2017年9月26日火曜日

北朝鮮のミサイル危機から命を守る備えと「平和への名言」  

 2017(平成29)年8月29日と9月15日、北朝鮮のミサイルが2回に渡って、北海道上空を通過しました。「もし、日本にミサイルが落ちてきたらどうすればいいのか。」
 日本中で聞かれる「不安な声」、危機感があります。

 一方で、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、「ロケットマン」とか「老いぼれじじい」などと、互いに誹謗中傷合戦をしています。
 日本で「空襲、戦争」という文字が、太平洋戦争が終わった1945(昭和20)年以来、72年ぶりに現実味を帯びています。

 今回は、北朝鮮のミサイル危機から命を守る方法について、考えてみたいと思います。

<写真 Jアラートなどの情報を住民に知らせる防災無線>





 まず、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性のあることを、政府が国民に知らせる「全国瞬時警報システム(Jアラート)」や、テレビ・ラジオ・携帯電話・スマホなどを活用した避難方法について考えてみたいと思います。

 政府や危機管理の専門家などが示す、「Jアラート等を通じて弾道ミサイル発射に係る緊急情報が発信された場合」の対応については、3つの場合に分けて説明すると次のとおりです。


(1)児童・生徒等が登校前、会社員等の出社前、自営業や主婦が自宅にいる場合
→<自宅待機>が原則

(2)児童・生徒等が登下校中、会社員や自営業・主婦などが外出中の場合
→<近くの建物等に避難>が原則

(3)児童・生徒等や会社員などが学校・職場等にいる場合
→<学校や職場に待機>が原則
とされています。


 次に、Jアラート・テレビ・ラジオ・携帯電話・スマホ等を活用した緊急情報が発信された場合の行動例は次のとおりです。

(ア)屋外にいる場合は、建物や地下街などに避難する。
(イ)建物がない場合は、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。
(ウ)屋内では、窓から離れるか、窓のない部屋に移動する。


 何だか、太平洋戦争中の「空襲警報」と同じで、頼りないですね。 でも、北朝鮮からロケットが発射されて十数分で日本上空に飛来するし、Jアラート等で発信されてからは数分でミサイルが来るとしたら、これぐらいが精一杯だと思います。
(防空壕があっただけ、太平洋戦争中の方がまだましかもわかりませんね。)


 もう少し国の情報を追加します。

 文部科学省は、北朝鮮のミサイルが今年2度目に日本上空を通過した平成29年9月15日に、全国の学校や教育委員会などに、Jアラートの文言の一部を変更したことを通知しました。

 その主な内容は、日本の領土・領海に落下する可能性があると判断した時は、
「頑丈な建物や地下に避難してください」を、「建物の中、又は地下に避難してください。」に変更したことが1点です。

 もう1点は、日本の領土・領海の上空を通過した場合は、
「ミサイル通過。ミサイル通過。先程、この地域の上空を通過した模様です。」を、
「ミサイル通過。ミサイル通過。先程のミサイルは、○○地方から○○へ通過した模様です。」に
変更したことです。

 この変更点って、「頑丈でなくても、とにかく建物に避難しろ。」と、「どこを飛んだか、後で情報を追加する。」ということですよね。

 ミサイル攻撃(核兵器を含む)等の場合についての避難の有効性については、1977(昭和52)年に、アメリカ国防省とエネルギー省がまとめた「広島への原爆投下(1945年8月6日)、20日後の平均半数生存距離」という資料があります。

 ケース別に、爆心地からどれだけ離れたところにいれば「20日後に半数の人が生存していたか」という距離を数字化したものです。

 それによると、全体では1.2kmですが、コンクリートのビルではわずか0.19km(つまり190m)離れていれば半数が生存しています。
 また、学校の校舎内では、0.72km(720m)離れれば半数が20日以上生存したのに対し、校舎外(野外)にいた人たちは、2.08km離れていないと半数が生存していません。

 これらのデータは、ミサイル攻撃(核を含む?)に対して、「野外より室内が安全、できればコンクリートの建物がより安全」という根拠にはなると思います。
 避難場所の参考にはなりますね。

