みなさんは、「世界三大スポーツイベントは」と聞かれて答えられますか?
「近代オリンピック」と「FIFAワールドカップ(サッカー)」の2つは、世界的に異論のないところだと思います。
しかし、もう1つは、「F1(モータースポーツ)」「ツールード・フランス(自転車)」あるいは、「ラグビーワールドカップ」など、意見の分かれるところです。
オリンピックとワールドカップを比べてみると、まず「観客動員数」では、2016年リオオリンピックが117万人に対して、2014年ブラジルワールドカップは342万人で2.9倍です。
また「テレビ視聴者数」では、2008年北京オリンピックが220ヵ国・地域で47億人に見られたのに対し、2006年ドイツワールドカップは214ヵ国・地域で263億人に見られ、5.6倍になりました。
今回は、名実ともに「世界最大のスポーツイベント」であるサッカーワールドカップを、取り上げます。
「FIFAワールドカップ」は、サッカーの国・地域別の世界選手権の最高峰で、1930(昭和5)年に南米のウルグアイで第1回が開催されました。(第1回優勝は地元ウルグアイ)
以後、夏のオリンピックと夏のオリンピックの間のまんなかの年(4で割り切れない偶数の西暦年)に開催されています。
1942年と1946年は、「第2次世界大戦」の影響で中止になっていますので、2018(平成30)年6月14日から7月15日にかけて開催される「ロシア・ワールドカップ」は、第21回目ということになります。
これまでにワールドカップに優勝したのは、ブラジルの最多5回を始め、イタリア4回、ドイツ(西ドイツを含む)4回、ウルグアイ2回、アルゼンチン2回、イングランド1回、スペイン1回、フランス1回の8ヶ国・地域です。
エリア別では、南米(計9回)とヨーロッパ(計11回)しか優勝はありません。
ちなみに、2018年ロシア・ワールドカップには、優勝経験のある8ヶ国・地域のうち、イタリアを除く各7チームが参加しています。
今回の、「2018年ロシア・ワールドカップ」は32ヶ国が出場しますが、このうち開催国のロシアを除く31チームが予選を勝ち上がった国・地域で、ロシア以外の全FIFA加盟国・地域の208チームが予選に参加しています。
世界中の予選を勝ち抜いたチームが、サッカー選手の夢である「ワールドカップ」に参加するということですね。
「2018年ロシア・ワールドカップ」は、32の参加国・地域を4チームづつ8つのグループ(A~H)に分けて、 総当たりのリーグ戦である「グループ・リーグ」を各チーム3試合づつ行い、各グループ内で勝ち点(勝ち3点、引き分け1点、負け0点)の多い上位2チームずつの16チームが、決勝トーナメントに進みます。
なお、勝ち点が同じ場合は、(1)得失点差、(2)総得点の多いチームが上位となります。
後半は、「決勝トーナメント(正式には「ノックアウトステージ」または「ステージ2」といいます)」を行い、ここを勝ち抜いたチームが優勝ということになります。
因(ちな)みに、賞金はかつては0円でしたが、「2018年ワールドカップ」では、優勝が3800万ドル(1ドル=100円換算で38億円)、準優勝が2800万ドル(同28億円)、以下、3位2400万ドル、4位2200万ドル、ベスト8が1600万ドル(同16億円)、予選突破のベスト16が1200万ドル(同12億円)となります。
予選で敗退しても800万ドル(同8億円)がもらえ、さらに全チームに出場経費150万ドル(同1億5000万円)が支給されます。
日本代表として2回ワールドカップに出場した中山雅史(愛称ゴン中山)選手が、「ワールドカップは、AカップでもBカップでも、Gカップでもなく、ずっと上のWカップだからすごいんだ。」と言ったそうですが(笑)、その賞金総額は、なんと6億9100万ドル(同691億円)といいますから、本当にすごい大会ですね。
<写真 FIFAワールドカップ日韓大会の記念切手(2002年)>
次は、日本代表チーム「サムライブルー」のこれまでの活躍を中心に紹介します。
「サムライブルー(SAMURAI BLUE)」は、2006年のドイツワールドカップに出場する日本代表チームの愛称として2006年1月に公募により決定された愛称で、2009年からは日本サッカー協会が、「公式ペットネーム」に正式に決めています。
