となられた全ての方々のご冥福をお祈りしますとともに、
現在も苦しんでおられる全てのみなさまにお見舞い申し上げます。」
(長濱ねる公式ブログ 2017年8月9日「灯 224」より)
すごく、しっかりした考え方ですね。
ちなみに、長濱ねるさんのおばあさんは、長崎原爆の被爆者で、ねるさんは「おばあさんを尊敬し、誇りに思います。」と語っています。
<写真 #長濱ねると長崎デートなうに使っていいよ>
2017年12月に発売された長濱ねるさんのファースト写真集「これから」(講談社)は、わずか1ヵ月余りですでに5度の重版をされ、累計17万部を超える大ヒットになってます。
これは、女性ソロ写真集部門では、乃木坂46の白石麻衣さん(25歳)の28万部(発売1年)に迫る、史上2位の売り上げ記録です。
まだ19歳なのに、これだけ写真集が売れ、しかも頭がよく、しっかりしている。
ねるさんの言葉を借りれば、「長濱ねる、最高かよ。」ですね。
最後は、長濱ねるさんのことを歌った、ねるさんがセンターの曲「乗り遅れたバス」を紹介します。
アニメ声優のようなかわいい声で歌う長濱ねるさんの気持ちが、歌詞に込められていて、たった1人のアンダーだったねるさんの苦しかった立場がよくわかるような歌です。
最後に、ご覧ください。
♪「乗り遅れたバス」(作詞:秋元康、作曲:SoichiroK・Nozomu.S、歌:欅坂46)♪
♪
(長濱ねるソロ)
ごめん
一人だけ 乗り遅れたみたい
あの場所に
誰もいなくて
どこへ行ったらいいのかなんて
わからなかった
片道の夢
手に持ったまま
坂の途中で
途方に暮れた
(他のメンバー)
風が過ぎた街は
音も消えたみたいで
君に掛ける言葉が
見つからなかった
(長濱ねるソロ)
できることなら
時間(とき)を戻し
一緒に行きたかったけど
欅坂 向かうバスは
もう先に出てしまった
だから
一人きり 歩き始める
みんなとは
違う道順
だって今さら追いかけって
間に合わないよ
私の未来
自分で探して
いつか どこかで
合流しよう
♪
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