 ただし、「比較的安全」ということだけで、ミサイルの直接攻撃を避けることはできませんし、広島原爆の例も、あくまで20日間の生存が半数できたというだけで、それ以降の保証があるわけではありません。


<日本のミサイル防衛体制(「防衛白書」より)>





 前半では、「野外より室内が生存率は高いけれど、ミサイルが日本に着弾する時、あるいは着弾したあとに国民が身を守るのは、相当難しい。」という説明をしました。

 それでは、着弾する前に打ち落とすことは可能でしょうか?。
 ここからは、日本のミサイル防衛能力を中心に考えてみましょう。


 日本のミサイル防衛態勢は、上記の絵図のように、基本的に2段構えです。

 まず、北朝鮮からのミサイル発射を、レーダー等で捉えると瞬時に軌道を計算し、日本に着弾する恐れが高い時は、まず「イージス艦から迎撃ミサイル」を発射します。

 これが失敗、または間に合わない場合には、第2段として陸上のパトリオット(PAC-3)から迎撃ミサイルを発射します。

 しかし、これで100%防衛できるかというと、疑問があります。
 
 北朝鮮から日本へ届くミサイルの数については、諸説ありますが、アメリカや韓国の軍事研究機関の資料では、最近、問題になっている大陸間弾道ミサイル(ICBM、火星12号や14号)を別にしても、射程1000km前後の「スカッドミサイル」が約800基、射程1300km前後の「ノドンミサイル」も約300基と、この両者だけで1,100基もあります。

 対する日本の第1次ミサイル防衛を担う「イージス艦」は、海上自衛隊が保有するものは6隻で、アメリカ軍の所有する9隻を含めても、わずか15隻です。

 一方、第2次ミサイル防衛(最後の砦)を担う陸上のパトリオット(PACー3)も32基しかない上、2基がペアで動くため、事実上は16カ所しか配備できません。
 しかも、パトリオットの守備範囲は、わずか15km~20kmの範囲と言われています。

 そもそも「ミサイルをミサイルで迎撃できるのかどうか」については、軍事評論家の間でも意見の分かれるところです。

 そのことは別にしても、<1100基VS(15隻《6隻》+16カ所)>という数字を見ると、ミサイル攻撃を完全に防ぐことは、非常に難しいと言わざるを得ないと思います。



<日本の平和の象徴の1っ「広島平和公園」>






 ここまで、現状では「日本は完全に北朝鮮のミサイル攻撃を防げない」ということを説明しましたが、
私は「日本のミサイル防衛態勢が不十分である。もっと防衛予算を。」と言っているのではありません。

 今の日本の防衛費は5兆円以上と言われていますが、防衛費をいくら増やしても「完璧な防衛」にはならないし、戦争を防ぐこともできません。

 ある国のトップが、「対話よりも圧力」と言いましたが、戦争を防ぐのは「軍備」や「圧力」ではなく、平和を願う「対話」と「外交」でなければならないと思います。


 戦前の日本が、外国からの圧力(アメリカ、イギリス、中国、オランダのいわゆるABCD包囲網による経済制裁・経済封鎖)によって、太平洋戦争開戦に踏み切ったことを思い出してください。

 そして、もう1度、日本国憲法の前文を読み返してください。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
(日本国憲法前文より)


 最後に、「平和への名言」をいくつか紹介します。

○「中国や韓国と共に北東アジアの安定化の将来について話し合い、いま何をしなければならないか考えなければ、北朝鮮問題は解決しない。(この時期の)解散については、理解できない。」
<元衆議院議長・外務大臣・自民党総裁 河野洋平氏(1937年~ 神奈川県生まれ)>


○「
戦争とヘイトスピーチは切り離すことのできない要素です。トランプ大統領は本当に危ない。
建国以来、戦争にまみれてきたアメリカから見れば、日本の憲法9条は希望の光。
70年以上も戦争をしていない記録を、みなさんで守り抜いてほしいです。」
<元アメリカ海兵隊員 ロリー・ファニングさん>