サムライブルーの由来は、「日本の国土を象徴する海と空のブルー」を基調としたとも言われていますが、明確ではありません。
ただ、1930年、第1回ワールドカップ開催の年に行われた「極東選手権」に参加したサッカー日本
代表の選手が、ほとんどが「東京帝国大学(現在の東京大学)」の学生で、その東京帝国大学のシャツが淡青(ライトブルー)であったのが起源だとする説があります。
日本サッカー代表は、当初、プロレベルでハードルの高い「ワールドカップ」ではなく、その最大目標をオリンピックにおいていました。
現実に、1968(昭和43)年のメキシコオリピックでは銅メダルを獲得しました。
しかし、1992(平成4)年のバルセロナオリンピックから、オリンピック代表が23歳以下になったことと、1993年から「日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)」が発足したことなどから、日本代表チームは本格的に「ワールドカップ」出場を目標にするようになりました。
そんな1993年10月、日本代表は「1994年アメリカワールドカップ」の最終予選に進出し、最終戦のイラン戦に勝てば、ワールドカップ初出場が決まるというところまで、こぎつけました。
カタールのドーハで行われた最終試合は、2対1で日本がリードしたまま90分が過ぎ、試合はロスタイム(現在のアディショナルタイム)に入りました。あと数分守ればワールドカップ初出場という場面で、イランの選手に同点ゴールを決められてしまい、ワールドカップは夢と消えました。
「ドーハの悲劇」と呼ばれたこの試合は、すぐには日本のワールドカップ出場には繋がりませんでした。
しかし、この悲劇を「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」のきっかけとして、4年後、日本代表は見事、「1998年フランス初出場」を決めました。
以降、「2002年日韓ワールドカップ(予選免除)」、「2006年ドイツワールドカップ」、「2010年南アフリカワールドカップ」、「2014年ブラジルワールドカップ」、そして「2018年ロシアワールドカップ」まで、日本代表(サムライブルー)は、6大会連続のワールドカップに出場しています。
特に2002年と2010年のワールドカップでは、日本代表はグループリーグを突破し、ベスト16まで進出しています。
日本代表のワールドカップ通算成績は、17試合で4勝9敗4分け、勝率.308です。
今回の「2018年ロシアワールドカップ」では、日本代表はグループHに属し、6月19日(火)にコロンビア(FIFA世界ランク16位)、6月24日(日)にセネガル(同28位)、そして6月28日(木)にポーランド(同10位)と対戦します。
厳しい相手ですが、ぜひとも勝ち抜いて、これまでで最高の「ベスト8」以上を狙ってほしいものですね。
<写真 本屋のワールドカップ関係本の展示コーナー>
私が「FIFAワールドカップ本戦」を生で見たのは、「2002年日韓ワールドカップ」のグループリーグの試合だけで、神戸市でのことでした。
とても取れないと思っていた「ワールドカップのチケット」が、1試合だけ残っていて、神戸の試合を友人と見ることができました。
もちろん、日本戦ではありませんでしたが(確かロシア対チュニジア)、本物のワールドカップの試合を見ることができたのは、とてもいい思い出で、今でも「私は本物のワールドカップの試合を見た」と自慢にしています。
ここからは、今回のサッカー日本代表「サムライブルー」の選抜選手の名言を紹介します。
○香川真司(かがわ・しんじ)選手
<1989年兵庫県神戸市出身、ドイツ・ドルトムント所属 ロシアW杯日本代表10番>
「最後は見とけよ。と常に俺は思っている。
今は負けているかも知れないけど、コツコツと差を縮めて、絶対におい抜いてやる。
という気持ちは、中学生の時から、ずっと持っている。」
○川島永嗣(かわしま・えいじ)選手
<1983年埼玉県出身、フランス・FCメス、ロシアW杯日本代表1番・ゴールキーパー>
「自分の思っている100%の努力は、100%とは限らない。」
〇長友佑都(ながとも・ゆうと)選手
<1986年愛媛県出身、トルコ・ガラタサライ所属、日本代表5番>