○「平和は力では保たれない。平和はただ分かりあうことで、達成できるのだ。」
Peace cannot be kept by force; it can only be achieved by understanding.
<ノーベル物理学賞受賞者 アルベルト・アインシュタイン (1879年~1955年 ドイツ生まれ)>


○「みんな平和について語るけど、誰もそれを平和的な方法でやっていない。」
Everybody’s talking about peace, but nobody does anything about it in a peaceful way.
<歌手(ビートルズのメンバー) ジョン・レノン(1940年~1980年 イギリス生まれ)>



 戦後72年間がそうであったように、国民の「安全と財産」を平和的に守る日本で、あり続けてほしいと思います。


 

2017年9月20日水曜日

アイドルの坂道(10)チーム8と、父の死を胸に毎朝5時半発信するショールーム女王・大西桃香さん

 まず、47都道府県の代表で作られた「AKB48・チーム8」のアイドルの一人で、奈良県代表の大西桃香さんのスピーチを紹介します。
「私は母子家庭です。
(AKB48)チーム8に入った年の私の誕生日が、父の葬式になりました。
 正直、AKBを辞めようと思いました。
 でも、父の携帯から、私がテレビに出ていた時の写真やムービーが出てきて『むちゃかわいい』と言って応援してくれていたことを知り、続けることにしました。」

 今回は、ただでさえ不安定なアイドルという仕事を選んだ大西桃香さんの努力と、大西さんが所属する「チーム8」について紹介します。


<大西桃香さんがモデルの甲子園奈良県代表の応援ポスター>





 大西桃香(おおにし・ももか)さんは、1997(平成9)年9月20日に奈良県で生まれました。
 AKB48にチーム8ができた2014年4月3日から、現在まで在籍している初期メンバーの1人です。

 冒頭の紹介した彼女のスピーチのとおり、2014年9月20日、彼女の17歳の誕生日が、お父さんの告別式になりました。本当に辛かったでしょうね。

 チーム8の中で、最初の頃は、大西桃香さんは、あまり注目されないメンバーでした。

 ところが、「ショールーム(SHOWROOM)」という(株)ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する視聴無料のネットやスマホの動画配信サービスを使い、2016年10月13日から毎日、早朝(基本5時30分スタート)に、心温まる配信をして、話題になりました。

 彼女の人柄の良さを、彼女の「ショールム配信」から少し紹介します。

(1)朝の定例の5時30分に起きられなかった時は、涙を流して謝りました。

(2)実は、朝が苦手であることをカミングアウトした大西桃香さんは、自分のスマホのめざまし機能を、5分おきに数十回セットしていることを視聴者に見せました。(早起きは努力なのですね。)

(3)握手会の握手券は安くないから、ファンの名前を間違うと失礼にあたるので、絶対、当てづっぽうで名前を呼べない。できれば、名札をつけてきて欲しいとお願いしていました。

(4)メンバーの誕生日プレゼントを忘れた時に、「忘れてしまってゴメン。次に会うときに買って来るので許して。」と正直に告白しました。


 早朝はすっぴんで出る容姿も、結構かわいいけれど、それ以上に、心にしみるような「やさしい話」と「素直な性格」に感動し、ファンが増えています。

 あるファンのコメントです。
「大西桃香ちゃんは、毎朝、発信してるから人気があるのじゃなくて、性格がいいから人気があるんだよ。」

 ちなみに、大西桃香さんのキャッチフレーズは、、
「いきなりですが質問です。みなさんの好きな色は何ですか?(ファンが好きな色を言う)
でもでも、やっぱりそこは?『桃色』。 奈良県代表の大西桃香です。」

 この遠慮気味のキャッチフレーズも、大西桃香さんのやさしい人柄を反映していますね。 


 大西さんの努力が認められて、2017年2月発売のAKB48のシングルCD「シュートサイン♪」では、初めて選抜に選ばれました。

 また、2017年6月の「AKB48選抜総選挙」投票期間中にポイント制で争われた、「AKB48選抜総選挙×SHOWROOM」では、NGT48のセンター・中井りかさんを押さえて、見事、1位になりました。

 さらに、このご褒美として、AKB48の49枚目シングル「#好きなんだ」♪のCD・DVDの中に、大西桃香さんが初センターを務め、ポイント上位の16人が「SHOWROOM選抜」として歌う曲「プライベートサマー♪」のCDとDVDが発売されました。

 ちなみに、2017年9月18日現在も、大西桃香さんの毎朝のショウルーム配信は続いており、配信回数は665回(1日2回もあります)、配信時間は817時間、視聴者数の合計は658万人を超えています。
 まさに「努力は人を裏切らない」ですね。


<AKB48 チーム8のポスター>






 後半は大西桃香さんが所属する「AKB48 チーム8」について紹介します。

 「チーム8(エイト)」は、2014年4月に、47都道府県のオーデションを勝ち抜いた代表47人によって結成されました。
 トヨタ自動車が、活動の全面サポートをしています。1社が行っているのは、AKB48グループでは「チーム8」だけです。

 「チーム8」は、他のグループのように拠点とする都市をもたず、メンバー1人1人が地元の都道府県を活動の拠点にしています。このため、他グループのように「会いに行けるアイドル」ではなく、「会いに行くアイドル」をコンセプトにしています。

 地元以外の活動として、全国ツアー「47の素敵な街へ」や東京・秋葉原の「AKB劇場」での公演もあります。
 しかし、
(1)拠点となる大都市をもたない、
(2)AKB選抜総選挙で上位16人に入ったことがあるメンバーがいない、
(3)オリジナル曲は10曲あるが単独のCD発売によるメジャー・レビューをしていない、
など、他のグループよりかなり不利な部分も多く、全国的な人気は、今一つです。

 AKB選抜総選挙では、第6回(2014年)、第7回(2015年)では、80位以内に入ったメンバーはいませんでした。
 しかし、第8回選抜総選挙(2016年)では、熊本県代表の倉野尾成美(くらのお・なるみ)さんが34位、北海道代表の坂口渚沙(さかぐち・なぎさ)さんが70位と、初めて2人がランクインしました。

 そして、今年(2017年)の第9回選抜総選挙では、熊本県代表の倉野尾さんが30位に入ったのをはじめ、51位に東京都代表の小栗有似(おぐり・ゆい)さん、65位に京都府代表の大田奈緒(おおた・なお)さん、67位に大阪府代表の永野芹佳(ながの・せりか)さん、69位に北海道代表の坂口さんと、5人がランクインしました。

 さらに、9月に発表されたAKB48グループ50枚目シングルの選抜メンバー28人には、チーム8の茨城県代表の岡部麟(おかべ・りん)さんが選ばれました。

 徐々に人気が出つつある「チーム8」ですが、前回紹介した後発で24人のNGT48が、デビューシングルがオリコン1位になり、第9回選抜総選挙で10人がランクインし、50枚目シングルでも3人が選抜されたのに比べれば、まだまだ苦しい状況です。

 大西桃香さんをはじめ、47都道府県代表にも、がんばって欲しいですね。


<奈良県の名所 奈良公園とシカ>




 最後に、大西桃香さんがセンターを務める機関限定ユニット「SHOWROOM選抜」について、紹介します。

 16人のメンバーを見てみると、「チーム8」が1位の大西桃香さんをはじめ5人、NGT48も2位の中井りかさんをはじめ、5人です。
 他に、2017年に結成された「STU(瀬戸内)48」のメンバーが3人、SKE48、NMB48、AKB48の研究生が各1人でした。

 こうして見ると、AKB48の中でも、発展途上でテレビや雑誌で取り上げられることが少ない、恵まれないメンバーが、自己アピールの場としてSHOWROOMを活用しているようです。

 確かに、SHOWROOMは、メンバー自身の努力だけで無料で全国にアピールでき、ファンはアイドルの「素」を見られる貴重なツールだと思います。
 秋元康AKBグループ総合プロヂューサーも、時々、見ているようです。