「僕にはサッカーの才能はないが、努力を続ける才能は誰にも負けたくない。」
「夢が実現しなくても、努力したあとには、成長した自分が待っている。」
「アモーレ(お子さんになった平愛梨さんへの求婚の言葉。」
〇本田圭佑(ほんだ・けいすけ)選手
<1986年大阪府出身、メキシコ・パチュ-カ所属、ロシアW杯日本代表4番>
「環境というには、与えられるようじゃダメだ。自分で作り出すもの。」
「自分に勝てれば、明日、勝てると思う。」
「最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから、成功まであきらめないだけ。」
○長谷部誠(はせべ・まこと)選手
<1984年静岡県出身、ドイツ・フランクフルト所属、ロシアW杯日本代表17番・キャプテン>
「答えが出ないことを、延々と考えて迷っているとき、どう切り替えるか。
僕は、身近なところにいる頑張っている人を、見るようにしている。」
<写真 2002年日韓ワールドカップの記念金貨・銀貨>
最後は、サッカーの審判が持つ3色のカードと、あの名曲を紹介します。
サッカーの審判が持つカードと言えば、警告を意味する「イエローカード」と、退場を意味する「レッドカード」が有名ですが、実は、もう1枚あるのをご存知ですか。
黄色、赤につぐ、3枚目のカードの色は「緑」です。
この「グリーンカード」は、他の2枚とは違って、選手の「フェアプレー」や「一生懸命」や「相手への思いやり」をほめるカードです。
たとえば、大量点で負けていても味方に声をかけ、諦めずにがんばった選手。
逆に大量リードしていても、相手を侮辱せず戦った選手。
自分のファールを、自分で手を上げて申告した選手などに、与えられるのが「グリーンカード」で、主に12歳以下のサッカーの試合で使われています。
ワールドカップでも、それからラフプレーが問題になったアメリカン・フットボールでも、この「グリーンカード」を導入し、たくさんたまった選手は「フェアプレー賞」として、表彰するなんていうのもいいかも知れませんね。
おしまいは、日本代表長谷部キャプテンの「グリーンカード級のいい話」と、1976(昭和51)年の発表以来ずっと「全国高校サッカー選手権の大会歌」として使用されている名曲を紹介します。
まず、長谷部エピソードを2つ紹介します。
1つ目は、2011年に出版した著書「心を整える」(幻冬舎)は、100万部を超えるベストセラーになりましたが、長谷部選手は全額、東日本大震災の復興のためにユニセフに寄付しています。
スポーツ選手の本が100万部以上売れるのは珍しいのですが、140万部ともいわれている印税を全部寄付した長谷部キャブテンは、まさに「グリーンカード」ですね。
もう1つの長谷部選手のエピソードは、長谷部選手がゴールを決めると、天に向かって人差し指を突き上げるポーズをします。
これは、長谷部選手がプロ入りか大学進学か迷っていた時、「男なら挑戦してみろ」と言ってくれた天国のおじいさんへお礼の気持ちだそうで、これもおじいさん思いの長谷部選手のやさしい心に「グリーンカード」ですね。
ラストの名曲紹介は、1976年以来、40年以上も「全国高校サッカー選手権大会」のテーマ曲として歌われている、「ふりむくな君は美しい♪」を紹介します。
♪「ふり向くな 君は美しい」(作詞:阿久悠 作曲:三木たかし 歌:バース)♪
♪
うつ向くなよ ふり向くなよ
うつ向くなよ ふり向くなよ
君は美しい 戦いに敗れても
君は美しい
今ここに 青春を刻んだと
グランドの土を 手にとれば
誰も涙を 笑わないだろう
誰に拍手を 惜しまないだろう
また逢おう また逢おう
いつの日か いつの日か
また逢おう また逢おう
いつの日か いつの日か
君の顔を 忘れない
うつ向くなよ ふり向くなよ
うつ向くなよ ふり向くなよ
君は美しい くやしさにふるえても
君は美しい
ただ一度めぐりくる青春に
火と燃えて 生きてきたのなら
誰の心も 打てるはずだろう
誰の涙も 誘うはずだろう
また逢おう また逢おう
いつの日か いつの日か
また逢おう また逢おう
いつの日か いつの日か
君の顔を 忘れない ♪
「レッドカード」や「イエローカード」ではなく、「グリーンカード」があふれる「2018年ロシアワールドカップ」になることと、日本の活躍を祈念します。
がんばれ! 日本サムライブルー!