 配信を見るのは無料ですが、一部に有料アイテム(最高額はタワーの1万円)があるので、そこだけは、気をつけてください。


 おしまいに、チーム8の最初のオリジナル曲「47の素敵な街へ♪」(2015年のAKB48シングル「心のプラカード」に収録)の歌詞を紹介します。



♪「47の素敵な街へ」(作詞:秋元康、作曲:Sungho、歌:AKB48チーム8)♪


真っ青な空を見上げて
誰かのこと 思ってますか?
今すぐに 会いたくなった
誰かいるって いいね

しあわせなこと 見つけた時は
君に分けてあげたい

47の素敵なあの街へ
歌を歌いながら
会いに行こう
大好きな車に乗って
わくわくする分
近くなる

会いたいと思ってるのに
ここのところ ご無沙汰でした
目を閉じて 顔が浮かぶ
大事な人 君だ

悲しい時があった時には
話を聞いてほしい

47の素敵なあの街へ
何を話そうかと考えながら
のんびりと景色を眺め
ドキドキするのが
楽しくて

47の素敵なあの街へ
歌を歌いながら会いに行こう
大好きな車に乗って
わくわくする分
近くなる

47は行きたい街の数
ずっと私のこと
待ってくれてる
いつの日か全部回って
日本全国の友達と
笑顔の輪 ♪

2017年9月17日日曜日

台風18号が日本縦断の恐れ! 台風には時系列別の備えを 

北朝鮮のミサイルが飛ぶ2017年の日本の空に、今度は「台風18号」が接近・上陸する可能性が高まっています。 ミサイルの備えは別の回にして、今回は、台風に対する「備え」について、紹介します。


 まず台風に対する備えです。

 台風18号(1718、タリム《Talim》=フイリピンの言葉で「鋭い刃先」の意味)は、2017年9月16日20時現在、北緯29度20分、東経127度25分の東シン海にあって、東北東にゆっくり(時速10km未満)進んでいます。

 中心付近の気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35m/sで、「大型で強い」勢力を保っています。

 台風が、気象庁の進路予想の中心を通ると、17日の朝に九州南部へ上陸し、午後は四国を通り、17日の夜に瀬戸内海を北東へ進み、岡山県から兵庫県の付近を北東に横切り、日本海へ出る予想です。
 18日には、北陸・東北の沿岸の日本海を通り、18日の夕方には北海道へ再上陸する予想です。

 しかし、まだまだ台風の進路は変わることもあり、17日は、九州、中国・四国、近畿で暴風雨になる恐れがあります。
 また、18日は、北陸・東海から、関東・東北・北海道までの広い範囲で、風雨が強くなりそうです。
 日本の広い範囲で、暴風雨はもちろん、川のはん濫や海の高波、瀬戸内海沿岸などの高潮にも十分な注意が必要です。


<台風18号の予想進路(気象庁HP)>



 ここからは、台風の「備え」を時点別に、日本気象協会ホームページなどを参考に紹介します。

<1> 台風が遠いうちに行う備え
(1)屋根、壁、排水路、塀などの点検と整備
(2)防災用品の確認・備蓄(3日分の食糧・飲み水、ライト、充電器、ラジオ、薬品、現金など)
(3)家族で避難場所や経路を確認・話し合う
(4)洪水・浸水のハザードマップを市区町村のホームページなどから入手

<2> 接近する恐れが高まった時
(1) 最新の台風情報を入手(テレビ、ラジオ、ネット、スマホなど)
(2) 窓や雨戸の補強
(3) 外にある飛びやすいもの、危険なものを固定するか室内に入れる
(4) トイレなどに使う生活用水を貯める(お風呂に水をためるなど)
(5) 子供、老人、障害者などの1人で避難できない要援護者を事前に避難(避難所だけでなく安全なら2階も含む)



<避難情報の種類>


<3> 台風接近時
(1)不要不急の外出は避ける
(2)テレビやラジオ、ネットの情報だけでなく、スマホ(エリアメール等)や防災無線で、自治体などの避難情報(避難指示、避難勧告など)も小まめにチェック
(3)自宅のより安全な場所(2階など)にいて、浸水の恐れが出てきたら火を消し、漏電防止のために1階のコンセントにさしている電化製品のコードは抜く。
(4)避難は浸水する前に。浸水してからの避難は、自宅とどちらが安全か検討する。


 災害の備えと避難は、速さと冷静さが大切です。
 上記の表やこのブログの過去の記事などで、もう一度、警報や避難情報の種類と意味を確認してください。

 台風は、地震と違って、事前に来ることがわかります。
 早めに、しっかっり「備え」ましょう。


2017年9月6日水曜日

9月の憂鬱(ゆううつ)に負けないで ~頑張れより「ファイト」(中島みゆき♪)~

 9月になりましたね。 まだまだ暑い日々もありますが、少しずつ秋になったようです。

「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」

 という、平安時代中期の歌人・藤原敏行《生年不明~907年》の「古今和歌集」の和歌がびったりの季節ですね。
 夏休みが終わるこの時期は、18歳以下の自殺といじめが多い「憂鬱(ゆううつ)な季節」でもあります。
 2015(平成27)年に内閣府が発表した「自殺対策白書」では、18歳以下の自殺が日別で1番多いのは9月1日で、続いて9月2日が4位、8月31日が5位となっています。

 最近は、この時期、「死なないで逃げて」という声が多く聞こえます。

 2015(平成27)年8月26日に、鎌倉市中央図書館の司書・河合真帆(当時44歳)さんが、Twitterの公式アカウントから呼びかけた投稿「死にたくなったら図書館へ」が9万RT(リツート)を超え、「お気に入り」の登録も7万件を超え、大きな話題になりました。

「もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。     マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。
  9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。」
 河合司書さんは、次のように語っています。 「実は、私も小学生のころ、いじめに遭い、学校に行くのがつらかったんです。 子どもの自殺が最も多いのは、夏休み明けの9月1日という報道を読みこのツイートを書きました。    
 また、米国の図書館にあった<自殺したくなったら図書館へ>というポスターを思い出したのも、きっかけになりました。」


<写真 「24時間子供SOSダイヤルのポスター」(モデル・乃木坂46)>
 
 
 
  昨年、ブログで取り上げさせてもらいましたが、2016(平成28)年8月25日10時5分ころ、青森県藤崎町の奥羽線北常盤駅で、中学2年の少女が自殺しました。
 8月25日は、少女の通っていた中学の始業式の翌日でした。(9月1日が始業式の地域にあてはめると、9月2日の夏休み明けということになります。)

 少女は、最初の報道では匿名でしたが、家族が少女のスマホに残されたいじめを苦に自殺するという内容の「遺書」とともに、実名を公表しました。
 少女の名前は、青森県青森市にある浪岡中学校2年生だった葛西(かさい)りまさん、13歳でした。
 葛西りまさんのスマホのメモアプリには、次のような内容の「遺書」が自殺する1時間30分前に、残されていました。(りまさんの家族が公表したものです。)

「遺書 葛西りま 
 突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。
 弱いのは自分自身でも分かってるし、悪い所もあったのは知ってるけど、流石にもう耐えられません。 
 学校生活も散々だし、それでストレスたまってたのに、仮病とかいう人が沢山いて、説明しても、あまり信じてくれなかった。
 1、2年の時に噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう、二度といじめたりしないでください。

(中略)
 家族へ。先立つ不幸を許してください。もう無理です。特別虐待があったわけでもない。
 みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけど、楽しい時もありました。
 本当に13年間ありがとうございました。いつか、来世ででも、幸せな生活をおくれる人になれるまで、さようなら。
 また、会おうね。 2016年8月25日木曜日」


 残念ながら、今年(2017年)も、9月1日前後に、東京や埼玉・千葉をはじめ、全国各地で、多くの若者が自殺してしました。

 また、「特にいじめを受けた月」も、実は9月が1番となっています。

 私も中学で、いじめられましたが。うちの身内にも、不登校になっている中学生がいます。
 確かに、死ぬよりは、一時的には「学校を休んでもいいし、図書館などに避難するのもいい。」
と思います。

 でも、「いじめ問題」の根本的な解決は、私の経験でも、自分を信じること(自信)と、話を聞いてくれる味方がいること、そして忍耐(頑張れではなく、頑張ること)と戦う勇気(ファイト)を持つことだと思います。
 一時的に逃げてもいいから、今の自分を乗り越えられたら、それは一生の宝物になります。
 
 そこでここからは、「頑張れ」と「ファイト」いう2つの言葉を中心に、9月の憂鬱に負けない気持ちについて考えたと思います。


<写真 夏を乗り越え「実をつけた稲穂」>
​​​
 
 「頑張(がんば)る」の語源には、2つの説があります。
 1つは「眼張る」が転じて「頑張る」になったという説で、「見張り」とか、「一定の場所から動かない」という意味になります。
 もう1つは、「我を張る」が「頑張る」になったという説で、「自分の考えを押し通す」という意味になります。
 あれー?、どちらもポジティブじゃ、ありませんね。

 さらに、「頑張れ」は「頑張る」の命令形で、国語辞典には2つの意味が記載してあります。
 1つは、「言葉をかけて元気づける」という意味。もう1つは、「強い口調で責め立てる」という意味です。
 この2つの意味が、ともすれば混在し、「頑張れ」は命令形だということもあって、「自分のことではなく、他人ごととして責め立てる。=頑張れ」という意味になり、言われた人にプレッシャーになり、自殺の原因にすらなることがあります。

 ただ、これはあくまで「頑張れ」のことで、「頑張る」は自分自身の決意と行為ですから、他人からのプレーシャーにはなりません。


 一方、英語の「ファイト(Fight)」は、ボクシングの「ドッグ・ファイト」に代表されるように、拳などを具体的に出して「戦え、ケンカしろ」が、本来の意味です。

 ただ、日本語の「ファイト」は「言葉をかけて元気づける」という意味で使われることが多く、命令形ではないので、ポジティブになります。

 この「日本語のファイト」を、もう1度英語になおす(?)と、元の「Fight」ではなく、

・「Good luck.」(幸運を祈ります)

・「
You can do it.」(大丈夫、君ならできるよ)
・「Never give up.」(あきらめないで) 

など、命令形ではない「やさしいボジティブ語」になります。

こういう意味で頑張っている人・子供たちには、「頑張れ」ではなく、「ファイト」と声をかけたいですね。

 この意味の「ファイト」がタイトルになっている曲で私が思い浮かぶのは、森高千里さんの「ファイト」と中島みゆきさんの「ファイト」です。

 そのうち今回は、中島みゆきさんの名曲「ファイト」♪(1983年)の歌詞の一部を紹介します。


 この歌は、中島みゆきさんがラジオの深夜放送のDJをしていた時に届いた、1通の少女の手紙がもとになってます。その内容を紹介します。

「私は中学を出てすぐに働いて2年になる17歳の女の子です。
この間、私の勤めている店で、店の人が私のことを
『あの子は中卒だから事務は任せられない』と言っているのを聞いてしまいました。

私、悔しかった。悔しくて、悔しくて、泣きたかった。
中卒のどこが悪い!と、言いたかった。
私だって高校行きたかった。
だけど家のこと考えたら、私立に行くなんて言えなかったし、高校に入る自信もなかった。
なのに、こんなふうに言われるなんて酷い。」
(ペンネーム 私だって高校行きたかったさん)


 この手紙を元にできた曲「ファイト♪」は、1983(昭和58)年のアルバム「予感」に収録され、1994(平成6)年に「空と君のあいだに/ファイト」で、シングルカットされています。
 
 さらに、槇原敬之さん、福山雅治さん、吉田拓郎さん、満島ひかりさん、竹原ピストルさんなど、蒼々たるメンバーが、この曲をカバーしている名曲です。

それでは、「ファイト」の歌詞の一部を紹介します。

​​♪「ファイト!」(作詞・作曲・歌 中島みゆき)


あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

私、本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私、驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です


ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ


暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく


勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて あいつは海になりました

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ ♪



 私はつらい時、生きるのが嫌になった時、よくこの曲を聴きます。
 人生は、勝つか負けるかわかりませんが、挑戦する勇気とファイト、
そして、たとえ破れても、何度でもやり直せます。
 このことを、9月に悩む子供たちにも伝えたいですね。